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第6話 そして今日
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喫煙室の扉が開いた。
隼人が入ってくる。桐生は壁にもたれて煙草を吸っていた。
「来たな」
「……ええ」
隼人は扉を閉めた。鍵をかける。
桐生の唇が、わずかに歪んだ。
「鍵かけるってことは」
「……分かってるくせに」
隼人は桐生の隣に立った。煙草に火をつける。
二人は並んで、煙を吐き出した。
「なあ、隼人」
「……何ですか」
「お前、もう俺のこと避けないんだな」
「……避けてません」
「最初は避けてただろ」
「……っ」
隼人は視線を逸らす。桐生は笑った。
「可愛かったぞ」
「……黙ってください」
「黙らない」
桐生は煙草を灰皿に捨てた。隼人の方を向く。
「お前、俺のこと好きか?」
隼人の手が止まった。
「……何ですか、急に」
「聞いてんだよ」
「……っ」
隼人は煙草を灰皿に押し付けた。まだ半分以上残っているのに、火を消した。
「……知りません」
「知らないのか」
「知りません」
「じゃあ、嫌いか?」
「……嫌いじゃないです」
「なら、好きだろ」
「……っ」
隼人の顔が赤くなる。桐生はそれを見て、満足そうに笑った。
「やっぱりな」
「……勝手に決めつけないでください」
「勝手じゃない」
桐生は隼人の腰を掴んだ。自分の方に引き寄せる。
「っ……!」
下腹部同士が押し付けられる。
「お前の身体は正直だぞ」
「……っ」
桐生の手が、隼人の股間を撫でた。すでに硬くなっている。
「ほら、もう勃ってる」
「……っ、それは……」
「それは?」
「……条件反射です」
「条件反射か」
桐生は笑った。そして、隼人の唇を奪った。
「んっ……!」
舌が侵入してくる。口内を貪るように探っていく。
ちゅぱ、ちゅぷ、ちゅるる……
「っ……ん、っ……」
隼人の抵抗はもうなかった。桐生の舌に、自分の舌を絡ませていく。
桐生は隼人を壁に押し付けた。
「っ……!」
背中が冷たい壁に触れる。桐生の手が、隼人のベルトを外していく。
「ここで、また……」
「ああ」
「……もう、慣れました」
「そうか」
桐生は隼人のジーンズを下ろした。下着も一緒に脱がせる。
隼人の肉棒が、ばちんと跳ねた。先端から、透明な液体が糸を引いている。
「すごい濡れてるな」
「……先輩のせいです」
「俺のせいか」
「そうです」
隼人は桐生のジーンズに手を伸ばした。ベルトを外す。
「……っ」
桐生の目が、わずかに見開かれる。
「お前……」
「今日は、俺が」
隼人は桐生のジーンズを下ろした。下着も下ろす。
桐生の肉棒が、ばちんと跳ねた。
「……相変わらず、大きいですね」
「お前のも大きいだろ」
「……先輩ほどじゃないです」
隼人は桐生の肉棒を握った。ゆっくりと、上下に動かし始める。
ずりゅ、ずりゅ……
「っ……」
桐生の呼吸が荒くなる。
隼人は身体を屈めた。桐生の肉棒を口に含む。
「ちゅぱ、じゅぽ……」
「っ……お前……」
桐生の手が、隼人の髪を撫でた。
隼人は舌を使って、竿の部分を舐め上げていく。先端の窪みをちゅぱちゅぱと吸い上げた。
「っ……いいぞ……」
「んっ……」
隼人は桐生の肉棒を深く咥えた。喉の奥まで押し込む。
「っ――!」
桐生の腰が浮く。
「お前、本当に上手くなったな」
「んっ……」
隼人は動きを止めない。上下に頭を動かし続ける。
「ぐぽぐぽ、じゅぽじゅぽ……」
卑猥な音が響く。桐生の手が、隼人の髪を掴んだ。
「っ……このままじゃ、イッちまう……」
「んっ……!」
隼人は桐生の肉棒を口から離した。顔を上げる。
「……先輩」
「ん?」
「今日は……その……」
言葉が続かない。
桐生の目が、優しく細められた。
「言えよ」
「……俺が、上に」
「上に?」
「……乗りたいです」
桐生の目が見開かれた。
「……お前」
「……ダメですか」
「ダメじゃない」
桐生は隼人を抱き起こした。そして、自分が床に座る。
「来いよ」
「……っ」
隼人は桐生の腰に跨った。
桐生はポケットからローションを取り出した。指に取る。
「ほぐしてやる」
「……お願いします」
桐生の指が、隼人の穴に当てられた。ゆっくりと押し込まれていく。
「っ……ん、っ……」
