【完結】恥ずかしさレベル100で世界最強!? 赤面するほど無敵になる俺の学園ライフ

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第29 章:S+ 級魔獣出現

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 黒瀬との遭遇から、五日が過ぎた。

 11月末。

 初冬の冷たい風が、学園を吹き抜ける。

 蓮は教室で、授業を受けていた。

 いつもの日常。

 平和な時間。

 隣には雪菜が座っている。

 真剣にノートを取る姿。

 窓の外を見ると、明日香と莉音が訓練場で特訓している。

 炎と重力が交差する。

 図書館では、美鈴が本を読んでいるだろう。

 この日常が、愛おしい。

 守りたい。

 蓮は、そう思う。

 授業が終わる。

 放課後。

 蓮は中庭のベンチに座った。

 空を見上げる。

 雲が流れている。

 その時、空気が変わった。

 冷たい。

 重い。

 この感覚。

 知っている。

 黒瀬だ。

 蓮は立ち上がる。

 周囲を見渡す。

 だが、黒瀬の姿はない。

 代わりに、空が暗くなっていく。

 雲ではない。

 黒い霧。

 学園全体を覆う。

 警報が鳴り響く。

 けたたましい音。

 校内放送が流れる。

 「全校生徒に告ぐ。正門前に集合せよ。緊急事態だ」

 学園長の声。

 緊迫している。

 蓮は走る。

 正門へ。

 途中で、四人と合流した。

 雪菜。

 明日香。

 美鈴。

 莉音。

 全員、緊張した顔。

 「柊君」

 雪菜が言う。

 「これは……」

 「わかってる」

 蓮が答える。

 五人で、正門に到着する。

 既に生徒たちが集まっていた。

 数百人。

 教師たちも。

 学園長も。

 そして、颯も。

 全員が、正門の外を見ている。

 蓮も、見た。

 息を呑む。

 黒瀬が、立っていた。

 その後ろに。

 巨大な影。

 黒い霧の中から、現れる。

 その姿が、徐々に見えてくる。

 巨大な身体。

 数十メートルはある。

 黒い鱗に覆われた皮膚。

 鋭い爪。

 牙が並ぶ口。

 そして、六つの目。

 全てが、赤く光っている。

 S+ 級魔獣。

 災害級の存在。

 蓮の全身が、震える。

 恐怖。

 本能が、叫んでいる。

 逃げろ、と。

 だが、足が動かない。

 学園長が、前に出る。

 「あれは……」

 その声が、震えている。

 「S+ 級魔獣『絶望竜』

 だ」

 周囲が、騒然となる。

 「S+ 級って」

 「災害級じゃないか」

 「勝てるのか」

 生徒たちの声。

 恐怖に満ちている。

 黒瀬が、声を上げる。

 「柊蓮」

 その声が、響く。

 「これが、お前への最後の試練だ」

 黒瀬が、魔獣を指す。

 「こいつを倒せるかどうか」

 黒瀬が続ける。

 「お前の限界を、見せてもらおう」

 その目が、冷たい。

 「無理だろうがな」

 黒瀬が笑う。

 不気味な笑い。

 「この魔獣は」

 黒瀬が言う。

 「俺一人でも制御できない」

 その言葉が、重い。

 「暴走する」

 黒瀬が後退する。

 「学園ごと、滅びろ」

 黒瀬が、消える。

 残されたのは。

 S+ 級魔獣だけ。

 絶望竜が、咆哮する。

 轟音。

 地面が揺れる。

 空気が震える。

 その咆哮だけで、生徒の何人かが膝をつく。

 圧倒的な力。

 魔獣が、動き出す。

 ゆっくりと。

 学園に向かって。

 その一歩で、地面に巨大な足跡。

 蓮は、構える。

 額の数字を確認する。

 35。

 まだ低い。

 四人が、蓮の前に立つ。

 「柊君」

 雪菜が言う。

 「今から、100 にします」

