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第48話 【港町の歓迎と情報収集】
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第48話 港町の歓迎と情報収集
翌朝。
アクアベルの市場は賑やかだった。
魚を売る声、値段を交渉する客、子供たちの笑い声。
* * *
俺たちは素材を抱えて市場に来ていた。
シャークマンタの皮、牙、ヒレ。
昨日の戦利品だ。
「どこで売るんだ?」
ダリウスが訊く。
「あそこです」
セレナが一軒の店を指差した。
看板に『海洋素材商会』
と書いてある。
店の前には様々な素材が並んでいた。
「おお、セレナじゃないか!」
店主が顔を上げた。
50代くらいの男性。
丸い体格。
商人らしい愛想のいい笑顔。
「お久しぶりです」
セレナが頭を下げる。
「戻ってきたのか?」
「はい、少しだけ」
店主が俺たちを見た。
「そちらの方々は?」
「一緒に冒険してる仲間です」
「ほう」
店主の目が素材に向いた。
一瞬、表情が変わる。
「これは……シャークマンタの素材か!?」
素材に手を伸ばす。
皮を触り、牙を確認。
ヒレの状態を調べる。
「しかも、上質だ」
店主が目を輝かせた。
「どこで手に入れた?」
「昨日、沖で5体倒しました」
セレナが答える。
「5体!?」
店主が驚きの声を上げた。
「シャークマンタを5体も?」
「ああ」
ダリウスが頷く。
「まあ、デバフのおかげだけどな」
店主が俺を見た。
「あなたがデバフ使いか」
「そうだ」
「なるほど……これなら納得だ」
店主が笑った。
「シャークマンタは素早いからな」
「動きを鈍らせないと、まず勝てない」
彼が素材を改めて見る。
「これだけの量と質なら……」
少し考え込む。
「300金貨で買い取ろう」
「300!?」
セレナの声が裏返った。
「ああ、正当な価格だ」
店主が頷く。
「シャークマンタの皮は防具の素材に最適」
「牙も短剣や槍の先端に使える」
「それに……」
店主が声を落とした。
「最近、供給が途絶えてたんだ」
「レヴィアスのせいで、誰も沖に出られなくてな」
俺たちは素材を売却した。
店主が金貨の袋を4つ用意する。
「75金貨ずつだ」
全員が袋を受け取る。
ずっしりとした重さ。
「……75金貨」
セレナの手が震えていた。
「こんな大金、初めて」
彼女の目が潤んでいる。
ダリウスが肩を叩いた。
「まあ、命がけだったしな」
「そうですね……」
セレナが笑った。
「でも、嬉しいです」
ミラが袋をしまう。
「これで、しばらくは安心ですね」
「ああ」
俺も袋を腰に下げた。
店を出る。
その時だった。
「おい、あんたら!」
男の声。
振り返ると、漁師の格好をした男が駆け寄ってきた。
50代くらい。
日焼けした顔。
たくましい体つき。
「シャークマンタを倒したって本当か!?」
「ああ」
ダリウスが答える。
「昨日な」
「マジかよ!」
漁師が俺たちの手を握った。
「助かるぜ!」
「あいつらのせいで漁ができなくてな!」
周りの漁師たちも集まってくる。
5人、6人、7人。
あっという間に人だかりができた。
「本当にありがとうございます!」
「おかげで少しは海に出られる!」
口々に感謝を述べる。
「いや、まだ5体だけだし」
俺が言う。
「5体でも十分ですよ」
別の漁師が答えた。
30代くらいの男性。
真面目そうな顔つき。
「あいつら、群れで行動するんです」
「1つの群れを潰せば、他の群れも警戒する」
「しばらくは近づいてこないはずです」
「そうなのか」
「ええ」
若い漁師が腕を組んだ。
「でも……問題は他にもある」
「他?」
ミラが訊く。
「レヴィアスです」
漁師たちの表情が曇る。
「封印が弱まって、海が荒れてる」
「嵐が頻発して、漁船が出られない日が多い」
若い漁師が遠くの海を見た。
そこには停泊したままの船が並んでいた。
普段なら海に出ているはずの時間帯。
だが、船は動かない。
「昨日も一昨日も、嵐で出られなかった」
「今日は珍しく晴れてるけど」
年配の漁師が首を振る。
「いつまた嵐が来るか分からない」
セレナが俯く。
「……ごめんなさい」
「え?」
「私、海導師なのに」
彼女の声が小さくなる。
「レヴィアスを止められなくて」
「いや、セレナは悪くねえよ」
最初の漁師が首を振った。
「レヴィアスは俺たちじゃ手も足も出ない」
「A級パーティでも全滅するんだからな」
「それに……」
別の漁師が口を開く。
白髪の老人。
80歳を超えているだろうか。