隼人の顔が歪む。だが、もう痛みはほとんどなかった。
「もう慣れたな」
「……ええ」
桐生の指が、内側を探っていく。例の場所を見つけた。
「っ――!!」
隼人の身体が跳ねる。
「ここだな」
「っ……そこ、は……」
「気持ちいいだろ」
桐生の指が、その部分をぐりぐりと押し込んだ。
「っ――!! あ、ああっ……!」
隼人の声が大きくなる。桐生は二本目、三本目と指を増やしていった。
「……っ、あ、っ……」
「もう大丈夫だな」
桐生は指を抜いた。自分の肉棒にローションを塗る。
「自分で入れろ」
「……っ」
隼人は桐生の肉棒を掴んだ。自分の穴に先端を当てる。
ゆっくりと、腰を下ろしていく。
「っ――!!」
桐生の肉棒が、隼人の中に入っていく。
「っ……はあ……はあ……」
隼人は荒い呼吸を繰り返しながら、さらに腰を下ろしていく。
「……っ、全部……入りました……」
「ああ」
桐生は隼人の腰を掴んだ。
「動けよ」
「……はい」
隼人は腰を上下に動かし始めた。
ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅ……
「っ、あ……ん、っ……」
隼人の声が漏れる。桐生は隼人の肉棒を握った。ゆっくりと扱き始める。
ずりゅ、ずりゅ……
「っ……先輩……」
「気持ちいいか?」
「気持ち……いい……です……」
隼人は素直に答えた。桐生は満足そうに笑った。
「なら、もっと動けよ」
「……っ」
隼人は腰の動きを速めた。
「ぬちゅぬちゅぬちゅ……ぐちゅぐちゅ……」
「っ、ああ……!」
隼人の声が大きくなる。桐生はそれを聞きながら、隼人の肉棒を激しく扱き始めた。
ずりゅずりゅずりゅずりゅ――
「っ、や……もう……!」
「まだだ」
「無理……です……」
「無理じゃない」
桐生の手が止まらない。隼人の腰の動きも止まらない。
「ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ――!」
「っ、ダメ……もう……!」
「我慢しろ」
「無理っ……!!」
隼人の限界が近づく。
「っ、出る……!」
「イケよ」
「っ――!!」
隼人の身体が弓なりに反る。
「ドピュッ、ドピュッ、ドピュルルルッ――!!」
白濁した液体が、勢いよく噴き出した。桐生の腹部に飛び散る。
「……っ、ぁ……あ……」
隼人の身体から力が抜ける。だが、桐生は腰を突き上げ始めた。
「っ……! ちょ、待っ……!」
「待たない」
桐生の腰が、下から激しく突き上げられる。
「ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ――!!」
「っ、ああ……! もう、ダメ……!」
「俺も、もうすぐだ」
桐生の声が荒くなる。
「っ、中に……出します……」
「……っ、お願い……します……」
隼人の言葉が、桐生の限界を押し上げた。
「っ――!!」
桐生の腰が一際強く突き上げられた。
「どくん、どくん……」
肉棒が脈打つ。
「ドピュルルルルッ――!!」
熱いものが、隼人の中に注ぎ込まれた。
「っ……ぁ……あ……」
隼人の身体が震える。
桐生は隼人を抱きしめた。
「……っ、はあ……はあ……」
「……先輩……」
「ん……」
「……重くないですか」
「重くない」
桐生は隼人の背中を撫でた。
「このままでいい」
「……はい」
隼人は桐生の胸に顔を埋めた。
しばらく、二人は動かなかった。
ただ、互いの体温を感じ合っていた。
「なあ、隼人」
「……何ですか」
「お前、俺のこと好きだろ」
「……っ」
隼人は顔を上げた。桐生を見つめる。
「……好きです」
桐生の目が見開かれた。
「……言ったな」
「……言いました」
「もう逃げられないぞ」
「……逃げません」
隼人は桐生の唇にキスをした。
「んっ……」
桐生は隼人を抱きしめた。キスを深めていく。
ちゅぱ、ちゅぷ……
どれくらい時間が経ったのか。
二人は服を着直していた。
隼人はジーンズを履きながら、桐生を見た。
「……先輩」
「ん?」
「これから、どうするんですか」
「どうするって?」
「……俺たちの、関係」
桐生は笑った。
「決まってるだろ」
「……何ですか」
「付き合う」
隼人の顔が赤くなった。
「……っ、そういうの……」
「そういうのって?」
「……恥ずかしいです」
「恥ずかしいか」
桐生は隼人の頬を撫でた。
