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44話 潜入任務
しおりを挟む外はカンカン晴れ、気温も普段より高めで、絶好のお洗濯日和。庭にデカイタライをおいて、屈んで大量に山積みになっている汚れ物を一枚一枚洗っていく。この姿勢、腰が痛くなるのが辛いんだよな。
「……あの、なにか?」
「よしっ、お前でいいや! 行くぞ!」
急に銀髪でウルフヘアで、耳にいくつもピアスが空いているド派手でイケイケな兄ちゃんに米俵を担ぐように簡単にヒョイっと抱きかかえられてしまった。
「ぎゃー! 人攫いー!」
「おい! 暴れるなよっ」
私が手足をバタバタさせて脱出を試みると、その騒ぎを聞きつけてルイスさんが駆け寄ってきた、私はなんとか抜け出して、ルイスさんの身体の後ろにひよこのように隠れる。
「おい、エドガー! サトミになにをする!」
「なんでもマフィアの連中が身代金目的で王子を攫う計画を立てているらしい。そいつらがキャバクラのカノンって店に頻繁に出入りしてるってタレコミが入ったんだ。俺が先に客として潜入しているが、どうにもしっぽが掴めねぇ、そこで、姉ちゃんに嬢として店に潜り込んで内部から情報を聞き出してほしくてな」
場所を移動して隊長室で作戦会議。私を連れ去ろうとした犯人は三番隊隊長のエドガー・ワーグナーさん。なんかいろいろと強引な人だ。
「お前水商売出身なんだろ? こういうのは得意じゃねえか?」
「確かに前は酒場で働いてましたけど、やってたのは給仕だけで……」
「ダメだダメだ! キャバクラなんて、変なおっさんに胸や尻を触られるかもしれないだろ!? そんな汚い場所にサトミを送り込むなん、て……」
「ルイス隊長。どこだってみんな一生懸命働いているんです。汚い場所なんてありませんよ」
「あ、ああ……」
「エドガー隊長、その任務受けます。私でお役に立てるなら」
「そう来なくっちゃ、早速今夜から潜入してくれ」
「待て、一人じゃなにかあったとき危険だ。俺も一緒に行く!」
「「は?」」
客ではなく、嬢として私と一緒に潜入することになったルイスさん。女装ルイ子再び。
今回は私がお化粧をしてみた。一番初めの下地はしっかり。ファンデは首の色と同じものを、アイシャドウはラメ入りのブラウン。ルイスさんは顔立ちがハッキリしてるのでキツい印象になってしまうからアイラインは控えめで。血色の悪い唇にはサーモンピンクのリップの上からグロスを重ねた。化粧は馴染みやすさが大切なのだ。
「まだかかるか?」
「もうちょっと、我慢してください」
「これなら女に見えないこともないが、違和感がすごいな」
「普通に顔つきとかは男性のそれですからね。丸みがないっていうか……あと身長の問題もあります。
ルイス隊長、縮められませんか? 二十センチくらい」
「無理です」
服装は身体の線が分かりにくいロングワンピースにしてみた。が、男性特有のゴツさと身長はどうやっても隠せなかった。
「頼むよママ。こいつら親が死んでほかに行く当てがねーんだ。雇ってやっちゃくれないか? ほら二人とも、あいさつしろ」
「姉のサトミです。そしてこっちが妹の……」
「ルイザです」
早速三人で例のキャバクラ、カノンに向かった。エドガーさんの顔見知りだというママさんはルイスさんを見るなり渋い顔。流石に妹設定は無理があると思う。声普通に男だし。
「エドガーさんの頼みなら聞いてあげたいけどねぇ。そっちのサトミって子だけなら引き取ってあげてもいいよ。若いし器量も良さそうだ。きっと大勢お客さんがついてくれるだろう」
「悪いね、こいつらどんなときもベッタリくっついて離れたがらないんだ。なんとか二人セットで頼むよ」
「……うーん。仕方ないね」
しぶしぶ、と言った感じだが、なんとか私とルイスさんは店に受け入れてもらえることになった。本当にうまく行くのか? 不安の種は尽きないが……果たしてルイスさんは夜に舞う蝶になれるのか?
「ほかの隊長にも声をかけて客として様子を見に行かせる。なにかあったら紙に書いて渡してこっそり知らせろ」
「はい」
レッツ! 潜入!
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