ギャルゲーの脇役、情報通な彼に転生してしまった!~こうなったらヒロインの一人位は絶対に確保する!~

GARUD

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「キャーーー!裕くんかわいいいい!」
「結局今年もやるのか……」

 俺の目の前で黄色い声を発しているのは勿論俺の母親だ。
 こいつは今、デジカメで俺の写真を一心不乱に撮影している。

「今年のブリピュアはコスチュームがフリル一杯でかわいいわね!」
「さいですか……」

 4月の番組更新によって先週から始まった『土器土器ブリピュア』
 俺はそのコスチュームを身に纏い、ウィッグを付けて、つけまつ毛等の化粧をして今や立派に小型版ピュアハートになっている。

 そして勿論これから始めるのは動画撮影だ。
 何のって?EDのダンスだよ!しかもこれ!覚えるのにメッチャ苦労したんだぜ?
 まったく……去年までの振付師は簡単で直ぐにマスターできたのに、なんでも今年から振付師が変わったとかで、難易度が跳ね上がっているんだよね。
 実際、去年のは二日でマスターできたのに、今回のは先週の放送から直ぐにダンスの特訓に取り掛かるも完コピまでに一週間も要したのだ。
 なんで4人の合同パートがあるんだよクソ!

「はい、じゃあ裕くん始めるわよー!ミュージックスタート!」

 テテーテーテテー。テテーテーテテー。
 俺はTVから流れるED動画に合わせてダンスを始める。
 途中のケツを突き出して腰をくねらせる所が一番苦労した。
 なんで幼女アニメにあんなに妖艶なポーズが必要なのか……あの番組絶対に大きなお兄さん達に媚び媚びだろ!
 噂じゃ競合アニメのアイガクに圧されて売上落ち気味らしいしな。栄華衰退、これも世の流れというものかね~。

 んで、動画アップから二週間。
 再生数も伸びてコメントも沢山貰ったよ!
 その一部を抜粋するね!

 これは漲るwww
 滾る愛!ピュアハート♪
 かわいいんじゃ~~
 一年間全裸正座待機余裕でした
 そろそろワシの嫁に……
 圧倒的完成度www
 なぜ彼女は男の娘なのか!
 これだから小学生は(褒め言葉)
 ミニスカスパーッッッッツ!
 腰つきがエロい!
 こいつあ誘ってますね~
 ハイエースハイエースハイエース
 ブヒぃぃぃぃ!
 お前なぞに娘はわたさんぞおおおおお!

 うん。おまいらが毎年楽しみにしてたのは十分伝わったよ。
 そして何人かは頼むから捕まってくれ。


 翌月曜日

「この変態オカマ野郎!貴様なぞに雫は渡さん!渡さんぞおおおお!」
「やっぱりあのコメントはお前か!このロリペド野郎!!」
「黙れ黙れ黙れええ!何がピュアハートだ!変態女装野郎!」
「うるせえんだよ!このストーカー野郎!なんで俺の動画一々チェックしてんだよ!キモいんだよオッサン!」
「おあぁぁぁ?!」
「ほぁぁぁぁ?!」

 学校の最寄り駅前で待っていた雫ちゃんにくっついて来た雫パパこと零士に絡まれた。
 奴は改札を出た俺の腕をそれはもう凄い勢いで掴んで引っ張り出すと、天下の大通りで喚き散らしたのだ。
 そこからは互いに掴み合うまでは行かないが口汚く罵り合い、最終的に執事の実松さんが零士を背後から手刀を一閃。零士を気絶させて車に投げ込むまで続いたのだ。

「もぅ!ぱぱったら……さねまつ、おうちにはこんどいて!」
「畏まりました」

 ブロロロロ~と発進していく車を呆然と見送る俺と佳子ちゃん。

「実松さんって何者なんだ……」
「うんてんしゅのしつじですよ?」
「いや、執事が主人に暴力を振るっていたんだが……あれはどーなんだ?」
「それはぱぱだし?いつもやってますよ?」
「……」

 いやいや雫ちゃんや……小首を傾げて何当たり前の事言ってるの?ヤダーみたいな感じで言われても……俺が変なのか?世の中の執事ってみんなバトル執事なのか?
 
「ところでぴゅあはーとって?」
「さ……さぁ、なんだろうね~俺にはサッパリわかんないや~」
「ゆぅくんはね~。ぶりぴゅあだいしゅきなんだよ!」
「ふぁっ!佳子ちゃんなにゅいっちぇんの!」
「そうなんですか!ゆーやさま!」
「あ……あはは~……」
「わたしもおおきくなったらぶりぴゅあになるのがゆめなんです!ゆーやさまも、おおきくなったら、いっしょにぶりぴゅあになりましょうね!」
「か……考えておくね~……」
「はい!」

 るんるんとスキップしながら登校する雫ちゃんを横目に、なんとか動画の件は誤魔化せたかな?と俺は安堵するも──

「ほんとーにゆぅくんはおどるのがじょうずだよね!まえのもおどってたし!」

 にへらっと俺を覗き込むように笑顔を向ける佳子ちゃん。
 暗に私は何でも知ってるのよ?と伝えてくる幼女に、俺は恐怖すると共に一生うだつが上がらない気がした。
 

 
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