「でも、お前は俺のだ」
「……っ」
「他の奴には渡さない」
桐生の声が、真剣だった。
隼人の胸が、熱くなった。
「……先輩も、俺のです」
「ああ」
「他の奴と、仲良くしないでください」
「分かった」
桐生は隼人を抱きしめた。
「お前だけだ」
「……本当ですか」
「本当だ」
隼人は桐生の胸に顔を埋めた。
――これが、巡り合わせなのか。
隼人には分からなかった。
ただ、桐生と出会えたことだけが、奇跡のように思えた。
「なあ、隼人」
「……何ですか」
「また、カラオケ来いよ」
「……来ます」
「煙草も吸いに来いよ」
「……来ます」
「俺も、お前に会いに行く」
「……はい」
隼人は小さく笑った。
桐生は隼人の額にキスをした。
「好きだぞ」
「……っ」
隼人の顔が真っ赤になる。
「俺も……好きです」
「聞こえない」
「……好きです」
「もっと大きく」
「好きです!」
隼人の声が、喫煙室に響いた。
桐生は満足そうに笑った。
「よし」
「……もう、最低です」
「だろうな」
二人は笑った。
そして――喫煙室を出た。
カラオケボックスの廊下は、相変わらず誰もいなかった。
二人は並んで歩く。
「腹減ったな」
「……じゃあ、何か食べに行きますか」
「いいな。何食う?」
「……先輩の好きなもので」
「お前の好きなものでいいぞ」
「……じゃあ、ラーメン」
「ラーメンか。いいな」
他愛のない会話。
だが、隼人の胸は温かかった。
――これから、どうなるのか。
隼人には分からなかった。
ただ、桐生と一緒にいられるなら、どんな未来でも構わなかった。
二人は外に出た。
夜の空気が、二人を包み込む。
「寒いな」
「……そうですね」
桐生は隼人の手を握った。
「っ……!」
「いいだろ」
「……人に見られます」
「見られてもいい」
「……っ」
隼人は握られた手を、ぎゅっと握り返した。
桐生は笑った。
二人は並んで、夜の街を歩いていった。
――煙の向こう側。
そこには、新しい未来が待っていた。
────────────────────────
【あとがき】
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この作品が皆様の心に少しでも響けば幸いです。
隼人が入ってくる。桐生は壁にもたれて煙草を吸っていた。
「来たな」
「……ええ」
隼人は扉を閉めた。鍵をかける。
桐生の唇が、わずかに歪んだ。
「鍵かけるってことは」
「……分かってるくせに」
隼人は桐生の隣に立った。煙草に火をつける。
二人は並んで、煙を吐き出した。
「なあ、隼人」
「……何ですか」
「お前、もう俺のこと避けないんだな」
「……避けてません」
「最初は避けてただろ」
「……っ」
隼人は視線を逸らす。桐生は笑った。
「可愛かったぞ」
「……黙ってください」
「黙らない」
桐生は煙草を灰皿に捨てた。隼人の方を向く。
「お前、俺のこと好きか?」
隼人の手が止まった。
「……何ですか、急に」
「聞いてんだよ」
「……っ」
隼人は煙草を灰皿に押し付けた。まだ半分以上残っているのに、火を消した。
「……知りません」
「知らないのか」
「知りません」
「じゃあ、嫌いか?」
「……嫌いじゃないです」
「なら、好きだろ」
「……っ」
隼人の顔が赤くなる。桐生はそれを見て、満足そうに笑った。
「やっぱりな」
「……勝手に決めつけないでください」
「勝手じゃない」
桐生は隼人の腰を掴んだ。自分の方に引き寄せる。
「っ……!」
下腹部同士が押し付けられる。
「お前の身体は正直だぞ」
「……っ」
桐生の手が、隼人の股間を撫でた。すでに硬くなっている。
「ほら、もう勃ってる」
「……っ、それは……」
「それは?」
「……条件反射です」
「条件反射か」
桐生は笑った。そして、隼人の唇を奪った。
「んっ……!」
舌が侵入してくる。口内を貪るように探っていく。
ちゅぱ、ちゅぷ、ちゅるる……
「っ……ん、っ……」
隼人の抵抗はもうなかった。桐生の舌に、自分の舌を絡ませていく。
桐生は隼人を壁に押し付けた。
「っ……!」
背中が冷たい壁に触れる。桐生の手が、隼人のベルトを外していく。
「ここで、また……」
「ああ」
「……もう、慣れました」
「そうか」
桐生は隼人のジーンズを下ろした。下着も一緒に脱がせる。
隼人の肉棒が、ばちんと跳ねた。先端から、透明な液体が糸を引いている。
