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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第166話 性教育の授業、再び (2)

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射精管理官

男性保護法の付随義務である”十六歳以上の男性国民は自らの精子を国家に提出する義務”をサポートするために設けられた職業。精子管理局の指導のもと民間委託と言う形で行われている精子提供事業であるが、その職業に従事する為には精子管理官の国家資格を取得しなければならない。
精子提供事業は過去において民間事業者の自主管理の元行われていたが、特定人物の精子高騰、選民思想の台頭、激化する企業間争いによる男性の集団自殺などと言った問題を引き起こし、現在は政府監督の元国家事業の一翼として行われている。また、完全な国営事業とした場合経済に多大な混乱を引き起こす懸念から、国の管理下における民間委託事業として落ち着いた。

精子管理官の受験資格条件は、心理カウンセラー及び看護師資格を有し三年間の実務経験もしくは二年間の射精管理官専門教育を経る必要がある。また試験には射精管理局の面接もあり、精神的性格的に不適合とみなされた場合は不合格となる恐れがある。

射精管理官には一種二種の区分があり、一種は一般射精管理、二種は一般に加え特別射精管理の実務を行う事が出来る。一般射精管理は各射精管理所における精液採取業務になる。外出可能な男性の精子提供行為の際はこちらで行う事になる。
二種はいわゆる”引き籠り”と言った外出困難な男性を相手にする精子提供行為の補助になる。その為より深い男性に対する理解と、精神的なケアを行う技術が求められる。

(「誰にでもわかる男性保護法 -義務とその実態-」 著者:平田恵子 )

すげ~わ、男女比世界。
特別授業は大混乱、ビックジョー呆然、西山君恐慌、岡田君オロオロしてるし桜町っ子頭抱えてる。
洋一君や井上生徒会長全然平気な顔してたけど、こんなのよく耐えられるなと思ったら、ちゃんと抜け道在りました。
”十八歳未満の学生及び専門学校生はこの義務を免除する。”

おい脅かすなよ~、マジビビったやんけ。
視聴覚室中に零れる安どのため息、みんな心は一つだったのね、おじさんもほっと一安心。
政府も上手い事やる、これじゃ誰も引き籠りなんてできないじゃん。高校や専門学校は義務教育じゃないからね、出席日数や学業態度ですぐ退学くびに出来るし生徒も真面目に学校に来る。女子生徒はその間頑張って男子生徒を落として婚約して婚約してねって事なんだろうな~。

でもこれって絶対裏がありそうなんだよね~。
気になったんで唯一落ち着いた態度の木村君に話を聞くと、西城さんが詳しく教えてくれたとの事。
行って来ましたよ木村君ち。そんで西城さんに詳しい話を伺ってまいりました。

まず気になった事その一、結婚の義務について。
駄菓子屋のおばちゃんの所、一夫一妻じゃんって思ったんだよね。
これってどういう事って聞いてみました。

この結婚の義務には条件がございました。十八歳までに婚約者一名ってのは変えようがないらしい。二十八歳までの婚姻だけど、以下の条件のもとこれを免除するって条項があるんだと。
んでその条件てのが”一人の男児を含む三人以上の子供を儲ける事”。
これにより婚姻の義務が三十歳まで引きのばしになり、”男児二人を含む三人以上の子供を儲ける事”を達成すると婚姻の義務が完全に免除されるとの事。
駄菓子屋のおばちゃんは男子四人に女子四人、計八人の子持ちだからこれに該当するって事だね。
子育て支援に関しては各自治体が金銭的にも人的にも充実した手当を行っているので、それほど大変じゃないらしいよ。

でも結婚はしないといけないんだね。
覚悟しておきます。

気になった事その二、精子提供義務について。
実際これってどうなってるの?
恐怖半分興味半分聞いてみました。

まず精子提供の義務は実際の運用上十八歳以上の男性を対象に行われている。ただし、”婚姻関係を結び婚姻より二年以内に一人以上の子供を儲けた家庭に関してはこの義務を猶予する。”と言う条文があるそうです。
とっとと結婚して子供を作れって事らしい。そんでこの二年の猶予を過ぎると、そのあと子供を作っても精子提供の義務が発生するんだと。”白い結婚ごまかし”は許さないって事だね。子供が出来にくいってご家庭は諦めてください。
更に”すべての婚姻者間において二人以上の子供を儲けた場合はこれを免除する。”って条文もあるらしい。
つまり、康太君のお父さんはまだ精子提供しているのか~、偉いな~。(遠い目)
精子提供したくなかったらしっかり結婚して子供をガンガン産めって事らしい。

そうなってくると次に気になるのが違反者の事だよね、引き籠りや結婚したくないって男性はどうなるのって思うじゃん。
俺も気になっちゃったんで聞いてみました。

男性保護法における義務規定ってのがございました。これによると”これらの義務を身体的理由及び精神的疾患等の医師の判断による免除を除き果たさない者に対し、国は更生を促す事が出来る。”と言う一見当たり前のようで実は恐ろしい条項がございました。

男性更生院と言う施設が全国に七か所ございます。そちらの施設に三年ほど送られ、義務行為の大切さと実際の義務行為をしっかり学んでくるのだそうです。
デストピアじゃん。

卒院された元入所者、完全に人間が変わっているそうですよ。(ガクブル)
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