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第54話 【封印の洞窟と第2の真実】
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足に力が戻っている。
アクセルは立ち上がった。
十分。たった十分だが、動けるようになった。
「よし、行くぞ」
ダリウスが額の汗を拭いながら頷いた。
手の震えは収まっていた。
セレナが船体に手を当てた。
青い光が掌から溢れ出す。
「修理魔法、使います」
魔力が右舷の損傷部分に染み込んでいく。
完全な修復ではない。
だが、浸水は止まった。
「これで大丈夫です。しばらくは」
セレナの声に疲労がにじむ。
だが、その目には決意があった。
ミラが船の端から立ち上がった。
「マナ、少し回復しました」
まだ顔色は青い。
それでも、杖を握る手に力が入っていた。
* * *
船を岸に寄せた。
洞窟の内部は想像以上に広かった。
天井から水晶が吊り下がっている。
その一つ一つが、青白い光を放っていた。
「綺麗ですね」
ミラが息を飲んだ。
足元は濡れた岩だ。
一歩踏み出すたび、靴底が滑る。
潮の香りに、海藻の匂いが混じっている。
遠くから波の音が聞こえた。
だが、洞窟の中は不思議なほど静かだった。
「気をつけろ。足元が滑る」
ダリウスが前を歩きながら言った。
アクセルは周囲を警戒しながら進んだ。
眷属がまだいるかもしれない。
油断はできなかった。
水晶の光が、道を照らしてくれる。
まるで導かれているようだった。
* * *
どれくらい歩いただろうか。
洞窟が急に開けた。
そこに、それはあった。
巨大な石碑。
高さは五メートルを超えている。
表面には、細かな文字が刻まれていた。
「これは」
セレナが駆け寄った。
石碑の前で足を止め、目を凝らす。
「古代文字です」
アクセルも近づいた。
文字は複雑な曲線で構成されている。
彼には読めなかった。
クリスがいれば、すぐに解読できただろう。
だが今、彼女はここにいない。
「私も少し読めます」
セレナが振り返った。
「海導師ギルドで、古代文字を習いました」
彼女は石碑に向き直った。
指で文字をなぞりながら、ゆっくりと読み上げる。
「東の封印、守護者レヴィアス」
全員が息を飲んだ。
「嵐を司る海蛇、封印の力で永遠に生きる」
セレナの声が洞窟に響く。
「封印が弱まれば、守護者は狂う」
ミラが小さく震えた。
「守護者を倒し、核を封印に捧げよ」
セレナは顔を上げた。
その表情は緊張で強張っている。
「グラナドスと同じか」
ダリウスが腕を組んだ。
「守護者を倒して、封印を再強化する。それが俺たちの仕事だな」
アクセルは頷いた。
北の封印と同じ構造だ。
グラナドスの時と、やるべきことは変わらない。
だが、セレナはまだ石碑を見つめていた。
「続きがあります」
* * *
セレナの指が、石碑の下部をなぞった。
「8つの災厄は、かつて一つだった」
アクセルの心臓が跳ねた。
「古代の大戦で、災厄は8つに分割され封印された」
ミラが杖を握りしめた。
指先が白くなっている。
「8つが再び集まる時」
セレナの声が震えた。
「元の姿、絶対災厄が復活する」
沈黙が落ちた。
絶対災厄。
その言葉が、重く響いた。
「絶対災厄」
ミラの声がかすれた。
顔色が、さらに青くなっている。
アクセルは石碑を見上げた。
8つの封印が全て破られれば、災厄が一つに戻る。
それが意味することは、一つしかない。
「つまり、8つの封印を全て守らないと」
言葉が、途切れた。
「世界が終わる」
セレナが、静かに言った。
誰も、何も言えなかった。
* * *
ダリウスが大きく息を吐いた。
「重い話だな」
彼の声には、いつもの軽さがなかった。
だが、目は真剣だった。
「でも、やることは変わらねぇ。一つずつ、潰していくだけだ」
アクセルは頷いた。
世界の危機。
その言葉は重い。
だが、目の前の敵を倒すことに集中するしかない。
「他に情報は」
セレナは石碑の下部を見た。
だが、そこは大きく欠けていた。
文字が読めない。
「ここから先は読めません」
セレナが首を振った。
「石碑が壊れています」
「レヴィアス本人に聞くしかないか」
アクセルは呟いた。
グラナドスも、戦闘の後に真実を語った。
レヴィアスも、同じかもしれない。
その時、セレナが声を上げた。
「待ってください。側面にも何か」
彼女は石碑の側面に回った。
そこにも、文字が刻まれていた。
「水を制する者、連鎖を極める」
アクセルの背筋が、ぞくりとした。
「流れは無限、呪いは波となり広がる」
流れは無限。