「すごい濡れてるな」
「……先輩のせいです」
「俺のせいか」
「そうです」
隼人は桐生のジーンズに手を伸ばした。ベルトを外す。
「……っ」
桐生の目が、わずかに見開かれる。
「お前……」
「今日は、俺が」
隼人は桐生のジーンズを下ろした。下着も下ろす。
桐生の肉棒が、ばちんと跳ねた。
「……相変わらず、大きいですね」
「お前のも大きいだろ」
「……先輩ほどじゃないです」
隼人は桐生の肉棒を握った。ゆっくりと、上下に動かし始める。
ずりゅ、ずりゅ……
「っ……」
桐生の呼吸が荒くなる。
隼人は身体を屈めた。桐生の肉棒を口に含む。
「ちゅぱ、じゅぽ……」
「っ……お前……」
桐生の手が、隼人の髪を撫でた。
隼人は舌を使って、竿の部分を舐め上げていく。先端の窪みをちゅぱちゅぱと吸い上げた。
「っ……いいぞ……」
「んっ……」
隼人は桐生の肉棒を深く咥えた。喉の奥まで押し込む。
「っ――!」
桐生の腰が浮く。
「お前、本当に上手くなったな」
「んっ……」
隼人は動きを止めない。上下に頭を動かし続ける。
「ぐぽぐぽ、じゅぽじゅぽ……」
卑猥な音が響く。桐生の手が、隼人の髪を掴んだ。
「っ……このままじゃ、イッちまう……」
「んっ……!」
隼人は桐生の肉棒を口から離した。顔を上げる。
「……先輩」
「ん?」
「今日は……その……」
言葉が続かない。
桐生の目が、優しく細められた。
「言えよ」
「……俺が、上に」
「上に?」
「……乗りたいです」
桐生の目が見開かれた。
「……お前」
「……ダメですか」
「ダメじゃない」
桐生は隼人を抱き起こした。そして、自分が床に座る。
「来いよ」
「……っ」
隼人は桐生の腰に跨った。
桐生はポケットからローションを取り出した。指に取る。
「ほぐしてやる」
「……お願いします」
桐生の指が、隼人の穴に当てられた。ゆっくりと押し込まれていく。
「っ……ん、っ……」
隼人の顔が歪む。だが、もう痛みはほとんどなかった。
「もう慣れたな」
「……ええ」
桐生の指が、内側を探っていく。例の場所を見つけた。
「っ――!!」
隼人の身体が跳ねる。
「ここだな」
「っ……そこ、は……」
「気持ちいいだろ」
桐生の指が、その部分をぐりぐりと押し込んだ。
「っ――!! あ、ああっ……!」
隼人の声が大きくなる。桐生は二本目、三本目と指を増やしていった。
「……っ、あ、っ……」
「もう大丈夫だな」
桐生は指を抜いた。自分の肉棒にローションを塗る。
「自分で入れろ」
「……っ」
隼人は桐生の肉棒を掴んだ。自分の穴に先端を当てる。
ゆっくりと、腰を下ろしていく。
「っ――!!」
桐生の肉棒が、隼人の中に入っていく。
「っ……はあ……はあ……」
隼人は荒い呼吸を繰り返しながら、さらに腰を下ろしていく。
「……っ、全部……入りました……」
「ああ」
桐生は隼人の腰を掴んだ。
「動けよ」
「……はい」
隼人は腰を上下に動かし始めた。
ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅ……
「っ、あ……ん、っ……」
隼人の声が漏れる。桐生は隼人の肉棒を握った。ゆっくりと扱き始める。
ずりゅ、ずりゅ……
「っ……先輩……」
「気持ちいいか?」
「気持ち……いい……です……」
隼人は素直に答えた。桐生は満足そうに笑った。
「なら、もっと動けよ」
「……っ」
隼人は腰の動きを速めた。
「ぬちゅぬちゅぬちゅ……ぐちゅぐちゅ……」
「っ、ああ……!」
隼人の声が大きくなる。桐生はそれを聞きながら、隼人の肉棒を激しく扱き始めた。
ずりゅずりゅずりゅずりゅ――
「っ、や……もう……!」
「まだだ」
「無理……です……」
「無理じゃない」
桐生の手が止まらない。隼人の腰の動きも止まらない。
「ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ――!」
「っ、ダメ……もう……!」
「我慢しろ」
「無理っ……!!」
隼人の限界が近づく。
「っ、出る……!」
「イケよ」
「っ――!!」
隼人の身体が弓なりに反る。
「ドピュッ、ドピュッ、ドピュルルルッ――!!」
白濁した液体が、勢いよく噴き出した。桐生の腹部に飛び散る。
「……っ、ぁ……あ……」
隼人の身体から力が抜ける。だが、桐生は腰を突き上げ始めた。
