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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第147話 春休みのお出掛けです (3)

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いや本当、この旅館最高。
夕飯めちゃ旨かった。山のお宿ならではの山菜や地元野菜をふんだんに使った和食料理の数々。天ぷらも酢の物も煮物も、おじさんマインドに響きまくり。
若さゆえの肉食祭りも良いけど、精神が求めるんですよ、素朴且つ繊細な和食料理を。
余は大変満足です。

その後入った露天風呂も良かった。
男性のお客さんが少ない為か、はたまた男性客が露天風呂を嫌がったのかは知らないけど、大露天風呂貸し切り状態。
めちゃくちゃ贅沢。
さらにさらに、わたくし素敵な出会いがありました。
野生の狐、超かわいいの。
お風呂に入って居たら庭の隅からちょこっと現れてくれたんですよこれが♪
疫病?エキノコックス?知った事か~!
あの可愛さにあらがえる訳無いだろう~!
始めはおっかなびっくりだったのに、ちょこんとお座りしてくれたんですよ、しかもお手まで。
自制心を発揮してナデナデしなかった私を褒めてほしい。

また会えるかな、会えるといいな~♪

今日は大変素晴らしい一日でした、まる。
大人たちはこれから宴会でしょう、お子様は先に休ませていただきますね。
お休みなさ~い。”グ~ッ“


”ヵッヵッヵッヵッヵッ”
”ガサガサガサガサガサ“

”ドカドカドカドカドカッ”
”ガタンッバタンッドカンッドッカンドンッ“

”ガサガサガサガサガサ“
”ガサガサガサガサガサ“
”ヵッヵッヵッヵッヵッ”

「お客様、おはようございます。朝食の準備が整っております。食事の間までお越しいただきます様お願いいたします。」

あ、はい、おはようございます。
いや~、良く寝たわ。旅行先に行くとあまり寝れなくなるって人がいるらしいけど、前世の俺って全くそんな事なかったんだよね。すぐ寝て朝の目覚めもばっちり。
って言うかもう朝食じゃん、朝風呂入り損ねた。(無念)
ご飯の後に入るってのも何か違うんだよな~。
明日の朝に賭けるしかないかな。
おっちゃん、おはようさん。よく眠れた?なんかよく眠れなかったみたいだね、もしかして枕が変わると眠れなくなるタイプ?
旅館とかに泊まると冷蔵庫の音や時計の針の音が気になって眠れなくなるって人がいるけど、もしかしてそっち系?
マミーが今日は一日のんびり過ごすって言ってたから露天風呂でも入ってゆっくりしたら、昨日入ったけど最高だったよ♪

「増山~、本当帰ったら修行のやり直しだからな。気合入れろよ。」
”バチィーン”

って朝からビビるわ、本当前世の“元気ですか!”って叫んでいたプロレスラーじゃないんだから、勘弁して。おっちゃんもそんなんで元気になる訳がないって…、元気になってんじゃん。
マミー凄すぎるんですけど。

よし、見なかった。食事の間に行こう、ご飯ご飯♪


いや~、今朝も美味しかった。朝のおかずは焼き魚に納豆、海苔となめこのお味噌汁。シンプルイズベスト。
お腹も身体も大満足です。気力がみなぎるね。
仲居さん(娘)が甲斐甲斐しくお世話してくれるのもイイ。思わずお代わりお願いしちゃいました。

昼間は特にやる事も無し。
マミー曰く、”暇なら座禅でもしてな”って旅行先でそれってどうなのよ。お寺に座禅ツアーに来たんじゃないんだからさ~。
と言う訳で仲居さん(娘)にご相談、近くにいい散歩コースがあるとの事なので地図を貰って出発です。

春の小道を一人お散歩。なんかこの旅に来たって感じ、いいよね♪
この辺妙に薄暗いけど、何かあるのかな?っと。
あれ、祠が折れた枝に埋まってるじゃん。誰も整備してないのかね~、道はそれなりに綺麗なのに、一軒宿だとそこまで手が回らないとか。
まあ、娘さんがお手伝いで仲居さんしてるくらいだしね。
ここはわたくしが手を貸しちゃいますか?

うん、大分綺麗になった。
本当は周りの枝葉ももう少し払いたいけど、素手だとこれが限界かな。草むしりは出来たし良しとしよう。
気持ち祠も明るくなったみたいだし。
旅館の旅、楽しませて頂いてます。ありがとうございます。
これからもこの旅館をよろしくお願いします。
”パンッ、パンッ”(合掌)

”キ――――――――――――ンッ“
”ブワッ“

うぉ、なに、突風?
今なんかすごい耳鳴りしたんだけど、なんだったの?
って言うか森の中めちゃくちゃ明るくなってるんですけど、小鳥の囀りなんてさっきまでしてなかったよね、本当何なの一体?

なんか変なこと多いな。大自然の神秘って奴かな?

ただいま~って女将さんどうしたの?きょろきょろ辺りを見回して。
もしかして鼠でも出た?山の中だから野生動物が出ても不思議じゃないし、俺たちはそんな事じゃ騒がないから安心してくださいね。

「お客様、先ほどは当宿の為、ご尽力いただきありがとうございました。こちらはほんの気持ちでございます。どうぞお納めください。」

あ、仲居さん(娘)、さっきはどうもありがとうね、いい散歩コースだったよ。
って言うか今のは何の話?
全然心当たりが無いんだけど。
もしかしたら祠掃除したのが分かっちゃったとか、この手を見たらバレるか、汚くしてごめんね。服も汚れてるし温泉行って着替えて来るよ。
でもなんか気を使わせて逆に悪いことしちゃったね。折角なので、この鈴のキーホルダーはありがたくいただいておきます。(感謝)

おっちゃん、露天風呂行った?最高だったでしょ。
ここだけの話、狐さんと戯れる事の出来る露天風呂ってこの旅館だけじゃないの?
おっちゃんはまだ見てないの?かわいそうに。めちゃくちゃかわいいんだよ、お狐様。
チャンスは後二回、夜か朝か。会えるといいよね、お狐様。

夕食も最高、明日帰るかと思うとちょっと残念。
でもそれが旅行と言うもの、非日常で心を癒し、日常で戦う英気を養う。
来たくなったらまた来ればいいさ。

「お客様、朝食の準備が出来ております。食事の間迄お願いいたします。」

うゎー、朝になっちゃったじゃん、また朝風呂逃しちゃったよ。え~ん、ショック~。
おっちゃんおはよう、今朝は凄い良い表情。良く寝れたみたいで何より何より。
マミーおはようさん。
今回は本当にありがとうね、最高の旅行だったよ。まだ帰りが残ってるけどさ、ちゃんとお礼が言いたくって。
ん?どうしたの?なんか複雑な顔してるけど。
帰りのサービスエリアで好きなだけ買い物していい?
何その太っ腹、至れり尽くせりで怖いんだけど。
でもまあ康太君たちのお土産もあるし、お言葉に甘えさせていただきます。
昨日は仲居さんにキーホルダーを貰っちゃったし、なんか良い事ずくめだよ。
ん?キーホルダーを見せて欲しいって?
はい、これだけど。
何二人して、凄い顔してるけど。
大事にしなさいって当然じゃん。
ここの娘さんなんでしょ?仲居さん。えらいよね、俺と大して年が変わらないように見えるのに、しっかり旅館を支えてるって。

二人して顔を見合わせちゃって何なのよ。仲居さんの顔?前髪ぱっつんで長い髪を後ろに縛った日本人形スタイルの美人さんだよ。
あれは将来女将さん以上の美人になるね、間違いない。

本当いい旅館だった、絶対また来るぞ~♪
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