エゾ伝

satoshi1994

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小規模ギルドのある町

第6話 酒の力

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 微妙に暗い酒屋がいつもより余計に暗く見える。会話も同じテーブルよりも周囲の話し声の方が耳にはいる。心なしか北の洞窟の話ばかりが耳にはいってくる気がする。

 久々にパーティメンバーで飯を食べる。最近は仕事が終わると直ぐに帰るようになってきた。
 いや、俺が積極的に帰ろうとしていたのかもしれない。
 「で、ザフ・・・結局どうするつもりなの?」
 しまった。これは全く話を聞いていなかったのに、まとめを求められているのではないか?
 正直このパーティに将来性を感じられていない。
 短期目標として、今流行りの北の洞窟など出したところで反応は想像できてしまう。かといって・・・。
 「ちょっティシャが聞いてくれてんのにガン無視かよ!うける」 
 ポロがいつもの調子でおどけて言うが、ベックやティシャの表情を見ると皆同じ考えのようだ。
 「えらく仲がいいじゃねぇか。お前らだけで話が出来てんのか?」
 苦し紛れにいっただけだったが皆ギョッとする。
 図星かよ。
 「俺が独りで仕事やってんのがそんな不快かよ!ぇえ!?よそじゃ普通にやってるっての!
 それともなにか?俺が独りで早々に帰るのが気にくわないか?
 仕事が終わったんだそりゃ帰るだろ。俺らはパーティメンバーであって友達じゃあねぇんだからよ。一線引いていこうぜ」
 思わず声がでかくなる。
 馴れ合いはもう、うんざりだ。俺はもう立ち止まりたくない。
 「おい。喧嘩なら外でやれ!酒が不味くなる」
 外野が何勝手に入ってきてんだよ。
 声のする方向を睨むと、そこにはダンがいる。
 ということは・・・。
 いや、あの男はいないか。
 「あいつとまた連んでいるのかと思いきや、自分とこのパーティで酒飲んでいるのか。どうした?捨てられたか?」
 「俺は機嫌が悪い。だがお前も大分酔っているようだから今日のところは勘弁してやる。今すぐ失せろ」
 っけ、調子乗りやがって。だがこいつはこの町のギルドで古参。実力も十分。嫌われて特はない。そういえば。北の。
 洞窟。
 「そういやぁ。あんた。あの。よく北の洞窟にいっているだろ?」
 椅子から立ち上がろうとするが、うまく立ち上がれない。それでも思考は加速する。椅子が邪魔なので足で蹴り、倒れないようにテーブルをつかむ。
 周りの連中が何か言っているし、しきりに座らせようとする。とりあえず邪魔なので手を振りほどく。
 いま。とてもじゅうようなことをいうところなんだ。じゃまをするな。
 「こんどいくとき。おれも北の洞窟に連れていってくれよ。なぁいいだろ?いいかんがえだとおれはおもうんだよ。おまえんとこの射手たいしたことないだろ?俺の方が上だ」
 あまりことばがでてこない。
 「今お前が酔っていることは逆にいいことだったかもしれない。何を言っているかはよく判らないが・・・お前の言おうとしていることはわかった。酔いが覚めたら俺のところに来い。うちの射手とお前みたいな奴とどちらが上か確認してやる」
 偉そうにしているダンに詰め寄ろうとするが足がもつれ、姿勢が維持できない。
 ガンッ
 頭を盛大に隣のテーブルにぶつける。
 「そのことばぜったいにわすれるなよ。俺は覚えているぞ」
 きまった。
 「とてもそうは思えないがな。早く家に連れ帰ってもらえ」
 ん?こいつなにをいっているんだ?
 おれはまだのみたらない。


 気持ち悪い夢を見た。よく思い出せないが、沢山のジャンに追いかけ回される夢。夢の世界は歪んでいたし辻褄も会わなかった。
 逃げた先には何故かティシャとポロとベックが泣いていた。それもガキの姿で。
 思い出そうとすればするほど曖昧になり、頭がいたくなってきた。
 強い吐き気が出、トイレに駆け込む。危うく放出しかけるが、気合いで飲み込む。
 便器に頭を突っ込むが、いざ胃で詰まってでない。指で喉の奥を刺激しようやく戻す。酷い臭いだ。
 吐くとさっきより余計に頭が痛くなった。
 水をのみ、吐く。
 そんなことを繰り返しながら横になることを繰り返し、体調が回復した頃には昼になっていた。

 装備を整える。話の流れを覚えていないが昨日酒の席でダンに北の洞窟に連れてってもらえる話になった。
 今日何かを確認すると言っていたが。
 まぁ今日行けば判るだろう。
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