強面な騎士様は異世界から来た少女にぞっこんです

島崎 桜

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23話 パトロール

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破れたシャツの修繕や、取れたボタンをつけ直すのも私たちの仕事。大広間に集まって円形になるように床に座り、無心でチクチクチクチクお裁縫。自慢じゃないが、私は意外に手先が器用な方だ。中学生のときの家庭科の評価はオールA。夏休みの宿題で作ったぬいぐるみのクマちゃんは県で金賞を受賞したほど。

「おい、行くぞ」
「え?」
「引きこもってばかりじゃ干物になっちまう。いいから付き合え、イリーナ! こいつ借りてくぞ!」
「好きなだけ持っててー、ちゃんと返してよね」

突然現れたヨハンさんに、私は無理やり連行されてしまった。リーダーのイリーナさんは笑いながら手を振ってるし……。私、まだお仕事中なんですけど!?

ヨハンさんを先頭に、十名くらいの兵士さんと共に町を歩く。パトロールのついでに私を連れ出してくれたらしい。たくさんの騎士様に囲まれる今の私はまるでお姫様。悪い気はしないな。

「これだけ人数がいれば拐われる心配もねぇだろ」
「ありがとうございます。昨日は随分飲まれたみたいですが、体調は大丈夫ですか?」
「最悪だ。まだ頭がガンガンするよ。昨夜の記憶がほとんどねーんだ。タダ酒だからって調子に乗りすぎたな」

じゃあキスのことも覚えてないのかな。ヨハンさんはルイスさんのことどう思ってるんだろ。ただの友だち?

「ヨハン隊長は、ルイス隊長と仲が良いんですか?」 
「そうだな、俺が十五で騎士団に入ったとき、初めて出会ったのがルイスだった。はじめはほとんど話さなくてなに考えているか分かんない不気味なやつだったが、今は……」

ヨハンさんの言葉がそこでパタリと止まった。今はなんなんだよ。さっさと続き聞かせろや。それだけでご飯三杯はいけるから。

「こんにちは」
「ユリウス、お前もパトロールか?」
「はい、僕の隊は町の西側を担当しますから、ヨハン先輩はもう半分の東側をお願いします」
「ああ、わかった」
「サトミちゃん、ヨハンおじさんのいうことよく聞いて、ちゃんと大人しくしてるんだよ」
「はい」
「おじさんじゃねーし!」
「はは、すみません。それじゃ僕はこれで」

偶然ユリウスくんの隊とすれ違って、少し言葉を交わすとそのまま彼は五番隊の兵士を連れてどこかに行ってしまった。そのあとは、ただひたすら無言で歩くだけ。不審者なし、事件なし、平和なのはいいことだ。パトロールって、牽制の意味もあるのかな。別にやましいことはなくても、パトカーが後ろ走ってたら緊張しちゃうもんね。

「ヨハン隊長は、ルイス隊長のこと、好きですか?」

とうとう聞いてしまった。失礼かとも思ったが、いまさら発言を取り消すことはできない。

「……好きだよ。親友としてな」
「……そうですか」

百点満点の回答をしたあと、彼が不意に立ち止まる。私に背を向けているので表情を確認することはできないが、その声音はひどく寂しげで。

「なんか土産でも買って帰るか、なにがいい?」
「甘いものがいいですー」
「それ、お前が食べたいだけだろ?」

ヨハンさんは振り返ると、軽快な笑い声を上げて私の頭を乱暴にガシガシと撫でられた。この人は少しガサツなところがあるけど、優しい。

さっき彼が言ったルイスさんへの好きは多分本心。それはライクなのかラブなのか…...前者だってことにしておきましょう。どうか関係が壊れることなく、この先もずっと二人が一緒にいることができますように。

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