「わしが若い頃は、こんなじゃなかった」
「昔は?」
アクセルが訊く。
「50年前、わしが20の頃」
老人が目を細めた。
「穏やかな海だった」
「嵐なんて年に数回程度」
「魚も豊富で、漁師は皆、豊かだった」
「でも……30年くらい前から変わり始めた」
「封印が弱まったんですね」
ミラが言う。
「そういうことか」
老人が頷いた。
「最初は小さな変化だった」
「波が少し高くなる程度」
「だが、年々ひどくなっていった」
「そして今は……」
老人が港を見回す。
「こんな有様だ」
俺は港の様子を観察した。
船が並んでいる。
甲板で漁師たちが座り込んでいた。
網の修理をする手が止まっている。
出漁できない。
生活ができない。
町全体が沈んでいる。
「封印を強化すれば、嵐も止まる」
俺が言った。
「本当ですか!?」
若い漁師が身を乗り出す。
「ああ」
「じゃあ、お願いします!」
「俺たちじゃ、レヴィアスには敵わない!」
他の漁師たちも頷く。
「任せてくれ」
ダリウスが胸を叩いた。
「俺たちがなんとかする」
「ありがとうございます!」
漁師たちが深々と頭を下げた。
俺たちは市場を後にした。
海沿いの道を歩く。
潮風が心地いい。
「みんな、困ってるんだな」
ダリウスが呟く。
「はい」
セレナが頷いた。
「アクアベルは漁業の町です」
「海が荒れれば、町全体が死ぬ」
彼女の拳が握られていた。
「私、絶対にレヴィアスを止めます」
「この町を守りたい」
「大丈夫だ」
俺が言う。
「4人でやれば、なんとかなる」
「そうだな」
ダリウスが笑った。
「グラナドスも倒したしな」
「レヴィアスだって、同じだろ」
「……ありがとうございます」
セレナが笑顔を見せた。
だが、その時。
遠くで何かが光った。
海の向こう。
水柱が上がる。
一本、二本、三本。
空高く伸びる水の柱。
「……まずい」
セレナの顔が青ざめた。
「レヴィアスが、また動いた」
風が強くなる。
さっきまで穏やかだった海が波立ち始めた。
雲が集まってくる。
嵐の予兆。
「やべえな」
ダリウスが眉をひそめる。
「ああ」
俺も海を見つめた。
レヴィアスの力。
封印が弱まっている。
時間がない。
急がないと、この町は沈む。
「海導師ギルドに行こう」
セレナが言った。
「レヴィアスの巣の場所を調べないと」
「分かった」
俺たちは足を速めた。
背後で、雷鳴が響いた。
翌朝。
アクアベルの市場は賑やかだった。
魚を売る声、値段を交渉する客、子供たちの笑い声。
* * *
俺たちは素材を抱えて市場に来ていた。
シャークマンタの皮、牙、ヒレ。
昨日の戦利品だ。
「どこで売るんだ?」
ダリウスが訊く。
「あそこです」
セレナが一軒の店を指差した。
看板に『海洋素材商会』
と書いてある。
店の前には様々な素材が並んでいた。
「おお、セレナじゃないか!」
店主が顔を上げた。
50代くらいの男性。
丸い体格。
商人らしい愛想のいい笑顔。
「お久しぶりです」
セレナが頭を下げる。
「戻ってきたのか?」
「はい、少しだけ」
店主が俺たちを見た。
「そちらの方々は?」
「一緒に冒険してる仲間です」
「ほう」
店主の目が素材に向いた。
一瞬、表情が変わる。
「これは……シャークマンタの素材か!?」
素材に手を伸ばす。
皮を触り、牙を確認。
ヒレの状態を調べる。
「しかも、上質だ」
店主が目を輝かせた。
「どこで手に入れた?」
「昨日、沖で5体倒しました」
セレナが答える。
「5体!?」
店主が驚きの声を上げた。
「シャークマンタを5体も?」
「ああ」
ダリウスが頷く。
「まあ、デバフのおかげだけどな」
店主が俺を見た。
「あなたがデバフ使いか」
「そうだ」
「なるほど……これなら納得だ」
店主が笑った。
「シャークマンタは素早いからな」
「動きを鈍らせないと、まず勝てない」
彼が素材を改めて見る。
「これだけの量と質なら……」
少し考え込む。
「300金貨で買い取ろう」
「300!?」
セレナの声が裏返った。
「ああ、正当な価格だ」
店主が頷く。
「シャークマンタの皮は防具の素材に最適」
「牙も短剣や槍の先端に使える」
「それに……」
店主が声を落とした。
「最近、供給が途絶えてたんだ」
「レヴィアスのせいで、誰も沖に出られなくてな」
俺たちは素材を売却した。
店主が金貨の袋を4つ用意する。
「75金貨ずつだ」
全員が袋を受け取る。
ずっしりとした重さ。
「……75金貨」
セレナの手が震えていた。
「こんな大金、初めて」
彼女の目が潤んでいる。
ダリウスが肩を叩いた。
「まあ、命がけだったしな」
