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第14話「結婚式と新しい家族」
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結婚式の準備は、驚くほどの速さで進められた。
アルヴィンの権力と財力、そして王家の全面協力のおかげで、一ヶ月後には盛大な式が執り行われることになった。
会場は王宮の大聖堂。
国中の貴族や要人が招かれ、街はお祭り騒ぎだ。
リアンは白を基調とした正装に身を包み、控室で緊張していた。
「どうしよう、ポチ。足が震える……」
ポチも首に蝶ネクタイをつけて正装している。
彼が足元にすり寄ってくれるおかげで、少し落ち着いた。
ドアが開き、アルヴィンが入ってきた。
彼は純白のタキシード姿で、息を呑むほどかっこいい。
「準備はいいか?」
「は、はい……でも、転ばないか心配で」
「大丈夫だ。俺が支える」
アルヴィンは優しく手を差し出した。
その手を取り、二人はヴァージンロードへと向かった。
***
大聖堂の扉が開くと、パイプオルガンの荘厳な音色が響き渡った。
参列者たちが一斉に立ち上がり、二人を迎える。
ステンドグラスから差し込む光の中を、二人はゆっくりと歩いた。
祭壇の前で誓いの言葉を交わす。
「病める時も、健やかなる時も……」
神父の言葉に続いて、アルヴィンが力強く誓う。
「誓います」
そして、リアンも。
「誓います」
指輪の交換。
そして、誓いのキス。
万雷の拍手が沸き起こり、花びらが舞う。
幸せの絶頂だった。
***
披露宴は王宮の庭園で行われた。
美味しい料理と音楽、そして祝福の言葉。
リアンの実家の家族も招待されていた。
かつて彼を追い出した父と兄たちだ。
彼らは恐縮しきりで、小さくなっていた。
「リアン……すまなかった。お前がこんなに立派になるとは」
父が頭を下げる。
リアンは言葉に詰まった。かつて雪の降る夜に屋敷を追い出された時の、骨の髄まで凍えるような冷たさと絶望が、ふいに胸の奥で生々しく蘇る。見捨てられた心の傷は、そう簡単に癒えるものではない。震えそうになる手を隠すように、リアンは伏し目がちになった。それでも、隣に立つアルヴィンがそっと腰を抱き寄せてくれた温もりに、強張っていた心が少しだけ解ける。
「……俺は、あなたたちから受けた仕打ちを、完全に忘れることはできないと思います」
絞り出すようなリアンの声に、父と兄は痛ましそうに顔を歪めた。
「でも、おかげでアルヴィン様と出会えましたから。過去に囚われるのではなく、俺は前を向いて生きていきます」
完全に許すことはできなくても、過去と決別しようとするリアンの言葉に、家族は涙を流して深く頭を下げた。
アルヴィンは彼らを冷ややかな目で見ていたが、リアンが止めるので手出しはしなかった。
「お前が許すなら、俺も何も言わない。だが、二度と泣かせるような真似をしたら……」
小声で脅しをかけるのは忘れない。
宴もたけなわ、突然ポチが吠え始めた。
空を見上げている。
すると、空から無数の光が降り注いできた。
精霊たちだ。
色とりどりの小さな光が、会場全体を包み込む。
幻想的な光景に、参列者たちは感嘆の声を上げた。
祝福の声が聞こえる。
彼らはリアンの周囲を温かく舞い踊り、そっと優しい風を届けてから、夜空へと溶けていった。
ポチも嬉しそうに走り回り、名残惜しそうに消えていく精霊たちを見送っている。
最高に幸せな一日となった。
***
その夜、二人は屋敷のベッドで静かに語り合った。
「今日は疲れただろう。ゆっくり休め」
アルヴィンが優しく髪を撫でてくれる。
「はい……でも、本当に夢のような一日でした」
アルヴィンはリアンをそっと抱き寄せ、愛おしそうに頬にキスを落とした。
「これからも、ずっと一緒ですね」
「ああ、世界で一番幸せにしてやる」
そんな甘やかな会話をしながら、二人は幸せな眠りについた。
