強面な騎士様は異世界から来た少女にぞっこんです

島崎 桜

文字の大きさ
23 / 50

22話 パーティー

しおりを挟む

「皆の日々の働きに感謝して、本日はささやかながら宴の席を用意した! 今宵は無礼講だ! 存分に楽しんでいってくれ!」

騎士団の団長、身長は二メートルくらいで、燃え盛る太陽のようなオレンジ色が混ざった赤髪のガハハ系おっさん、ヴォルフガング・ヴェーデンハイトさんが手に持ったコップを高く掲げると、私もそれに合わせてジュースが注がれたコップをほかの仲間とかち合わせた。今日は団中で年に一度開かれる慰労パーティー。そのために特別会場が設けられ、騎士団のメンバー全員が集まって会食を行う。

食事はバイキング形式で、目の前の長机には普段は滅多にお目にかかれないようなご馳走が所狭しと並んでいる。

上座の方にあるテーブルについているのは団長と副団長、それと十名の隊長たち。隊長全員がそろっているのはじめてみた。その中で女性はマーガレットさん一人だけ。やっぱり彼女は特別なんだな。ヨハンさんはワインをガブガブ飲みながらガンガン飯食ってるし、ルイスさんは静かに黙々とフォークを口に運んでいるし、ユリウスくんは山盛りのローストビーフだけを口いっぱいに頬張っている。それぞれ個性が出てて面白い。

そういえば、ユリウスくんって歳いくつなんだろう。ほかの隊長さんたちはみんな三十代くらいだけど、彼だけ抜きん出て若い。というか幼い。下手したら中学生くらいに見える。私より歳下だとは思うけど……。

「……ミ! サトミ!」
「はっ、ごめん」
「ボーッとしてないで、これ取って隣の人に回して!」
「うん」

ララちゃんに声をかけられて、ようやく我に返った私は、大皿から生ハムとレタスのサラダを自分の受け皿に取って、その大皿を隣に座っているアイシャちゃんに渡した。

「サトミって、人間観察好きなの?」

アイシャちゃんは不思議そうな顔。そりゃそうか、食事に一切手をつけずにずっとルイスさんたちの方見てたもんな。

「いやー、ははっ」

笑って誤魔化しておいた。本当は大好きです。

宴も終わり、私が食器の片づけを手伝っていると、顔を真っ赤にしてベロベロに酔っ払い、千鳥足になっているヨハンさんに肩を貸しながら歩いているルイスさんが水道のところまで来た。

「悪い、水を一杯もらえるか?」
「ヴェーーーイ!!!」

ヨハンさんが突然意味のない言葉を叫びだす……口から漂う消毒液のような匂い。彼は既に正気を失っているようだ。私はコップに水を注いで、ルイスさんに渡した。

「どうぞ」
「ほら、水だ、しっかりしろ」
「ううっ」


ルイスさんがお水を飲ませても、ヨハンさんが回復する気配はない。こりゃ二日酔い確定コースだな。明日も仕事なのに大丈夫か?

「どれだけ飲んだんですか……」
「ワインの大瓶二本くらい空にしてたな」
「うっわぁ」

そんなの一気に飲んだら急性アル中になって死んでもおかしくない量じゃん。肝臓大ダメージ間違いなし。

「ヨハン、部屋に戻るぞ、とにかくもう休め」
「んー……お前、イイ男だなぁ」

ヨハンさんがむくりと顔面を上げて、ルイスさんの瞳をじっと見つめる。そしてそのまま唇を近づけると、ルイスさんの形のいいそれに重ね合わせた。

「むっちゅー!」
「うっぷ! おいバカ! やめろ!」

見てしまった……二人のキスの瞬間を。疑惑が確信に変わる。間違いない。二人はホ○だ。私は人間観察が好きだが、イケメン同士の○モを安全な場所から眺めるのはもっと大好きだ。いいぞもっとやれ。

「全く、お前はどれだけ俺に迷惑かければ気が済むんだ」
「ふへへ」

そしてルイスさんはヨハンさんを引きずりながら消えていった。迷惑とか言ってもなんやかんやで面倒見がいいのはやっぱり両思いだからなのでは? くだらない妄想がはかどる。このあとは部屋の中で二人きりでお楽しみというわけですね。夜の介抱か……それはそれは綺麗な薔薇(バラ)が咲き誇りそうだ。

……どっちが下なのかな。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

お飾りの妃なんて可哀想だと思ったら

mios
恋愛
妃を亡くした国王には愛妾が一人いる。 新しく迎えた若い王妃は、そんな愛妾に見向きもしない。

1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。

尾道小町
恋愛
登場人物紹介 ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢  17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。 ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。 シェーン・ロングベルク公爵 25歳 結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。 ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳 優秀でシェーンに、こき使われている。 コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳 ヴィヴィアンの幼馴染み。 アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳 シェーンの元婚約者。 ルーク・ダルシュール侯爵25歳 嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。 ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。 ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。 この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。 ジュリエット・スチール公爵令嬢18歳 ロミオ王太子殿下の婚約者。 ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳 私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。 一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。 正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?

【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています

22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」 そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。 理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。 (まあ、そんな気はしてました) 社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。 未練もないし、王宮に居続ける理由もない。 だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。 これからは自由に静かに暮らそう! そう思っていたのに―― 「……なぜ、殿下がここに?」 「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」 婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!? さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。 「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」 「いいや、俺の妻になるべきだろう?」 「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

処理中です...