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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第83話 駄菓子屋で駄弁る (6)(side:高木康太)

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入学してから二週間が経った。

私立桜泉学園での日々は、本当に快適になった。
休み時間のたびに突撃してくる女子生徒はほぼいなくなった。
たまに現れる女子生徒も「ひろし君を見守る会」が声を掛ける事で、すぐに退散してくれた。
休み時間には”それぞれで集まり”談笑し、昼休みや放課後には各々”好きな場所へと移動”する。
密にならず、狂気の世界も作らず、明るく爽やか、私立桜泉学園万歳!!
親友よ、僕はやり遂げたよ、『My Best Place!(安らぎの地)』(ガッツポーズ)
そんなルンルン気分で自宅へ帰ると、なぜかマネジメント部の吉川さんがいた。

この人またさぼってる。
毎回二時間は居座って、ぐだぐだ愚痴を言って帰って行く”駄目な大人2号”、それが吉川さん。
まあ、僕も桜泉学園の情報源として役に立つし、無下にするつもりはないのだが。

「康太く~ん、助けてくださいよ~。」

よく見れば目の下のクマがいつも以上に荒ぶっていらっしゃる。さっきから胃の辺りを抑えているし、これはマジの奴かもしれない。
揶揄うのは止めにして、真面目に話を聞くことにした。

はぁ~~~。
聞いて後悔した。あまりにも馬鹿馬鹿しくて、相手にもしたくない話だった。
桜泉学園の男子生徒が、不満を抱えている。
要するに女子が構ってくれないので駄々をこねている。
お前らガキか!!
幼稚園児か!!
こんな事桜町小出身者に聞かれたら物理的社会的に粛清されるぞ!!

中でも酷いのが”月の王”副生徒会長の皇一すめらぎはじめ先輩。
言うに事欠いて「女子生徒の風紀が乱れているのは新入生のひろし何某なにがしが原因である。理事会に掛け合って即刻退学にすべきだ!」とかのたまわっているらしい。
こいつ馬鹿なの?死にたいの?現状が何も見えていない。

「毎日こんな奴らをなだすかして、その上保護者の方まで…。ストレスと激務で同僚が次々入院するし、マネジメント部はすでに崩壊状態ですよ!
お願いです、私たちマネジメント部はあらゆる協力を約束します。
高木康太様、私たちを助けてください。」

チョッと勘弁してくださいよ、いきなり土下座しないで!
いい大人が泣きながら中学生に懇願しないで!
分かったから、何とかするから!

30分後、何とか吉川さんを慰め、落ち着かせることに成功。
もうこれだけで疲れてしまったが、こんな馬鹿馬鹿しい事にいつまでも付き合っていたくない。
スマホを取り出すと一本の電話を掛けるのであった。
「もしもし、スタジオGreenですか?僕、高木康太って言います。先生は居られますでしょうか。」


”はい、いいですね。こっちに視線をいただけますか?
はい結構です。撮影は以上になります。”
”ではこれよりインタビュー記事の方をお願い出来ますでしょうか?”

今僕は、休日の桜泉学園にいる。
「月間 ティーンBoys'」の特集記事、”今、明らかになる!私立桜泉学園のイケメンたち”の取材の為だ。
僕が考えた男子生徒馬鹿たちの対応は至ってシンプルだ。
あいつらは要はガキなのだ。
みんなで注目してイイコイイコしてやればいいのだ。
取材を行う雑誌が今一番勢いのある一流ファッション雑誌「ティーンBoys'」であること、撮影カメラマンが世界的ファッション雑誌からオファーを受けまくっている「スタジオGreen」であること。
”超一流からの依頼”と言う形で”自己顕示欲・承認欲求”を満たし自尊心を回復させればあら不思議、広告塔客寄せパンダの出来上がりである。
今までさんざん渋っていた雑誌等の取材も、自らのプライドを散々ひろし君にボロボロにされ弱った所に付け込めば、協力的な態度に早変わり。
こいつら自分プライドが無さすぎる。と言うかなんだその薄っぺらい自尊心は、こっちが恥ずかしい。

三田先生には借りが出来ちゃったな~。
来週末はスタジオGreenで着せ替え人形か…。
なんでこんな馬鹿たちの為に、行きたくないよ~。
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