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第一章 男女比世界へようこそ

第38話 夏休みはまだまだ続く (こうた君と駄菓子屋で)(2)

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「所でこうた君の方はどうだった。学校見学?」

俺の話はこんなもんでいいだろう。
マイマザーが海上保安庁や漁協の人から叱られて、「男の子を無人島に置き去りにするってあんた鬼か?児童相談所に通報した方がいいか?」って言われて平謝りしていた話なんて聞いても面白くないだろうし。
お医者さんに「君って野生児並みの生存本能持ってない?まったくの健康体だよ。」と言われたのは誉め言葉として受け取っておこう。

豚玉もんじゃは気を付けないと豚肉が生焼けになってしまう。焼け色に目を光らせ、いい具合の所をヘラで掬いながら尋ねてみた。

「あぁ、あれね。うん、なんていうか、独特の世界だった。」

こうた君どうした目が死んでるぞ、何があった、おじさんに話してみなさい。
聞けば”あぁ~、それは仕方がないかもね~。”ってはなしだった。
何度も言うが私立桜泉学園の男子は選ばれた精鋭。全員スカウトにより厳選されたイケメン中のイケメン。結果、”俺様系わがまま男子”の頂点。それはきついよね~。

「それだけなら、まだよかったんだけどね~。」

え、まだあるの?
俺様系わがまま男子がそろっているのは想定していたと。
問題はその先、中等部と高等部の生徒会役員。
この学校の生徒会役員も当然選挙でえらばれるんだが、選び方が独特。在校生の投票は当然あるんだけど、それ以外に外部協力生、通称”ファンクラブ会員”による得票により当選が決まる仕組み。某アイドル集団のセンターを決めるやり方に似ている。
そこで選ばれるのが学校の顔である生徒会長と副生徒会長。
それ以外の役員は学校側からの指名により選出されることになっている。こちらも総合的な成績を加味している所がみそ。
”極上の男のそばに行きたければ実力を示せ。”
競争心、煽る煽る。
選ばれた役員は当然のように優秀な女子生徒、仕事は全部彼女たちにお任せ。

己はただ見い出されただけではない。さらに厳選され、洗礼された真の頂点。
”生徒会長様♡、副生徒会長様♡”
毎日の様に傅く極上の女生徒たち。様々な場面に桜泉学園代表として趣き、自己顕示欲・承認欲求は鰻登り。
そして至は王の道、≪俺様王≫の誕生である。
人により”暴虐の”とか”強欲の”とかの枕詞まくらことばが付くらしい。

うわ~、ありえね~。
んで、会ってきたんだ…、”王”に。それは何て言うか…、あ、豚玉焼けたよ、早く食べな。(慈愛の籠った目)
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