前王の白き未亡人【本編完結】

有泉

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【世界観】

 舞台は架空の大陸に存在する成望国。
 この国は魔術師を擁するほか、最強の兵器として「騏驥」が用いられていた。
 人から強大な馬へ姿を変える「騏驥」は、人の知性と獣の運動能力を持つ無二の兵器として、騎乗する騎士とともに成望国繁栄の一翼を担っている。



【用語】

◇騎士
 騏驥に騎乗できるごく少数の選ばれた存在。
 ほとんどは貴族の子弟であり、騎士学校を経て騎士になる。



◇騏驥
 人であり馬。
 ほぼ自由意志で姿を変えられるが、魔術の干渉を受けるのでその限りでもない。
 馬の姿の時は、普通の馬よりも遥かに大きな姿になる。また運動能力も高い。
 通常は首に付けられている「輪」によって思考と行動を制限される。
 生まれながらの騏驥とそうでない騏驥がいる。

 特に、王都を示す「白」、陽の「赤」、地の「黒」、溢れる財の「金」、豊かな「緑」は、成望国の素晴らしさの象徴であり、同時に、この国を護り、発展させる立役者となった騏驥への賞賛へ引き継がれていた。

 すなわち、

「天寵の白」
「完応の赤」
「始源の黒」
「不臥の金」
「狂悦の緑」

 の五変騎(若しくは五変稀)である。

 これらの騏驥は特に優れた力を持つと言われ、五色の稀な毛色の騏驥が全てが揃うと吉凶いずれかの変事をもたらすとも伝えられている。
 とはいえ、騏驥は国の宝であり、過去に五頭が揃った時も凶事は起こっていないことから、今では慶事であるという認識が大多数となっている。


◇騎兵
 馬に乗って戦う兵。
 騎士よりなりやすいため、人数も多い。
 現時点では貴族でなくともこの職業につく事は可能。
 その後手柄を立てれば勲功貴族に叙せられることも。

 通常は王立学校の騎兵課程を経る。
 もしくは、騎士学校で騎士になれなかったものが就く場合もある。

 一般的に騎士よりも格下と思われがちだが、大掛かりな戦いでは騏驥一頭の活躍よりも騎兵の統率の取れた戦い方の方が効果が高いことも多い。
 また、騎兵一筋の名門もあるため一概に「騎兵の方が下」とは言えない。



◇魔術師
『塔の十杖』を頂点とする、成望国には欠かせない存在。
 予知や物体移動、変化などの特殊な能力を持つ者のほか、魔術の発動の速さ・効果の強さ・ジェムや魔術符と言った媒介作成や条件付けなど、単に「魔術が使える者」とは明らかにステージの違う魔術を使用する事ができる。





【キャラクター】
(名前の前の「◎」は騎士、「○」は騏驥、「・」はそれ以外になります)


○白羽(しろはね/バイユィ) / 白韶(バイシャオ)

 受。騏驥。五変騎の一頭である「天寵の白」。
 元は前王が王太子時代に行啓先から連れ帰ってきた踊子である。その後騏驥へと変化した。
 そうした経緯もあり王の存命中は「王を誑かして今の地位を手に入れた」と噂され、「王の寵騏」と囁かれていた。
 普段はほとんど表に出ることなく、王によって城内に与えられた別宮に引き篭もり、王の訪れを待つ毎日であった。
 王の崩御後は独り喪に服し続ける。そのためずっと城の奥に隠されていたが、とうとう下賜されることに。

 肌は抜けるように白く、また髪も白く、黒と青のオッドアイである。
 美形。無口。また、踊子時代から出自不明のため年齢不詳。

 騏驥としてのステータスも不明。
 戦闘経験がないと言われているため。

 また、「白」はその特殊さとして、彼に騎乗する騎士だけが使える特別な鞭があるらしい。



◎レイゾン(磊宗)