 蓮の心臓が跳ねる。

 だが、時間がない。

 四人が、一斉に動く。

 雪菜が、蓮を抱きしめる。

 「愛してます」

 明日香が、頬にキス。

 「愛してる」

 美鈴が、額にキス。

 「愛してます」

 莉音が、唇にキス。

 「愛してる」

 四人の想い。

 一度に、押し寄せる。

 蓮の顔が、熱くなる。

 心臓が、激しく鼓動する。

 額の数字が、跳ね上がる。

 50。

 70。

 90。

 そして、100。

 光が溢れる。

 力が、満ちる。

 蓮は、魔獣に向かう。

 地を蹴る。

 一瞬で、魔獣の前に。

 拳を放つ。

 魔獣の足に命中。

 だが。

 魔獣は動じない。

 鱗が硬すぎる。

 魔獣が、蓮を見下ろす。

 六つの目。

 全てが、蓮を捉える。

 魔獣が、前足を振り下ろす。

 巨大な爪。

 蓮が避ける。

 ギリギリで。

 地面が砕ける。

 衝撃で、蓮が吹き飛ばされる。

 地面を転がる。

 身体が、痛い。

 立ち上がる。

 だが、魔獣が追ってくる。

 速い。

 この巨体で、この速さ。

 尻尾が、蓮を襲う。

 避けきれない。

 その時、氷の壁が現れた。

 雪菜の能力。

 「凍結女王・絶対零度の盾」

 だが、尻尾は壁を砕く。

 氷が、粉々に。

 雪菜が、吹き飛ばされる。

 「雪菜」

 蓮が叫ぶ。

 明日香が、魔獣に炎を放つ。

 「紅蓮覇王・炎帝の怒り」

 巨大な火柱。

 魔獣を包む。

 だが、魔獣は無傷。

 鱗が、炎を弾く。

 明日香の目が、見開かれる。

 「嘘でしょ……」

 魔獣が、明日香に向かう。

 口を開ける。

 黒い炎が、溜まる。

 吐き出される。

 黒炎のブレス。

 明日香が、避けようとする。

 だが、範囲が広すぎる。

 その時、重力が歪んだ。

 莉音の能力。

 「重力覇者・重力の壁」

 黒炎が、重力で曲げられる。

 明日香を避けて、地面に落ちる。

 地面が、溶ける。

 莉音が、血を吐く。

 無理な重力操作。

 身体への負担。

 「莉音」

 蓮が駆け寄る。

 だが、魔獣が阻む。

 美鈴が、目を閉じる。

 「時視眼・未来視」

 数秒先を見る。

 「右から、尻尾が」

 その言葉通り、尻尾が襲ってくる。

 蓮が避ける。

 ギリギリで。

 だが、美鈴が倒れる。

 鼻血を流している。

 能力の使いすぎ。

 副作用だ。

 「美鈴」

 蓮が叫ぶ。

 四人が、全員傷ついている。

 倒れている。

 蓮の心が、折れそうになる。

 勝てない。

 この魔獣には。

 その時、颯が現れた。

 「柊」

 颯が言う。

 「諦めるな」

 颯が、虚無領域を展開する。

 「虚無領域・完全消滅」

 魔獣の周囲の空気が、消える。

 酸素がなくなる。

 だが、魔獣は平気だ。

 呼吸が必要ないのか。

 颯の目が、驚きに満ちる。

 「効かない……」

 魔獣が、颯に向かう。

 前足を振り下ろす。

 颯が避ける。

 だが、衝撃で吹き飛ばされる。

 地面に叩きつけられる。

 「颯さん」

 蓮が叫ぶ。

 六人全員。

 傷ついている。

 魔獣に、歯が立たない。

 学園長が、能力を発動する。

 「全能力者、総攻撃だ」

 教師たち、生徒たち。

 全員が、魔獣に攻撃を仕掛ける。

 炎。

 雷。

 風。

 氷。

 光。

 闇。

 ありとあらゆる能力。

 魔獣を包む。

 だが、魔獣は無傷。

 全ての攻撃を、弾く。

 そして、反撃する。

 黒炎のブレス。

 広範囲に。

 生徒たちが、吹き飛ばされる。

 次々と倒れていく。

 教師たちも。

 学園長も。

 全員が、無力だ。

 蓮は、その光景を見た。

 絶望。

 これが、絶望か。

