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22話 パーティー
しおりを挟む「皆の日々の働きに感謝して、本日はささやかながら宴の席を用意した! 今宵は無礼講だ! 存分に楽しんでいってくれ!」
騎士団の団長、身長は二メートルくらいで、燃え盛る太陽のようなオレンジ色が混ざった赤髪のガハハ系おっさん、ヴォルフガング・ヴェーデンハイトさんが手に持ったコップを高く掲げると、私もそれに合わせてジュースが注がれたコップをほかの仲間とかち合わせた。今日は団中で年に一度開かれる慰労パーティー。そのために特別会場が設けられ、騎士団のメンバー全員が集まって会食を行う。
食事はバイキング形式で、目の前の長机には普段は滅多にお目にかかれないようなご馳走が所狭しと並んでいる。
上座の方にあるテーブルについているのは団長と副団長、それと十名の隊長たち。隊長全員がそろっているのはじめてみた。その中で女性はマーガレットさん一人だけ。やっぱり彼女は特別なんだな。ヨハンさんはワインをガブガブ飲みながらガンガン飯食ってるし、ルイスさんは静かに黙々とフォークを口に運んでいるし、ユリウスくんは山盛りのローストビーフだけを口いっぱいに頬張っている。それぞれ個性が出てて面白い。
そういえば、ユリウスくんって歳いくつなんだろう。ほかの隊長さんたちはみんな三十代くらいだけど、彼だけ抜きん出て若い。というか幼い。下手したら中学生くらいに見える。私より歳下だとは思うけど……。
「……ミ! サトミ!」
「はっ、ごめん」
「ボーッとしてないで、これ取って隣の人に回して!」
「うん」
ララちゃんに声をかけられて、ようやく我に返った私は、大皿から生ハムとレタスのサラダを自分の受け皿に取って、その大皿を隣に座っているアイシャちゃんに渡した。
「サトミって、人間観察好きなの?」
アイシャちゃんは不思議そうな顔。そりゃそうか、食事に一切手をつけずにずっとルイスさんたちの方見てたもんな。
「いやー、ははっ」
笑って誤魔化しておいた。本当は大好きです。
宴も終わり、私が食器の片づけを手伝っていると、顔を真っ赤にしてベロベロに酔っ払い、千鳥足になっているヨハンさんに肩を貸しながら歩いているルイスさんが水道のところまで来た。
「悪い、水を一杯もらえるか?」
「ヴェーーーイ!!!」
ヨハンさんが突然意味のない言葉を叫びだす……口から漂う消毒液のような匂い。彼は既に正気を失っているようだ。私はコップに水を注いで、ルイスさんに渡した。
「どうぞ」
「ほら、水だ、しっかりしろ」
「ううっ」
ルイスさんがお水を飲ませても、ヨハンさんが回復する気配はない。こりゃ二日酔い確定コースだな。明日も仕事なのに大丈夫か?
「どれだけ飲んだんですか……」
「ワインの大瓶二本くらい空にしてたな」
「うっわぁ」
そんなの一気に飲んだら急性アル中になって死んでもおかしくない量じゃん。肝臓大ダメージ間違いなし。
「ヨハン、部屋に戻るぞ、とにかくもう休め」
「んー……お前、イイ男だなぁ」
ヨハンさんがむくりと顔面を上げて、ルイスさんの瞳をじっと見つめる。そしてそのまま唇を近づけると、ルイスさんの形のいいそれに重ね合わせた。
「むっちゅー!」
「うっぷ! おいバカ! やめろ!」
見てしまった……二人のキスの瞬間を。疑惑が確信に変わる。間違いない。二人はホ○だ。私は人間観察が好きだが、イケメン同士の○モを安全な場所から眺めるのはもっと大好きだ。いいぞもっとやれ。
「全く、お前はどれだけ俺に迷惑かければ気が済むんだ」
「ふへへ」
そしてルイスさんはヨハンさんを引きずりながら消えていった。迷惑とか言ってもなんやかんやで面倒見がいいのはやっぱり両思いだからなのでは? くだらない妄想がはかどる。このあとは部屋の中で二人きりでお楽しみというわけですね。夜の介抱か……それはそれは綺麗な薔薇(バラ)が咲き誇りそうだ。
……どっちが下なのかな。
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