追放されたデバフ使いが実は対ボス最終兵器でした〜「雑魚にすら効かない」という理由で捨てられたけど、竜も魔王も無力化できます〜

チャビューヘ

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第44話 【新たな仲間】

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 船が港に滑り込む。

 潮の匂いが鼻をついた。

 塩気を含んだ風が頬を撫でる。

 アクアベルの港は、シーブリーズとは違う活気に満ちていた。

 カモメの鳴き声が響く。

 波が桟橋を叩く音。

 漁師たちの威勢のいい掛け声。

 全てが海洋都市特有の空気を作り出していた。

「すごい街だな」

 ダリウスが目を輝かせる。

 街は三層構造になっていた。

 最下層には船着き場と倉庫群。

 中層には住居と商店。

 最上層には大きな建物が並んでいる。

「海導師ギルドは上層にあるはずだ」

 俺は地図を確認した。

 運河が街を縦横に走っている。

 水魔法で動く小舟が、人や荷物を運んでいた。

「魔法の街灯もあります」

 ミラが指差す。

 青白く光る街灯が、通りを照らしていた。

 俺たちは桟橋を降りる。

 木の板が軋む音がした。

 ポケットのブローチに触れる。

 冷たい金属の感触。

 クリスは今頃、王都の教会にいるだろうか。

 無事でいてくれればいい。

「アクセル、行くぞ」

 ダリウスが声をかけてきた。

「ああ」

 俺は頷いて、歩き出した。

 海導師ギルド本部は、最上層の中央にあった。

 白い石造りの建物だ。

 入り口には波の紋章が彫られている。

 扉を開けると、中は静かだった。

 シーブリーズのギルドとは違う。

 落ち着いた雰囲気。

 奥には大きな海図が掛かっていた。

「いらっしゃいませ」

 受付の若い女性が頭を下げる。

「海導師ギルドへようこそ」

「レヴィアス討伐の件で来た」

 俺は単刀直入に言った。

 女性の顔色が変わる。

「レヴィアス」

 彼女は小さく息を呑んだ。

「少々お待ちください」

 奥へ消えていく。

 しばらくして、白髪の老人が現れた。

 深い皺が顔に刻まれている。

 海の男特有の日焼けした肌。

「私がギルドマスターのアルバートだ」

 老人は俺たちを見た。

 鋭い眼光。

 まるで値踏みされているようだ。

「レヴィアス討伐? 本気か?」

「本気だ」

 俺は答えた。

「王国からの正式依頼だ」

 依頼書を取り出す。

 アルバートはそれを受け取った。

 しばらく黙読する。

「なるほど。S級冒険者か」

 彼は依頼書を返した。

「協力したいのは山々だが」

 老人は腕を組む。

「今は人手が足りん」

「人手不足?」

 ダリウスが聞き返した。

「ああ。レヴィアスの影響で沿岸が荒れている」

 アルバートは海図を指した。

「嵐が頻発してな。ほとんどの海導師が、漁業支援や沿岸警備に出払っている」

「では、誰も協力できないのか」

 ミラの声が小さくなる。

「そうは言ってない」

 老人は微笑んだ。

「一人だけ、いるかもしれん」

 その時だった。

 奥の扉が勢いよく開く。

「私が行きます!」

 明るい声が響いた。

 俺たちは振り返る。

 一人の女性が立っていた。

 長い黒髪を三つ編みにしている。

 海色の瞳。

 日焼けした肌が健康的だった。

 軽装の青い法衣。

 腰には水の結晶が複数下がっている。

「初めまして!」

 彼女は満面の笑みを浮かべた。

「私はセレナ。水魔法と航海術が得意です!」

「セレナ」

 アルバートが眉をひそめた。

「お前、また無茶を」

「大丈夫ですって!」

 セレナは手を振る。

「レヴィアス討伐、面白そうじゃないですか!」

「面白そう?」

 俺は思わず聞き返した。

「あ、ごめんなさい!」

 彼女は頭を掻く。

「不謹慎でしたね。でも、本当に協力したいんです」

 セレナは真剣な顔になった。

「この街を守りたいから」

 その瞳に、嘘はなさそうだった。

「お前、強いのか?」

 ダリウスが尋ねる。

「海洋戦闘ならA級レベルです!」

 セレナは胸を張った。

「水中呼吸魔法も使えますよ。海洋生物とも話せます」

「海洋生物と?」

 ミラが目を丸くした。

「はい! イルカやクジラと会話できるんです」

 セレナは嬉しそうに言う。

「役に立つと思いますよ!」

 俺はセレナを見た。

 明るい性格。

 クリスとは対照的だ。

 でも、その瞳には確かな決意がある。

「試してみるか」

 俺は言った。

「ダリウス、ミラ、どう思う?」

「元気があるのはいいことだ」

 ダリウスは笑う。

「私は」

 ミラは少し迷ったようだった。

「大丈夫だと思います」

「決まりだ」

 俺は頷いた。

「セレナ、仮加入だ。まずは実力を見せてもらう」

「やった!」

 セレナは飛び跳ねた。

「絶対に役に立ちますから!」

 アルバートが咳払いをする。

「それなら、装備を用意しよう」

 老人は奥の部屋へ向かった。

 しばらくして、戻ってくる。

 手には首飾りと腕輪。

「これは水中呼吸の首飾りだ」

 アルバートは四つの首飾りを渡した。

「水中で六時間呼吸できる」

「六時間も?」

 ダリウスが驚く。

「ああ。それと、これは抗水圧の腕輪だ」

 老人は四つの腕輪も渡す。

「深海での圧力を軽減する。これで深度200mまでは耐えられる」

「ありがとうございます」

 俺は装備を受け取った。

 重みがある。

 これで、レヴィアスに近づける。

「明日から訓練だ」

 セレナが言った。

「水中での動きに慣れてもらわないと」

「訓練?」

「はい! まずは深度10mから始めましょう!」

 彼女は楽しそうだった。

「それと、アクアベル沖の海洋モンスターも倒しておいた方がいいですね」

「海洋モンスター?」

 ミラが不安そうに聞く。

「シャークマンタです。エイと鮫の混合生物で」

 セレナは説明を始めた。

「最近、数が増えてるんです。レヴィアスの影響かもしれません」

「なら、一石二鳥だな」

 ダリウスが拳を握る。

「実戦訓練にもなる」

「そうです!」

 セレナは嬉しそうに頷いた。

「明日、船を用意しておきますね!」

 ギルドを出ると、夕日が海を染めていた。

 オレンジ色の光が波に反射する。

 風が少し冷たくなっていた。

「新しい仲間か」

 ダリウスが呟く。

「どう思う?」

「悪くない」

 俺は答えた。

「明るいし、この街のことをよく知っている」

「クリスさんとは、だいぶ違いますね」

 ミラが小さく言った。

「ああ」

 俺はポケットのブローチを握る。

「でも、それがいいんだ」

「そうですね」

 ミラは微笑んだ。

「セレナさん、きっと頼りになります」

 港に停泊する船が、夕日を浴びて輝いていた。

 明日からは水中訓練だ。

 そして、海洋モンスターとの戦闘。

 新しい仲間と共に、レヴィアスへと近づいていく。
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