男女比世界は大変らしい。（ただしイケメンに限る）

第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第439話 木村君のお仕事 （２） （side : 木村英雄）

｢ニッキー！！｣
"ガシッ"
｢会いたかったよニッキー、ニッキーだ、ニッキーだよ～♪｣
"グリグリグリ"

｢止めんか高宮、ニッキーを殺す気か！｣
"グイッ"
俺はニッキーに抱き着く高宮を無理矢理引き剥がしニッキーを救出する。

｢石川先輩、皇先輩、高宮を連れて行って下さい。スタッフさんすぐにニッキーを医務室へ。｣

両脇を先輩方にガシッと掴まれ連行される高宮。いまだにニッキーの名を叫ぶ高宮。
"行かないでニッキー"じゃないんだよ、お前はとっとと仕事しろ！
なんで俺は張り扇聖剣を持って来なかったんだ、アイツは姿の違う佐々木だ、俺には張り扇相棒が必要だったんだ。
疼く右腕をグッと押さえる、"あの野郎をぶっ飛ばしたい"と言う思いを堪える様に。

フラフラになったニッキーはそれでも気丈に手を振っていた。その後ろ姿はプロの仕事を感じさせる美しいものであった。

｢おいおいお前ら、何入口でちんたらしてるんだよ。ディスティニーランドと言えば各種アトラクションだろうが、さっさと移動するぞ～。｣

｢｢｢はい、松村先輩！｣｣｣

この人はあの騒動に目もくれず中に入ってたのか。ある意味扱い易くて助かる。これ以上高宮お馬鹿が増えるのは勘弁願いたいからな。
いつも高宮お馬鹿の相手をしている三好さん、貴女は尊敬出来る女性です。改めてクラスメートの評価を上げる俺なのだった。

｢ようこそ中央都ディスティニーランドへ♪
四十周年を迎える当アミューズメントパークは、皆様を歓迎致します。｣

キャストと呼ばれるパークスタッフが我々を迎え入れてくれる。その後ろには何体かの人気キャラクターたちが手を振って歓迎の意を示していた。

再び目をキラキラさせる高宮、先輩方、絶対ソイツを逃がさないで下さい。
ここはメインとなるタレントがキャストとのトークを繰り広げるところ、松村先輩の腕の見せ所だが。

｢おい、お前ら何をやってる！さっさと行くぞ。まずはムーさんだな、基本は押さえるのが鉄則だからな。｣

流れを読めや松村～！
石川先輩は、"高宮落ち着け、ニミーもトナルドも逃げないから。少しは話しを聞け！"高宮～！
チッ、仕方がない。

｢こんにちは、本日はこんなに歓迎して頂きありがとうございます。｣（ニッコリ）

｢はい、ディスティニーランド広報部の吉野芽衣と申します。本日は皆様に特別なパークの楽しみ方をご案内致します。｣

｢丁寧なご挨拶ありがとうございます。先ほど四十周年とおっしゃっていましたが、何か記念イベントとかやられているんですか？｣

｢はい、本日はその記念イベントの裏側もご覧頂けますよ、お楽しみになさって下さい。｣（ニッコリ）

｢お前らいい加減にしろよ。先輩を待たすとはどう言う了見だ、あん？｣
ドカドカと足を踏み鳴らして戻って来た松村紫音馬鹿二号。

｢松村先輩、聞いて下さい。本日こちらのキャストの吉野さんが松村先輩の為に特別なパークの楽しみ方をご案内してくださるそうです。流石は松村先輩の御威光、俺たちだけではここまでの歓迎は受ける事など出来ません。世界に轟くアイドルグループ"ジャイアント"、俺の想像の遥か上でした。申し訳ありませんでした。｣

｢お、おう。そう言う事は先に言えよな。ま、俺くらいになればそれくらい当然だがお前ら程度じゃ想像が付かなくても仕方がないかも知れねえな。
じゃあ、キャストの吉野さんって言ったか？案内を頼めるかな。｣

｢はい、あの高名なアイドルグループ"ジャイアント"の松村紫音さんにお会い出来るだなんて大変光栄です！どうかよろしくお願い致します。
ではご案内させて頂きます。｣

うむ、吉野さん、馬鹿の扱いに慣れてる。これ程の施設になればそれこそこうした馬鹿の相手をする機会も多いのだろう。
俺は松村紫音俺様馬鹿の相手を吉野さんに任せ、先輩方の手を振り切ってトナルドに突貫をかましている高宮ひろし天然馬鹿の回収に向かうのであった。