その言葉が、頭の中で響いた。
嵐の中で気づいたこと。
水がデバフを媒介していたこと。
あれは、偶然ではなかったのかもしれない。
俺のカスケードも、まだ先がある。
指先が、かすかに熱くなった。
「アクセルさん?」
セレナが首をかしげた。
「いや、何でもない」
アクセルは首を振った。
「行こう。先に進む」
* * *
石碑を後にした。
洞窟はさらに奥へと続いている。
水晶の光が、道を示していた。
しばらく進んだ。
突然、視界が開けた。
そこは、巨大な空間だった。
地下海。
その言葉が、アクセルの頭に浮かんだ。
目の前に広がるのは、暗い海だった。
天井は遥か上にある。
水晶の光が、海面を青白く照らしていた。
「すごい」
ミラが息を飲んだ。
セレナが前に出た。
その目が、海の中央を見つめている。
「あれが、レヴィアスの巣」
アクセルは目を凝らした。
地下海の中央。
そこに、巨大な渦が見えた。
暗い海の中で、ゆっくりと回転している。
「あの渦の中にいるのか?」
ダリウスが眉をひそめた。
「たぶん」
セレナの声が緊張で硬くなっている。
「あの渦の先に、封印の祭壇があるはずです」
アクセルは首飾りに手を当てた。
水中呼吸の首飾り。
6時間は持つはずだ。
「全員、装備を確認しろ」
ダリウスが腕輪を見た。
抗水圧の腕輪。
深度200メートルまで対応。
「問題ねぇ」
ミラも首飾りを確認した。
「大丈夫です」
セレナが頷いた。
「私も」
ミラだけが、少し躊躇していた。
「大丈夫か、ミラ」
アクセルが声をかける。
「炎魔法が使えない環境って、初めてなので」
ミラは苦笑した。
だが、首飾りをしっかり握った。
「でも、私にもできること、ありますから!」
少し強がりを混ぜた笑顔だった。
「氷魔法がある。水中では強化されるはずだ」
アクセルは頷いた。
「頼りにしてる」
ミラの表情が、少しだけ明るくなった。
* * *
「船は岸に固定する」
四人は船から岩場に降りた。
ダリウスがロープを岩に結びつけていく。
その間に、アクセルは地下海を見つめた。
あの渦の先に、レヴィアスがいる。
嵐の海蛇。
東の封印の守護者。
本当の戦いは、これからだ。
「準備完了だぜ」
ダリウスが戻ってきた。
四人は岩場の縁に立った。
眼下に、暗い海が口を開けている。
「行くぞ」
アクセルが首飾りに魔力を流した。
首飾りが、温かく光った。
アクセルが最初に跳んだ。
冷たい水が、体を包み込んだ。
アクセルは立ち上がった。
十分。たった十分だが、動けるようになった。
「よし、行くぞ」
ダリウスが額の汗を拭いながら頷いた。
手の震えは収まっていた。
セレナが船体に手を当てた。
青い光が掌から溢れ出す。
「修理魔法、使います」
魔力が右舷の損傷部分に染み込んでいく。
完全な修復ではない。
だが、浸水は止まった。
「これで大丈夫です。しばらくは」
セレナの声に疲労がにじむ。
だが、その目には決意があった。
ミラが船の端から立ち上がった。
「マナ、少し回復しました」
まだ顔色は青い。
それでも、杖を握る手に力が入っていた。
* * *
船を岸に寄せた。
洞窟の内部は想像以上に広かった。
天井から水晶が吊り下がっている。
その一つ一つが、青白い光を放っていた。
「綺麗ですね」
ミラが息を飲んだ。
足元は濡れた岩だ。
一歩踏み出すたび、靴底が滑る。
潮の香りに、海藻の匂いが混じっている。
遠くから波の音が聞こえた。
だが、洞窟の中は不思議なほど静かだった。
「気をつけろ。足元が滑る」
ダリウスが前を歩きながら言った。
アクセルは周囲を警戒しながら進んだ。
眷属がまだいるかもしれない。
油断はできなかった。
水晶の光が、道を照らしてくれる。
まるで導かれているようだった。
* * *
どれくらい歩いただろうか。
洞窟が急に開けた。
そこに、それはあった。
巨大な石碑。
高さは五メートルを超えている。
表面には、細かな文字が刻まれていた。
「これは」
セレナが駆け寄った。
石碑の前で足を止め、目を凝らす。
「古代文字です」
アクセルも近づいた。
文字は複雑な曲線で構成されている。
彼には読めなかった。
クリスがいれば、すぐに解読できただろう。
だが今、彼女はここにいない。
「私も少し読めます」
セレナが振り返った。
「海導師ギルドで、古代文字を習いました」
彼女は石碑に向き直った。
指で文字をなぞりながら、ゆっくりと読み上げる。
「東の封印、守護者レヴィアス」
全員が息を飲んだ。
「嵐を司る海蛇、封印の力で永遠に生きる」
セレナの声が洞窟に響く。
「封印が弱まれば、守護者は狂う」
ミラが小さく震えた。
「守護者を倒し、核を封印に捧げよ」
