ギャルゲーの脇役、情報通な彼に転生してしまった!~こうなったらヒロインの一人位は絶対に確保する!~

GARUD

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 冬休みも終わり、三学期が始まった。
 結局俺は冬休みの間、朱美ねーさんや佳子ちゃんと遊びまくっただけだった。
 え?雫ちゃんとの初詣はって?勿論行ったよ。俺は佳子ちゃんと初詣済ませちゃったけど、そこは黙って行くのが男ってもんだろ?

 ま、小学一年生が二人きりで初詣なんて行ける訳ないから、実際には執事兼運転手の実松さんも一緒だったけど。
 零士は来なかったのかって?来なかったね。
 
『そう言えば雫ちゃん。零士さんは?』
『パパはこないですよ』
『へー。珍しいね。零士さんがこういうのに来ないってさ』
『きたらくちきかない!っていっておきましたから♪』
『……あぁ』
『ゆーやさま……はつもうでのあとは……』
『裕也様、ここに隣の遊園地の一日優待券がございまして……』
『あぁ……時間もあるし隣の遊園地で遊ぶ?』
『はい♪』

 用意のいい実松さんの気配りで俺と雫ちゃんは初詣の後、そのまま流れで遊園地で遊んだんだ。

『ゆーやさま~!あれ!あれのりたいです!』
『あはは。あれは身長制限があるから無理だよ』
『えぇぇ……じゃぁ、あれ!』
『お化けコースター……ね。お化け大丈夫?』
『だだだッだいじょうぶでしゅ!』

 結局カミカミの勢いに負けて乗ったんだけど、進んで直ぐのトンネルに入った途端にガタガタと震えだしたんだよな。コースターが……

 レールの上で横揺れする乗り物とか……お化けよりも脱輪の恐怖の方が勝るとか……まぁ、これもある意味お化けコースターなのかもな。
 と考えながら乗っていると、横に座った雫ちゃんの方に目を向けると──

『コ────』

(白目向いて気絶しとる!)

 あの瞬間は慌てたね。肩を揺すっても起きないし、俺は俺でシートに固定されてるもんだから手を伸ばすので一杯一杯だし。
 結局ゴールに着いた所で係の人と気絶した雫ちゃんを救護室に運んだんだよね。

『うぅん……』
『あっ。雫ちゃん起きたね』
『えっと……わたし……』
『初詣で疲れちゃったのかな?コースターの揺れで寝ちゃってたみたいだね』
『あぅぅ……ゆーやさま、すみません』
『いいよ。気にしてないよ』

 ま、流石にお化けコースターがスタートしたと同時に白目向いて気絶してたなんて俺には伝えられなかったよ。
 結局誤魔化したままで、雫ちゃんが意識を取り戻した後は、ミニ観覧車やメリーゴーランド等の安全なやつに乗ったんだよね。
 んで、夕方まで遊んで解散したんだ。
 いやー、健全ですね。これぞデートってヤツだよ……ってあれ?着々と雫ルートに突入している気がするのは俺の気のせいだよな?

 さて、そうして三学期を迎えて初登校日な訳だが、俺は何時もの通り迎えに来た佳子ちゃんと一緒に電車に乗って、降りた駅で待ち合わせした雫ちゃんと合流して三人で学校へと向かう中──

「あっ!しおりちゃんだ!おはよー!」

 先を歩いていた南條紫織を偶然佳子ちゃんが発見。持ち前のコミュ力を発揮して突撃して行ったのだが──

「……おはよう」

 ツー……と流し気味に返事を返す南條紫織。
 流石ディフェンスに定評があるだけはある。コミュ力バカの佳子ちゃん相手でもその警戒心に緩みはないようだ。

「ねーねー!しおりちゃんもゆぅくんといっしょにがっこーいこー?」
「おとこのこといっしょにいるとうわさされるからダメってママがいってたからダメ」

 おおぅ。そのディフェンス力は設定にも登場していないママのご指導の賜物だったのか!
 そのせいで人ひとり脳死させているのだから、その指導力は驚異的だな。

「えー?ゆぅくんといるとうわさされるってなに~?」
「うわさはうわさよ。うわさされるの!」
「うわさってな~に~?」
「ママからいわれてるからダメなの!」

 無邪気な佳子ちゃんが発動した恐怖の質問攻めに、どうやら答えを持ち合わせて居なかったのか、南條紫織はキレてスタスタと逃げて行ってしまった。
 どうやら[噂]されるの意味を教えてもらっていないのか、あるいは意味を理解していないのか、はたまたまママの言いつけを守っているだけなのか……結局、逃げ去った南條紫織を佳子ちゃんは頭上に[?]と浮かべて首を傾げていた。

「佳子ちゃん?」
「う~ん……しおりちゃんとなかよくしようとするとにげられちゃう~」
「あはは。俺が居ない時なら仲良く出来るかもよ?」
「ええ~……ゆぅくんといっしょにあそべないならいいや~」
「あはは……」
「チッ……ゆーやさまといっしょにがっこーにいきたくないなんて……ゆるせない……」
「雫ちゃん?!」

 舌打ちから始まった低い声に顔を向けると、雫ちゃんが瞳に仄暗い光を灯して南條紫織の背を見つめている。
 その雫ちゃんの背中から漏れている殺気がヤバい。流石は武闘派の大財閥一条の子供。
 余りにもの殺気に、[これは事案になり兼ねない!]と思った俺は、慌てて声を掛けると雫ちゃんは鋭く尖った瞳を一瞬俺に向けるが、俺の戸惑った顔を見た瞬間、はっ!という表情を浮かべ、両手を顔の前で振った。

「あ?……あっ!ななな!なんでみょにゃりましぇん!」
「雫ちゃん、カミカミだからね?!」
「はわわわ」

 場の空気もなんとか和み、雫ちゃんの表情も何時もの可愛らしいものに戻る。
 いやしかし……二人ともまだ小学一年生なのに愛が重いな。
 そして間違って雫ちゃんとエンディングを迎えた場合、浮気をしようものなら殺されるんじゃなかろうか?……俺ではなく相手が……とぼんやりと未来を想像して溜息を吐くのだった。


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