ギャルゲーの脇役、情報通な彼に転生してしまった!~こうなったらヒロインの一人位は絶対に確保する!~

GARUD

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「さて……君の正体を明かしてもらおうかしら?」

 俺の目の前にいるお姉さん(仮)が何処かの組織の司令みたいに手を組んで顎を乗せている。
 お姉さん(仮)にはいえーすされた俺は只今休憩コーナーの小さいテーブルで向かい合って座っている。

「正体って……俺の名前は佐藤裕也。愛友小学校の一年生ですけど?」
「……その語学力、とても小学一年生とは思えないわね。あなた、実はミュータントとか異能力者とかじゃないの?」
「アメコミの見すぎじゃないですか?俺は手から爪生やしたり目からレーザー撃てたりしないですよ?ましてや亀の忍者でもないです」

 俺の言葉にお姉さん(仮)の目がキラリと光り、ズバッ!と俺の顔に向けて指を突きつけた。

「かかったな!亀の忍者は君が産まれた年くらいに放送してるのよ!つまり、君はそれを見る術はないの!」
「いや……DVDが……お姉さん馬鹿過ぎですよ」
「ぐぎぎ……あー言えばしょーゆ!」

 一瞬焦った。確かに俺のは前世での知識で、佐藤裕也になってからは、そういったアメコミは見てない。
 危うくボロが出る所だったが、この反応なら誤魔化せたのかな?
 しかし、ショー油はねーよ。

「もういいですかね?馬鹿が感染るし……」
「なにおぅ!馬鹿は感染しないんだから!バーカ!」
「あーもういいや……一応俺は自己紹介したのにお姉さんは自己紹介も出来ないんですかね?馬鹿で常識もないなんて憐れですね」
「また馬鹿って言った!いいわよ!名前くらい教えてあげるわ!私は君島朱美キミシマアケミよ!これでどお?!」

 フン!とふんぞり返っている朱美さん。なんか可愛く見えてきたよ。馬鹿な子程可愛いって言うしね。

「どお?って言われても……馬鹿の朱美さんって覚えておきますね」
「ぐぬぬ……あなたね!私はこれでも小学六年生なのよ!年上なのよ!」
「はぁ……見た目だけは美人なお姉さんなので、てっきり中学生かと思ってました」
「ビビビ!ビジン?!」
「ええ、でも今の俺の評価は微妙な人でビジンですけどね」
「なんですって!普通に美人でいいじゃないのよ!なによ微人って!」

 そうプク~と頬を膨らませている彼女は白い肌を朱色に染めて、大きな黒い瞳を吊り上げている。
 普通の女性なら不細工に見えてしまうのだろうが、そのふくれっ面すら美しく見えてしまう。
 しかしこの君島朱美という名前は何処かで……ゲーム愛友には居ないのは確定しているのだが、絶対に何処かで聞いた事のある名前に俺は前世の記憶を呼び起こそうと脳の奥底をかき回すように意識を向ける。
 そこで俺は唐突に激しい頭痛に襲われてしまい、頭を抑えてテーブルに突っ伏してしまった……

「あれ?どうしたの?ごめん、朱美が怒りすぎた?ねぇ……大丈夫?」

 ──ねぇ……大丈夫?──

 耳朶に響いたセリフに、俺の頭の中には突然鮮明な映像が流れた。
 ゲームのイベントシーンのようなスチル、倒れ込んだ主人公に優しく手を差し出す年上のお姉さんの映像。
 風に揺れるサラサラの茶色い髪の毛、大きな黒い瞳が心配そうに見つめている。
 そう……これは……この子は……このヒロインはッ!

「朱美……さん……」
「ん?大丈夫?秘めた力が暴走しちゃったの?」

 ああ、そうだ。この人はゲームでもそうだった。
 普段は仕事が出来る美人なお姉さんなのに、主人公の前だと途端に趣味の厨二病を全開にする人だったね。
 余りにものギャップ萌えに人気投票では正ヒロインを出し抜いてナンバーワンに輝いてたね。
 思い出したよ……18Rゲーム【Pureシャロットへいらっしゃい】のヒロイン君島朱美……

「はは……ごめんごめん。何でもないよ。それにしても、7年もの間ここは愛友の中だと思ってたのに、まさか別のも混じってるなんてね」

 俺は突っ伏してたテーブルから起き上がってコメカミをグリグリしながら朱美さんに笑顔を向けるが、目の前に座る朱美さんは未だに心配そうな表情。

「ん?何言ってるの?頭は大丈夫?」
「大丈夫だよ。朱美ねーさん」
「ねーさん?!」
「ああ。朱美さんは俺より5才年上の設定だったし、ねーさんでいいでしょ?(てか実際ゲームじゃ朱美ねーさんって呼ばれてたし)」
「なんか急になついた!」

 ガタッ!と椅子から立ち上がって一歩引く朱美さん。そんなに驚くような事などあっただろうか?

「まぁまぁ、朱美ねーさん。俺は近所に住んでるんだけど、朱美ねーさんもこの辺に住んでるの?」
「え?えぇ……家はここの裏にある一軒家よ」
「へぇ。じゃあよく図書館には来るの?」

 椅子に座り直した朱美ねーさんは、俺の質問に顎に手を添えて考える仕草をする。
 ゲーム内でもよくそうやって考えるシーンがあったなと思い返し、俺は顔がニヤけるのを止めれない。

「う~ん……普段はあんまり来ないんだけど、今日はたまたま冬休みの宿題の読書感想文の本を探しに……」
「そっか。それじゃあんまり会えないね……仕方ないから俺が家まで遊びに行くよ!」
「えぇ?!」
「明日、昼頃に行くから!」

 俺はそう言い残して固まっている朱美ねーさんを置いて休憩コーナーから飛び出すと、勉強道具を取ってイソイソと帰宅したのだった。


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