 勝てない。

 誰も、勝てない。

 この魔獣には。

 魔獣が、学園に向かう。

 校舎に、前足を叩きつける。

 校舎が、崩れる。

 瓦礫が、舞い上がる。

 悲鳴が、響く。

 学園が、破壊されていく。

 蓮の心が、叫ぶ。

 止めなければ。

 だが、どうやって。

 100 でも、歯が立たない。

 その時、遠くから声が聞こえた。

 「これで終わりだ」

 黒瀬の声。

 高笑い。

 「柊蓮、お前の限界を見た」

 その声が、響く。

 「所詮、お前も俺と同じだ」

 黒瀬の笑い声が、大きくなる。

 「暴走するか、無力になるか」

 その声が、胸に刺さる。

 「選べ」

 黒瀬の声が、消える。

 蓮は、膝をつく。

 無力感。

 圧倒的な無力感。

 魔獣が、さらに学園を破壊する。

 校舎が、次々と崩れる。

 生徒たちの悲鳴。

 その音が、耳に痛い。

 蓮の目から、涙が溢れる。

 悔しい。

 守れない。

 みんなを。

 学園を。

 何もできない。

 その時、手が肩に触れた。

 振り返る。

 雪菜だった。

 傷だらけだが、立っている。

 「柊君」

 その声が、優しい。

 「諦めないで」

 明日香も、立ち上がる。

 身体が痛そうだ。

 だが、笑顔だ。

 「蓮、まだ終わってないよ」

 美鈴も、立ち上がる。

 鼻血を拭きながら。

 「未来は、まだあります」

 莉音も、立ち上がる。

 震える足で。

 「蓮くん、一緒に」

 四人が、蓮を囲む。

 颯も、立ち上がる。

 身体中、傷だらけ。

 「柊、お前一人じゃない」

 その言葉が、胸に響く。

 蓮は、立ち上がった。

 涙を拭く。

 諦めない。

 まだ、終わってない。

 この仲間たちがいる。

 だから、戦える。

 だが、どうやって。

 100 でも、勝てない。

 この魔獣には。

 その答えが、見つからない。

 魔獣が、こちらを向く。

 六つの目が、光る。

 口が開く。

 黒炎が溜まる。

 最大級のブレス。

 学園全体を、飲み込むほどの。

 蓮は、構える。

 だが、防げない。

 この規模は。

 絶望的な状況。

 魔獣が、ブレスを放とうとする。

 その瞬間。

 蓮の胸に、何かが芽生えた。

 温かいもの。

 四人の想い。

 颯の信頼。

 みんなの願い。

 それが、繋がっている。

 感じる。

 以前、微かに感じていた。

 仲間の恥ずかしさを。

 その能力が、今。

 さらに強く感じられる。

 みんなの想いが。

 繋がっている。

 なら。

 蓮は、思う。

 自分の力を、みんなに。

 共有できるのでは。

 その可能性。

 だが、今は時間がない。

 魔獣のブレスが。

 放たれる。

 黒炎の奔流。

 学園を飲み込む。

 蓮は、叫んだ。

 「みんな……」

 その声が、届かない。

 黒炎が、全てを覆う。

 熱い。

 痛い。

 意識が、遠のく。

 これで、終わりなのか。

 その思いが、頭をよぎる。

 だが、まだ。

 諦めたくない。

 蓮の意識が、薄れていく。

 暗闇に、沈んでいく。

 その中で。

 声が聞こえた。

 「柊君」

 雪菜の声。

 「蓮」

 明日香の声。

 「柊君」

 美鈴の声。

 「蓮くん」

 莉音の声。

 「柊」

 颯の声。

 みんなの声が。

 蓮を呼んでいる。

 諦めるな、と。

 まだ、終わってない、と。

 蓮の心に。

 光が灯る。

 小さな光。

 だが、確かな光。

 希望の光。

 蓮は、目を開けた。

 まだ、戦える。

 この仲間たちと。

 絶望的な状況。

 だが、希望は消えない。
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