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9話 リフレッシュ休暇
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「サトミ、副団長が呼んでる」
「今?」
「ここは私がやっとくから、早く行ってきちゃいな」
「うん、ありがとう」
残りのお皿の洗いものをララちゃんに任せて私はハンカチで手を拭くとエプロンを脱いで廊下に出た。そこに立っていたのはアッシュベージュの髪色に琥珀色の瞳を携えた細身のインテリイケメンレオ副団長。日本人離れした顔立ちは整いすぎて現実味がない。ゲームの登場人物みたいだ。ファイナ○ファンタジーとかに出てきそう。この異世界顔面偏差値高いな。
「お呼びですか?」
「あなたに重要な任務を与えます」
「任務?」
「あなたにしかできないことなのです。受けていただけますか?」
「は、はい」
私にしかできないことってなんだろ。緊張して胸がドキドキする。レオさんは真面目は最初は真面目な顔つきだったが、数秒後、両端の口角を上げてニコッと柔らかく微笑んだ。
「明日一日休暇を差しあげるので、外で思いっきり羽を伸ばしてきてください」
「......え?」
「好きなように遊んできてください」
「誰かと?」
「いいえ、おひとりで。それとこれはお小遣いです」
「あ、ありがとうございます......」
「ただし町の外に出ないこと。門限までに帰ってくること。この二つは必ず守ってください、いいですね?」
「承知しました」
レオさんからお金の入った巾着袋を受けとった。めちゃくちゃいい人じゃん。お給料はきちんともらってるのに、私だけこんな高待遇でいいのかな。
私は明日のことを考えて、うきうきしながら仕事場に戻った。
次の日。髪型をハーフアップにまとめあげて、ロングブーツの靴紐をしっかり結んで門の外へ出る。本当にひとりでいいのかなとか思ったが、アイシャちゃんもララちゃんもお仕事で手が離せないので仕方ない。
遊ぶといっても映画館もゲームセンターもカラオケも、これといった娯楽の施設はないので思いつくのは飲み食いくらい。
「あれ? ルイス隊長にヨハン隊長じゃないですか」
「たまたまなんだよ。なっ? ルイス」
「たしかに、すごい偶然だ」
不意に背後から視線を感じて、振り返るとルイスさんとヨハンさんが五十メートルくらい離れていたところに立っていたので、駆け寄って話しかけた。お二人ともお休みなのかな、ラフなジャケットにズボン姿で、軍服じゃない格好は新鮮味を感じる。ルイスさん眼鏡かけてるし、ヨハンさんはキャスケットっぽい帽子をかぶっている。
「よかったら一緒にお食事でもいかがですか?」
二人はなんだかもじもじしてて気まずそう。
失礼だったかな?
「いいぜ」
「サトミは何が食べたい?」
「お肉がいいです!」
そのあとは三人で近くの定食屋さんに入った。おっきなハム肉のステーキにサラダ、ふわふわの白パンにコーンポタージュのスープ。デザートにフルーツの盛り合わせまで頼んじゃった。いやー、贅沢ですな。
「お前、そんなに飢えていたのか」
「サトミ、そんなに急がなくても料理は逃げないから、落ち着け」
「んー! んー! むー?」
「何言ってっかわかんねーよ……」
「ああもう、口の端にソースついてる……」
次々に食べものを大きく開けた口の中に押し込む私にヨハンさんはドン引き。ルイスさんは父親みたいに心配そうな顔で私を見てる。二人はホットコーヒーしか頼んでいない。お腹減ってないのかな。
いつも質素な食事ばっかりだったから、動物性油が体に染み渡っていく……ダイエットのことは今は忘れて、ただ欲を貪る獣と成り果てよう。
「はぁー。美味しかったです。ありがとうございました」
「いや、別に……」
「これくらいなら」
大満足、今日は最高の一日だった。副団長にお小遣いもらってたのにご飯代奢ってもらっちゃったなあ。あとで何かお礼しなきゃ。三人で騎士団までの道を戻る。この時間なら門限までは余裕だ。
「そういえばお二人はどこへ行こうとしてたんですか?」
「なんだっけかな、サトミの顔を見てたら忘れちゃったよ」
「そーだな」
「なんですか、それ」