「そうですね……」
セレナが笑った。
「でも、嬉しいです」
ミラが袋をしまう。
「これで、しばらくは安心ですね」
「ああ」
俺も袋を腰に下げた。
店を出る。
その時だった。
「おい、あんたら!」
男の声。
振り返ると、漁師の格好をした男が駆け寄ってきた。
50代くらい。
日焼けした顔。
たくましい体つき。
「シャークマンタを倒したって本当か!?」
「ああ」
ダリウスが答える。
「昨日な」
「マジかよ!」
漁師が俺たちの手を握った。
「助かるぜ!」
「あいつらのせいで漁ができなくてな!」
周りの漁師たちも集まってくる。
5人、6人、7人。
あっという間に人だかりができた。
「本当にありがとうございます!」
「おかげで少しは海に出られる!」
口々に感謝を述べる。
「いや、まだ5体だけだし」
俺が言う。
「5体でも十分ですよ」
別の漁師が答えた。
30代くらいの男性。
真面目そうな顔つき。
「あいつら、群れで行動するんです」
「1つの群れを潰せば、他の群れも警戒する」
「しばらくは近づいてこないはずです」
「そうなのか」
「ええ」
若い漁師が腕を組んだ。
「でも……問題は他にもある」
「他?」
ミラが訊く。
「レヴィアスです」
漁師たちの表情が曇る。
「封印が弱まって、海が荒れてる」
「嵐が頻発して、漁船が出られない日が多い」
若い漁師が遠くの海を見た。
そこには停泊したままの船が並んでいた。
普段なら海に出ているはずの時間帯。
だが、船は動かない。
「昨日も一昨日も、嵐で出られなかった」
「今日は珍しく晴れてるけど」
年配の漁師が首を振る。
「いつまた嵐が来るか分からない」
セレナが俯く。
「……ごめんなさい」
「え?」
「私、海導師なのに」
彼女の声が小さくなる。
「レヴィアスを止められなくて」
「いや、セレナは悪くねえよ」
最初の漁師が首を振った。
「レヴィアスは俺たちじゃ手も足も出ない」
「A級パーティでも全滅するんだからな」
「それに……」
別の漁師が口を開く。
白髪の老人。
80歳を超えているだろうか。
「わしが若い頃は、こんなじゃなかった」
「昔は?」
アクセルが訊く。
「50年前、わしが20の頃」
老人が目を細めた。
「穏やかな海だった」
「嵐なんて年に数回程度」
「魚も豊富で、漁師は皆、豊かだった」
「でも……30年くらい前から変わり始めた」
「封印が弱まったんですね」
ミラが言う。
「そういうことか」
老人が頷いた。
「最初は小さな変化だった」
「波が少し高くなる程度」
「だが、年々ひどくなっていった」
「そして今は……」
老人が港を見回す。
「こんな有様だ」
俺は港の様子を観察した。
船が並んでいる。
甲板で漁師たちが座り込んでいた。
網の修理をする手が止まっている。
出漁できない。
生活ができない。
町全体が沈んでいる。
「封印を強化すれば、嵐も止まる」
俺が言った。
「本当ですか!?」
若い漁師が身を乗り出す。
「ああ」
「じゃあ、お願いします!」
「俺たちじゃ、レヴィアスには敵わない!」
他の漁師たちも頷く。
「任せてくれ」
ダリウスが胸を叩いた。
「俺たちがなんとかする」
「ありがとうございます!」
漁師たちが深々と頭を下げた。
俺たちは市場を後にした。
海沿いの道を歩く。
潮風が心地いい。
「みんな、困ってるんだな」
ダリウスが呟く。
「はい」
セレナが頷いた。
「アクアベルは漁業の町です」
「海が荒れれば、町全体が死ぬ」
彼女の拳が握られていた。
「私、絶対にレヴィアスを止めます」
「この町を守りたい」
「大丈夫だ」
俺が言う。
「4人でやれば、なんとかなる」
「そうだな」
ダリウスが笑った。
「グラナドスも倒したしな」
「レヴィアスだって、同じだろ」
「……ありがとうございます」
セレナが笑顔を見せた。
だが、その時。
遠くで何かが光った。
海の向こう。
水柱が上がる。
一本、二本、三本。
空高く伸びる水の柱。
「……まずい」
セレナの顔が青ざめた。
「レヴィアスが、また動いた」
風が強くなる。
さっきまで穏やかだった海が波立ち始めた。
雲が集まってくる。
嵐の予兆。
「やべえな」
ダリウスが眉をひそめる。
「ああ」
俺も海を見つめた。
レヴィアスの力。
封印が弱まっている。
時間がない。
急がないと、この町は沈む。
「海導師ギルドに行こう」
セレナが言った。
「レヴィアスの巣の場所を調べないと」
「分かった」
俺たちは足を速めた。
背後で、雷鳴が響いた。
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