男女比世界は大変らしい。（ただしイケメンに限る）

第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第284話 学校見学へ行こう （４）

お、ようやく校舎に到着っと。
俺は朱音さんにお茶のお礼を述べた後、再び校舎に向けて歩いていた。スマホを見ると思っていたほど時間は経っていなかった。結構長い事おしゃべりしていたはずなんだけど。楽しい事は時間が経つのが早いというが、苦しくも辛くもないのに時間の流れが遅くなる事もあるらしい。この世は不思議で満ちている。

「チョッとそこのあなた、見慣れない顔ね。もしかしたら説明会に来た新入学生かしら？」
この声の掛けられ方、なんか覚えがあるんですけど？
ゆっくりと声のした方へ振り向くと、そこには何時かの風紀委員の先輩が、腰に手を当て訝しそうにこちらを睨んでいた。
おそらく今日の説明会の手伝いに呼ばれたのだろう、お仕事ご苦労様です。

「あら、あなたこう言ってはあれだけど本当に新入学予定生徒？悪いんだけど、確認させて頂いてもよろしいかしら。」
うん、こうなるよね。二度目だとショックも受けないや、どうぞ正門の警備主任さんがご存じだと思うんで連絡してみてください。

彼女はスマホを取り出し確認のため俺の写真を撮ると、警備主任にレインで連絡。返事はすぐに来て、疑いは解かれた様だった。
「疑ったりしてごめんなさい。でもあなたの様な容姿の生徒は今まで学園にはいなかったの、その辺は理解してちょうだい。それとあなた一人で説明会の会場に向かわせると他でも事情聴取を受けそうだから私が案内するわ。後に着いて来てくれる？」

風紀委員の先輩、改め風子さんはそう言うと先導して前を進む。
所で風子さん、今日はどれくらいの新入学生が来るんですか？
「誰が風子さんですか、変なあだ名をつけないでください。私には風見屋鈴子って言う立派な名前があるんですからね。」
風見屋鈴子・・・やっぱり風子さんじゃん。そんで風子さん、さっきの質問なんですけど。
「はぁ～、もういいわ風子で。あなたと話すとなんか調子が狂うわ。今日来る新入学予定者の話よね、あなたを含めて十六人って聞いてるわ。
学園中等部から高等部に上がる際に普通科クラス二クラスとスポーツ専科クラス一クラスが増えるからその分の補充って意味合いが強いかしら。
スポーツ専科と言っても夏の大会や普段の成績次第で上位クラスに食い込んで来るから、入学当初の仮称に過ぎないんだけどね。
今陸上界で話題の本条まなみ選手なんかは、一年の頃から頭角を現して秋のクラス替え時点でAクラス入りしていたそうだし、学園の運動部は全国大会の常連だから二年の段階では普通にGクラスって呼ばれてるわよ。」

へ～、変わったシステムだとは聞いていましたが、頻繁にクラス替えがあるって本当だったんですね。そうなるとクラスメイトだからって言うよりも同学年だからって感じの会話になるのかな？

「そうね、変わってるって言えば変わっているかも。まぁ、お陰でクラスでのカーストだのイジメだのは皆無よ、そんな事している暇ないしね。最近じゃ外部進学生の男子生徒の方がやさぐれてる感じだけど。」

アハハハ、うん、それは笑えないっすね。同じ男性として情けない。

「まぁ、男子生徒の中には人気俳優の石川洋一君や皇一君、生徒会長の尾崎秀悟君みたいに立派な生徒もいるからそんなに悲観しなくっても良いわよ。石川君なんかは”外部進学生の星”なんて言われてるくらいだしね。」
”ブフォ“
洋一君、相変わらず面白キャラだな～。今度揶揄ってやろ～。

「あらあなた、石川君と知り合い？彼私と同じ二年Aクラスだから今度聞いてみようかしら。」
あぁ～、洋一君は部活の先輩ですよ。鬼ごっこ同好会の佐々木って言えば分かると思います。

「え～、あなたあの鬼ごっこ同好会なの？観てるわよ、ヨウツーベの配信。じゃあ、あなたは運動部の推薦枠なのかしら、これは楽しみが増えるわね。」
いえ、自分は芸能枠ですね。これでも自分新人タレントやってるんで。
芸名はのっぺり佐々木って言います、覚えやすいでしょ？

「ブフッ、笑かさないでよ。えっ、本当にそんな芸名なの？名は体を表すって言うけど、表し過ぎじゃない？もう忘れられないじゃない、のっぺり佐々木君。
あ、ここが会場よ。説明会の後写真撮影もあるから頑張ってね、のっぺり♪」

そう言い残し、風子さんは見回りに戻っていった。なかなかいい人じゃないか風子さん。石川先輩に嫁候補としてどうですかって勧めておこうかな？