ルイスさんはクシャっとした笑顔を浮かべて、ヨハンさんはルイスさんの言葉に適当に頷いて。二人に挟まれるようにして手を繋いで帰った。
「今?」
「ここは私がやっとくから、早く行ってきちゃいな」
「うん、ありがとう」
残りのお皿の洗いものをララちゃんに任せて私はハンカチで手を拭くとエプロンを脱いで廊下に出た。そこに立っていたのはアッシュベージュの髪色に琥珀色の瞳を携えた細身のインテリイケメンレオ副団長。日本人離れした顔立ちは整いすぎて現実味がない。ゲームの登場人物みたいだ。ファイナ○ファンタジーとかに出てきそう。この異世界顔面偏差値高いな。
「お呼びですか?」
「あなたに重要な任務を与えます」
「任務?」
「あなたにしかできないことなのです。受けていただけますか?」
「は、はい」
私にしかできないことってなんだろ。緊張して胸がドキドキする。レオさんは真面目は最初は真面目な顔つきだったが、数秒後、両端の口角を上げてニコッと柔らかく微笑んだ。
「明日一日休暇を差しあげるので、外で思いっきり羽を伸ばしてきてください」
「......え?」
「好きなように遊んできてください」
「誰かと?」
「いいえ、おひとりで。それとこれはお小遣いです」
「あ、ありがとうございます......」
「ただし町の外に出ないこと。門限までに帰ってくること。この二つは必ず守ってください、いいですね?」
「承知しました」
レオさんからお金の入った巾着袋を受けとった。めちゃくちゃいい人じゃん。お給料はきちんともらってるのに、私だけこんな高待遇でいいのかな。
私は明日のことを考えて、うきうきしながら仕事場に戻った。
次の日。髪型をハーフアップにまとめあげて、ロングブーツの靴紐をしっかり結んで門の外へ出る。本当にひとりでいいのかなとか思ったが、アイシャちゃんもララちゃんもお仕事で手が離せないので仕方ない。
遊ぶといっても映画館もゲームセンターもカラオケも、これといった娯楽の施設はないので思いつくのは飲み食いくらい。
「あれ? ルイス隊長にヨハン隊長じゃないですか」
「たまたまなんだよ。なっ? ルイス」
「たしかに、すごい偶然だ」
不意に背後から視線を感じて、振り返るとルイスさんとヨハンさんが五十メートルくらい離れていたところに立っていたので、駆け寄って話しかけた。お二人ともお休みなのかな、ラフなジャケットにズボン姿で、軍服じゃない格好は新鮮味を感じる。ルイスさん眼鏡かけてるし、ヨハンさんはキャスケットっぽい帽子をかぶっている。
「よかったら一緒にお食事でもいかがですか?」
二人はなんだかもじもじしてて気まずそう。
失礼だったかな?
「いいぜ」
「サトミは何が食べたい?」
「お肉がいいです!」
そのあとは三人で近くの定食屋さんに入った。おっきなハム肉のステーキにサラダ、ふわふわの白パンにコーンポタージュのスープ。デザートにフルーツの盛り合わせまで頼んじゃった。いやー、贅沢ですな。
「お前、そんなに飢えていたのか」
「サトミ、そんなに急がなくても料理は逃げないから、落ち着け」
「んー! んー! むー?」
「何言ってっかわかんねーよ……」
「ああもう、口の端にソースついてる……」
次々に食べものを大きく開けた口の中に押し込む私にヨハンさんはドン引き。ルイスさんは父親みたいに心配そうな顔で私を見てる。二人はホットコーヒーしか頼んでいない。お腹減ってないのかな。
いつも質素な食事ばっかりだったから、動物性油が体に染み渡っていく……ダイエットのことは今は忘れて、ただ欲を貪る獣と成り果てよう。
「はぁー。美味しかったです。ありがとうございました」
「いや、別に……」
「これくらいなら」
大満足、今日は最高の一日だった。副団長にお小遣いもらってたのにご飯代奢ってもらっちゃったなあ。あとで何かお礼しなきゃ。三人で騎士団までの道を戻る。この時間なら門限までは余裕だ。
「そういえばお二人はどこへ行こうとしてたんですか?」
「なんだっけかな、サトミの顔を見てたら忘れちゃったよ」
「そーだな」
「なんですか、それ」
ルイスさんはクシャっとした笑顔を浮かべて、ヨハンさんはルイスさんの言葉に適当に頷いて。二人に挟まれるようにして手を繋いで帰った。
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