セレナは顔を上げた。
その表情は緊張で強張っている。
「グラナドスと同じか」
ダリウスが腕を組んだ。
「守護者を倒して、封印を再強化する。それが俺たちの仕事だな」
アクセルは頷いた。
北の封印と同じ構造だ。
グラナドスの時と、やるべきことは変わらない。
だが、セレナはまだ石碑を見つめていた。
「続きがあります」
* * *
セレナの指が、石碑の下部をなぞった。
「8つの災厄は、かつて一つだった」
アクセルの心臓が跳ねた。
「古代の大戦で、災厄は8つに分割され封印された」
ミラが杖を握りしめた。
指先が白くなっている。
「8つが再び集まる時」
セレナの声が震えた。
「元の姿、絶対災厄が復活する」
沈黙が落ちた。
絶対災厄。
その言葉が、重く響いた。
「絶対災厄」
ミラの声がかすれた。
顔色が、さらに青くなっている。
アクセルは石碑を見上げた。
8つの封印が全て破られれば、災厄が一つに戻る。
それが意味することは、一つしかない。
「つまり、8つの封印を全て守らないと」
言葉が、途切れた。
「世界が終わる」
セレナが、静かに言った。
誰も、何も言えなかった。
* * *
ダリウスが大きく息を吐いた。
「重い話だな」
彼の声には、いつもの軽さがなかった。
だが、目は真剣だった。
「でも、やることは変わらねぇ。一つずつ、潰していくだけだ」
アクセルは頷いた。
世界の危機。
その言葉は重い。
だが、目の前の敵を倒すことに集中するしかない。
「他に情報は」
セレナは石碑の下部を見た。
だが、そこは大きく欠けていた。
文字が読めない。
「ここから先は読めません」
セレナが首を振った。
「石碑が壊れています」
「レヴィアス本人に聞くしかないか」
アクセルは呟いた。
グラナドスも、戦闘の後に真実を語った。
レヴィアスも、同じかもしれない。
その時、セレナが声を上げた。
「待ってください。側面にも何か」
彼女は石碑の側面に回った。
そこにも、文字が刻まれていた。
「水を制する者、連鎖を極める」
アクセルの背筋が、ぞくりとした。
「流れは無限、呪いは波となり広がる」
流れは無限。
その言葉が、頭の中で響いた。
嵐の中で気づいたこと。
水がデバフを媒介していたこと。
あれは、偶然ではなかったのかもしれない。
俺のカスケードも、まだ先がある。
指先が、かすかに熱くなった。
「アクセルさん?」
セレナが首をかしげた。
「いや、何でもない」
アクセルは首を振った。
「行こう。先に進む」
* * *
石碑を後にした。
洞窟はさらに奥へと続いている。
水晶の光が、道を示していた。
しばらく進んだ。
突然、視界が開けた。
そこは、巨大な空間だった。
地下海。
その言葉が、アクセルの頭に浮かんだ。
目の前に広がるのは、暗い海だった。
天井は遥か上にある。
水晶の光が、海面を青白く照らしていた。
「すごい」
ミラが息を飲んだ。
セレナが前に出た。
その目が、海の中央を見つめている。
「あれが、レヴィアスの巣」
アクセルは目を凝らした。
地下海の中央。
そこに、巨大な渦が見えた。
暗い海の中で、ゆっくりと回転している。
「あの渦の中にいるのか?」
ダリウスが眉をひそめた。
「たぶん」
セレナの声が緊張で硬くなっている。
「あの渦の先に、封印の祭壇があるはずです」
アクセルは首飾りに手を当てた。
水中呼吸の首飾り。
6時間は持つはずだ。
「全員、装備を確認しろ」
ダリウスが腕輪を見た。
抗水圧の腕輪。
深度200メートルまで対応。
「問題ねぇ」
ミラも首飾りを確認した。
「大丈夫です」
セレナが頷いた。
「私も」
ミラだけが、少し躊躇していた。
「大丈夫か、ミラ」
アクセルが声をかける。
「炎魔法が使えない環境って、初めてなので」
ミラは苦笑した。
だが、首飾りをしっかり握った。
「でも、私にもできること、ありますから!」
少し強がりを混ぜた笑顔だった。
「氷魔法がある。水中では強化されるはずだ」
アクセルは頷いた。
「頼りにしてる」
ミラの表情が、少しだけ明るくなった。
* * *
「船は岸に固定する」
四人は船から岩場に降りた。
ダリウスがロープを岩に結びつけていく。
その間に、アクセルは地下海を見つめた。
あの渦の先に、レヴィアスがいる。
嵐の海蛇。
東の封印の守護者。
本当の戦いは、これからだ。
「準備完了だぜ」
ダリウスが戻ってきた。
四人は岩場の縁に立った。
眼下に、暗い海が口を開けている。
「行くぞ」
アクセルが首飾りに魔力を流した。
首飾りが、温かく光った。
アクセルが最初に跳んだ。
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