窓の外では、満月が優しく二人を見守っていた。
新しい家族との生活が、これから始まるのだ。
アルヴィンの権力と財力、そして王家の全面協力のおかげで、一ヶ月後には盛大な式が執り行われることになった。
会場は王宮の大聖堂。
国中の貴族や要人が招かれ、街はお祭り騒ぎだ。
リアンは白を基調とした正装に身を包み、控室で緊張していた。
「どうしよう、ポチ。足が震える……」
ポチも首に蝶ネクタイをつけて正装している。
彼が足元にすり寄ってくれるおかげで、少し落ち着いた。
ドアが開き、アルヴィンが入ってきた。
彼は純白のタキシード姿で、息を呑むほどかっこいい。
「準備はいいか?」
「は、はい……でも、転ばないか心配で」
「大丈夫だ。俺が支える」
アルヴィンは優しく手を差し出した。
その手を取り、二人はヴァージンロードへと向かった。
***
大聖堂の扉が開くと、パイプオルガンの荘厳な音色が響き渡った。
参列者たちが一斉に立ち上がり、二人を迎える。
ステンドグラスから差し込む光の中を、二人はゆっくりと歩いた。
祭壇の前で誓いの言葉を交わす。
「病める時も、健やかなる時も……」
神父の言葉に続いて、アルヴィンが力強く誓う。
「誓います」
そして、リアンも。
「誓います」
指輪の交換。
そして、誓いのキス。
万雷の拍手が沸き起こり、花びらが舞う。
幸せの絶頂だった。
***
披露宴は王宮の庭園で行われた。
美味しい料理と音楽、そして祝福の言葉。
リアンの実家の家族も招待されていた。
かつて彼を追い出した父と兄たちだ。
彼らは恐縮しきりで、小さくなっていた。
「リアン……すまなかった。お前がこんなに立派になるとは」
父が頭を下げる。
リアンは言葉に詰まった。かつて雪の降る夜に屋敷を追い出された時の、骨の髄まで凍えるような冷たさと絶望が、ふいに胸の奥で生々しく蘇る。見捨てられた心の傷は、そう簡単に癒えるものではない。震えそうになる手を隠すように、リアンは伏し目がちになった。それでも、隣に立つアルヴィンがそっと腰を抱き寄せてくれた温もりに、強張っていた心が少しだけ解ける。
「……俺は、あなたたちから受けた仕打ちを、完全に忘れることはできないと思います」
絞り出すようなリアンの声に、父と兄は痛ましそうに顔を歪めた。
「でも、おかげでアルヴィン様と出会えましたから。過去に囚われるのではなく、俺は前を向いて生きていきます」
完全に許すことはできなくても、過去と決別しようとするリアンの言葉に、家族は涙を流して深く頭を下げた。
アルヴィンは彼らを冷ややかな目で見ていたが、リアンが止めるので手出しはしなかった。
「お前が許すなら、俺も何も言わない。だが、二度と泣かせるような真似をしたら……」
小声で脅しをかけるのは忘れない。
宴もたけなわ、突然ポチが吠え始めた。
空を見上げている。
すると、空から無数の光が降り注いできた。
精霊たちだ。
色とりどりの小さな光が、会場全体を包み込む。
幻想的な光景に、参列者たちは感嘆の声を上げた。
祝福の声が聞こえる。
彼らはリアンの周囲を温かく舞い踊り、そっと優しい風を届けてから、夜空へと溶けていった。
ポチも嬉しそうに走り回り、名残惜しそうに消えていく精霊たちを見送っている。
最高に幸せな一日となった。
***
その夜、二人は屋敷のベッドで静かに語り合った。
「今日は疲れただろう。ゆっくり休め」
アルヴィンが優しく髪を撫でてくれる。
「はい……でも、本当に夢のような一日でした」
アルヴィンはリアンをそっと抱き寄せ、愛おしそうに頬にキスを落とした。
「これからも、ずっと一緒ですね」
「ああ、世界で一番幸せにしてやる」
そんな甘やかな会話をしながら、二人は幸せな眠りについた。
窓の外では、満月が優しく二人を見守っていた。
新しい家族との生活が、これから始まるのだ。
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