 攻。地方豪族の庶子で騎兵を経て貴族以外から初めて騎士になった。
 黒髪に黒灰色の瞳。顔立ちはいいのだが、がっしりとした体格に加え目力が強く、舐められたくなくてあまり笑顔を見せずいつも難しい顔をしている上に頬に傷があるため、いわゆる強面で怖がられるタイプである。
 身分が低くて苦労したので貴族を嫌っている。力こそ正義。
 気も利かない方ですし貴族的な風流さもないのですが、裏表なく嘘をついたりもしないため、慕う人も多いです。
 父親がヴォエンの友人のため知り合いである。
 孤児を拾って従者にしている。そして猫もいる。
 騎乗スタイルは強引だが、無理強いや理に叶わないことはしないため、やる気のある騏驥からはとても好かれている。また、基本的に騏驥は「相棒」と思っており敬意を持っているので騎乗後のケアも手厚い。


 念願の騎士になって「さあ、いろんな騏驥に乗ってがんばるぞ!」と思ってたら「前の王の愛人」という噂のある騏驥を下賜されて「はあ?」という状態。



◎ティエン(千)

 故人。前王であり白羽の元主。現王の長兄にあたる。
 騎士だが騏驥にはほとんど騎乗していない。
 王太子時代に、まだ踊子だった白羽を連れて帰り、ずっと側に置き続けた。

 王族として加護の魔術を受けているが、生まれた時から既に非常に魔術力が強く、騎士よりも魔術師としての素質が高かったと思われる。「塔」の魔術師たちも当然それを把握しており、そのため命名にも口を出している(異例)。

 しかし騎士として名高かった父王の意向により、騎士として後を継ぐことを運命づけられる。が、彼が潜在的に持つ強大な魔術力の反作用か、身体が弱く、また、本来温厚な性格だった上に魔術力がありすぎるが故に騏驥の気持ちを汲みすぎ、本来は「兵器」であるはずの騏驥に対して過剰な畏怖の感情を持つという「まったく騎士に向かない」性格となってしまう。

 にもかかわらず、彼は長子であったために王太子となり、父亡き後は王となる。
生まれ持っての能力、性格、体質、親からの期待が全く噛み合わなかったために、側から見れば羨まれる立場でありながら、期待に応えられない心苦しさや周囲との軋轢に一生苦しみ続け、嘆き続ける不幸な王であった。

 美しいものを好み、絵画、楽、書にも造詣が深い。造園にも興味を持っており、自分(や白羽)の住まいについては、自ら指示して好みを反映した屋敷作りをしている。
 穏やかな人柄で競争や争いを好まず、一人静かに暮らすことを好む。
 そのため友人と呼べる者も少ないが、ごくごく限られた者たちとはそれなりにやりとりがあった模様。王都から離れて住む者、魔術師、そしてまだ幼かった甥などである。

 黒鳶色の髪に黒檀の瞳。背は他の騎士にも劣らぬ高さだが、体格はとても細身である。
 


・サンファ(三化)

 白羽の侍女。兼厩務員。身の周りのお世話兼話し相手。
 生活感を感じさせない整った貌(だが実は表情豊かである)。
 肩先で切り揃えた銀の髪。透明な瞳。
 身につけているものや立ち居振る舞いから女性のように見えるが、姿形だけを見れば女性とも男性ともつかない容姿をしている。

 実体は、ティエンの依頼により魔術師によって製造された「とても人に近い人型」である。上手く製造できた三体目なのでサンファ。
 ちなみに「きみよ奇跡の意味を知れ」でカドランド師の元にいたスーファは四体目(妹)になる。



◎シィン(星)

 成望国の王太子。騎士。
 同シリーズ「まるで生まれる前から決まっていたかのように」のメイン主人公の一人。受。
 ティエンの甥であり、生前の彼と親交があった。白羽とも旧知の間柄。
 
 見た目は十代後半。紫がかった黒髪に濃茶色の瞳。
 高雅さ漂う端正な顔だがどこか子供っぽい一面も。
 佇まいや身のこなしからは育ちの良さが伺えます。
 多少我儘ですが、聡明で人に好かれる資質を持っています。

 騎士としての特筆すべき(A以上)ステータスは、
 カリスマ S+
 使用している鞭の銘は「景星」。



○ダンジァ(弾加)

