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獅子王の番
06
しおりを挟むある程度南に進んだ僕は森に入り、西側から北に回って行くことにした。夜、森に入ることは危険だと分かっているけれど、立ち止まることは許されない。
「はあ……」
森に入ってどのくらい経ったのか分からない。息を吐くと白くなった。夜は冷えると思っていたけど、どうやらそれは夜の所為ではなかったらしい。
雪だ。月明かりでなんとなく分かるほどの雪がしんしんと降っている。
アルカマルが近くなって来たと思いたいけれど、僕は知っている。この森とアルカマルの間には大きな海があることを。
────ああ……、やっぱり無理だ……。
本当は無謀だってことは分かっていた。夜に森を抜けることも、一人で海を渡ることも、無理なんだ。でも、諦めたくなかった。僕は自由が欲しかった。
ここで眠れば凍死出来るだろうか、と僕は倒れた木の幹に身体を預けて目を閉じた。
「……」
徐々に体温を奪われ、意識が遠退いて行く。薄っすらと残った意識の中、僕の身体がふわりと浮いた気がした。僕は意識を完全に失った。
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