強面な騎士様は異世界から来た少女にぞっこんです

島崎 桜

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3話 採用決定

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わずかな着替えだけの荷物を持って、騎士団本部の建物へと向かう。王城のすぐ手前に位置するここは、さながら王を守る砦のようだ。大門の近くまできたが、怪しいやつだって追い返されちゃったらどうしよう。

「用件は?」
「ルイスさんに会いにきました」
「隊長のお客人でしたか。どうぞ」

門番の槍をもった兵士さん二人は怪訝そうな顔をしていたが、ルイスさんの名前を出しただけですんなり通してくれた。敷地の中に入ると、片方の兵士さんがルイスさんを呼びにいく。しばらくすると紺色の軍服を着て、腰に洋剣を携えたルイスさんが出てきた。

「来たか。迷わなかったか?」
「大丈夫です」
「こっちへ、案内するよ」
「はい」

敷地内を真っ直ぐ進んでいくと、黄色い建物の隣にもうひとつ建物が見えた。あそこが騎士団に所属している人が入る寮らしい。

「おおかた話はついてるんだが、今から面接を行うから、ここで座って待っていてくれ」
「はい」

騎士団本部の建物に足を踏みれて、階段を登り、廊下を進むと会議室のような場所に通された。手前の席に腰掛けたが、広くて落ち着かない、そわそわする。そして数分後、ルイスさんが連れてきたのはインテリっぽい眼鏡をかけたイケメンだった。顔は整ってるけど、性格はキツそうな感じ、見てる分にはいいけど結婚したら苦労しそうなタイプ。胸元にたくさん高級そうなワッペンが付いてるし、お偉いさんかな。

二人が私の目の前に腰掛ける……目を逸らしちゃダメだ、面接のときは相手の顔を見ながらやれって高校受験のときに先生に教わったじゃないか。

「はじめまして」
「はじめまして。サトミです」
「私は副団長のレオ・ハートと申します。この度はウチで働きたいとのことですが……ご出身はどちらで?」
「......えーっと」
「ご家族は?」
「……」
「答えられませんか?」
「副団長! 彼女は孤児院育ちで、幼少期にひどい扱いを受けていたらしく、そのせいで記憶が曖昧らしくて……」

ルイスさんが助け船を出してくれた。そうだった、異世界から来ましたなんて言ったら頭のおかしいやつと思われるかもしれないから、そういう設定にしてたんだった。

「ルイスはどこの誰かもわからない人間を受け入れようとしていたのですか?」
「彼女はすごくいい子です、俺が保証します」
「お願いします、私、一生懸命頑張りますから」

憂いを帯びた表情で、レオさんを見つめる、そして数秒後、彼は大きくため息をついた。

「まぁいいでしょう。ただしルイス、あなたが拾ってきたんだ。そこの彼女が何か問題を起こした場合はあなたに責任を取ってもらいますからね」
「承知しました、副団長」
「......ありがとうございます」

私はレオさんに丁寧に頭を下げ、ルイスさんと一緒に会議室から退出した。ヒヤヒヤしたが、なんとか合格したみたいだ。そして私は騎士団本部の中をルイスさんに軽く案内してもらったあと、隣の寮へ移動した。さっそく今日から入居してもOKとのこと。

「一階には談話室があって、本を読んだり、おしゃべりをしたり、自由にすごしてもらってかまわない。そして、君の部屋だが......」
「隊長! お呼びですか?」

すると、白茶色のウェーブかかったボブヘアの女の子が小走りでやってきた。年齢は私とそう変わらないくらいに見える。身長は私よりも少し低い。ゆったりした黒っぽいロングワンピースの上から白いエプロンを着ている。

「今日から入る新人さん。案内頼むよ」
「サトミです。よろしくお願いします」
「アイシャです、よろしくね!」
「ここからは女性にバトンタッチだ。サトミ、わからないことがあったらアイシャになんでも聞いてくれ」
「はい、ありがとうございました」

そう言って、ルイスさんは寮から出て行った。そのあと私はアイシャちゃんの後ろを歩き、ずっと階段を登っていた。

「女子のフロアは最上階なの。疲れるよね~。でも慣れれば平気だから」
「ひーっ……」

なんとかてっぺんの五階にたどり着いた。この異世界にエスカレーターなんて便利なものは存在しない。これから毎日この量の階段を登り降りするのかぁ……。できなくはないけど、地味にキツいレベル。

次に案内されたのは廊下側の一番左の部屋だった。家具は小さなテーブルと椅子が二つ、そして洋服を収納するタンスだけ。夜はここで布団を敷いて寝るという。なんか、こじんまりしてる。水道も風呂もトイレも共同だから、本当にただ寝るだけの場所って感じ。

「サトミの部屋はここ。私と同室になるから覚えておいて、もし場所を忘れちゃっても他の人に聞けば教えてくれるから」
「はい、ありがとうございます」
「敬語なんて使わなくていいよー。これからはルームメイトになるんだから、よろしくねサトミ」
「うん、よろしく。アイシャちゃん」

私はアイシャちゃんに右手を差し出した。彼女はその意味が分からないのか、首を傾げている。

「なぁに?」
「これは私の母国のあいさつで、握手っていうの。握り返してみて」
「うん」

アイシャちゃんの小さな手が私のそれをにぎり返す。これからは彼女と長い間生活を共に生活することになるんだ。仲良くなれるといいなぁ。

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