 シィンの騏驥であり五変騎の一頭である「完応の赤」。
 同シリーズ「まるで生まれる前から決まっていたかのように」のメイン主人公の一人。攻。
 元々は東の厩舎所属だったが、シィンと出会い彼の騏驥となり入城する。
 人間の姿だと二十歳すぎくらいに見えますが、実際はもう少し若いです。
 年のわりに落ち着いた性格と容姿。体格に恵まれ、瞬発力や持久力にも優れ、性格も穏やかで賢い。育成時から評判の高い騏驥。
 黒茶の髪に黒い瞳。馬の姿になったときは赤い毛色。

 騏驥としての公式ステータスは、
 スピード S
 スタミナ A+
 瞬発力 A
 パワー A+
 操作性 S
 健康 B
 距離 A
 馬場 A
 賢さ S+
 気性 S+
 Grade Ⅰ

 言動に関して最も制限がない(GⅠ・Grade Ⅰ)クラスの騏驥である。
 また、騎士に随伴しているとき以外でも城内で帯剣を許されている、ごく限られた騏驥のうちの一頭であり、シィンの鞭「景星」と揃いで作られた剣「星駕」を帯びている。


 
◎ツェンリェン(真連)

 東宮所属の近衛騎士。
 年はシィンとほぼ同じですがやや上。
 シィンとは騎士と剣術の師を同じくする兄弟弟子になります。
 騎士としてはシィンの方が兄弟子で、剣術ではツェンリェンの方が兄弟子です。


 茶褐色混じりの黒茶の髪に灰色がかった茶褐色の瞳。
 均整のとれた長身。精悍かつ高雅な雰囲気を持つ整った面差し。
 騎乗技術、剣技、魔術使用の適正さなど、すべてにおいて秀で、性格も穏やかなため、騎士の理想の騎士と讃えられ、慕われています。
 女性たちからも非常に人気があります。
 愛騏は「始祖の血を引く騏驥」の一頭であるユーファ(雨紡)。



◎リィ(丽)

 同シリーズ「きみよ奇跡の意味を知れ」のメインの一人。受。
 成望国の騎士。
 見た目は二十代前半。すらりと背の高い、凛とした美形。長い黒髪に意志の強さが窺える黒い瞳。

 成望国が国土拡張を成し遂げた以前に存在した、古千国の王家の末裔。そのため正式な敬称は現在でも「殿下」になる。が、通常はそう呼ばれていない。彼をそう呼ぶのは形式上それが妥当な者だけである。
 騏驥の騎乗や通常の馬の騎乗に天性の素質があり、愛騏は五変騎の一頭であり「最高で最悪の騏驥」と言われる「狂悦の緑」ルーラン。
 また、鞭にも詳しくマニアでありコレクターでありソムリエである。



○ルーラン(流嵐)

 同シリーズ「きみよ奇跡の意味を知れ」のメインの一人。攻。
 人の姿の時の見た目はリィよりやや上。
 五変騎の一頭である「狂悦の緑」。
 光の加減で馬体が緑がかって見える稀少な毛色の騏驥であり、「騎乗者を恍惚に導く」と言われるほどの抜群の乗り心地を誇る。
 が、気性に大いに問題がある。
 最高で最悪の騏驥とも呼ばれ、そのため、通常は首に一つだけのはずの騏驥を制御する「輪」が右手首と左足首にも付けられている。この世で唯一の「三つ輪の騏驥」である。

 大柄ながら均整の取れた馬体に比類のない脚力。
 スピード、スタミナともに抜群で、足場の悪いところでも平気で走る。
 乗り味が非常にいいが、それら全ての美点を打ち消すほど気性が悪い。 

 人の姿の時も濃茶のような濃緑のような髪色。瞳は蜂蜜色だが隻眼である。
 美形だが人を食ったような表情を見せることが多い。
 騏驥としてのステータスは、「All U(Unmeasurable=測定不能)」もしくは「All V(Variable=可変)」。

 好き嫌いが激しく気分屋で、「リィを嫌う奴は蹴り飛ばす。リィを好きな奴は蹴り殺す」の精神で生きているので基本的にリィ以外は御せない。

 騎士の判断によって帯剣が許されるが、その技量は騏驥が持つ能力によるところが大きいため、剣術でも無双の強さを誇る。
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