「っ……! ちょ、待っ……!」
「待たない」
桐生の腰が、下から激しく突き上げられる。
「ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ――!!」
「っ、ああ……! もう、ダメ……!」
「俺も、もうすぐだ」
桐生の声が荒くなる。
「っ、中に……出します……」
「……っ、お願い……します……」
隼人の言葉が、桐生の限界を押し上げた。
「っ――!!」
桐生の腰が一際強く突き上げられた。
「どくん、どくん……」
肉棒が脈打つ。
「ドピュルルルルッ――!!」
熱いものが、隼人の中に注ぎ込まれた。
「っ……ぁ……あ……」
隼人の身体が震える。
桐生は隼人を抱きしめた。
「……っ、はあ……はあ……」
「……先輩……」
「ん……」
「……重くないですか」
「重くない」
桐生は隼人の背中を撫でた。
「このままでいい」
「……はい」
隼人は桐生の胸に顔を埋めた。
しばらく、二人は動かなかった。
ただ、互いの体温を感じ合っていた。
「なあ、隼人」
「……何ですか」
「お前、俺のこと好きだろ」
「……っ」
隼人は顔を上げた。桐生を見つめる。
「……好きです」
桐生の目が見開かれた。
「……言ったな」
「……言いました」
「もう逃げられないぞ」
「……逃げません」
隼人は桐生の唇にキスをした。
「んっ……」
桐生は隼人を抱きしめた。キスを深めていく。
ちゅぱ、ちゅぷ……
どれくらい時間が経ったのか。
二人は服を着直していた。
隼人はジーンズを履きながら、桐生を見た。
「……先輩」
「ん?」
「これから、どうするんですか」
「どうするって?」
「……俺たちの、関係」
桐生は笑った。
「決まってるだろ」
「……何ですか」
「付き合う」
隼人の顔が赤くなった。
「……っ、そういうの……」
「そういうのって?」
「……恥ずかしいです」
「恥ずかしいか」
桐生は隼人の頬を撫でた。
「でも、お前は俺のだ」
「……っ」
「他の奴には渡さない」
桐生の声が、真剣だった。
隼人の胸が、熱くなった。
「……先輩も、俺のです」
「ああ」
「他の奴と、仲良くしないでください」
「分かった」
桐生は隼人を抱きしめた。
「お前だけだ」
「……本当ですか」
「本当だ」
隼人は桐生の胸に顔を埋めた。
――これが、巡り合わせなのか。
隼人には分からなかった。
ただ、桐生と出会えたことだけが、奇跡のように思えた。
「なあ、隼人」
「……何ですか」
「また、カラオケ来いよ」
「……来ます」
「煙草も吸いに来いよ」
「……来ます」
「俺も、お前に会いに行く」
「……はい」
隼人は小さく笑った。
桐生は隼人の額にキスをした。
「好きだぞ」
「……っ」
隼人の顔が真っ赤になる。
「俺も……好きです」
「聞こえない」
「……好きです」
「もっと大きく」
「好きです!」
隼人の声が、喫煙室に響いた。
桐生は満足そうに笑った。
「よし」
「……もう、最低です」
「だろうな」
二人は笑った。
そして――喫煙室を出た。
カラオケボックスの廊下は、相変わらず誰もいなかった。
二人は並んで歩く。
「腹減ったな」
「……じゃあ、何か食べに行きますか」
「いいな。何食う?」
「……先輩の好きなもので」
「お前の好きなものでいいぞ」
「……じゃあ、ラーメン」
「ラーメンか。いいな」
他愛のない会話。
だが、隼人の胸は温かかった。
――これから、どうなるのか。
隼人には分からなかった。
ただ、桐生と一緒にいられるなら、どんな未来でも構わなかった。
二人は外に出た。
夜の空気が、二人を包み込む。
「寒いな」
「……そうですね」
桐生は隼人の手を握った。
「っ……!」
「いいだろ」
「……人に見られます」
「見られてもいい」
「……っ」
隼人は握られた手を、ぎゅっと握り返した。
桐生は笑った。
二人は並んで、夜の街を歩いていった。
――煙の向こう側。
そこには、新しい未来が待っていた。
────────────────────────
【あとがき】
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この作品が皆様の心に少しでも響けば幸いです。
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