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第十六話「自分の居場所」
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ゼノンの隣に立つにふさわしい存在になりたい――。
その決意を胸に、僕は温室での活動にさらに力を入れるようになった。
ただハーブを育てるだけでなく、その知識を活かして、何か形あるものを生み出せないだろうか。
僕はまず、前世の記憶を頼りに、様々な効能を持つポーション(飲み薬)や軟膏の開発を始めた。
騎士団の訓練で怪我をした兵士たちのために、治癒効果の高い薬草をブレンドした塗り薬。
侍女たちの肌荒れを改善するための、保湿効果のあるハーブを使った化粧水。
僕の作る製品は、最初は宮廷内の人々へのささやかな贈り物だったが、その確かな効果が口コミで広まり、次第に「ぜひ売ってほしい」という声が上がるようになった。
「エリオット様の作る化粧水を使ったら、長年の悩みだったシミが薄くなったんです!」
「あの塗り薬のおかげで、古傷の痛みが和らぎました」
感謝されるたびに、僕の心は喜びで満たされた。
自分が誰かの役に立っている。この帝国で、僕だけの居場所を、僕自身の力で作れている。その実感が、何よりの自信になった。
やがて、僕の評判は帝都の商業ギルドの耳にも届いた。
ある日、ギルドマスターが直々に僕のもとを訪れ、「ぜひ、あなたの製品をギルドで取り扱わせてほしい」と頭を下げてきたのだ。
もちろん、ゼノンは大賛成だった。彼は僕の才能を誰よりも信じ、応援してくれていた。
「お前の知識は、この国の宝になる」
そう言って、彼は僕の事業がスムーズに進むよう、全面的にバックアップしてくれた。
僕の名前を冠したブランドが立ち上げられ、帝都の一等地に美しい店が構えられる。僕が開発したポーションや化粧品は、発売されるや否や、たちまち大ヒット商品となった。
僕は、得た利益を貧しい人々や孤児院に寄付することにした。
虐げられてきた自分だからこそ、弱い立場の人々の痛みが分かる。僕にできることで、少しでも多くの人を救いたかった。
そんな僕の活動は、民衆からの絶大な支持を集めることになった。
いつしか僕は、ただの『皇太子殿下の番』としてではなく、『民を思いやる聡明な薬師』として、帝国の人々に敬愛される存在となっていた。
自分の力で、居場所を、そして人々の信頼を勝ち取ったのだ。
鏡に映る自分の顔は、帝国に来たばかりの頃の怯えた少年ではなく、自信に満ちた青年の顔をしていた。
この場所に、ゼノンの隣に、僕はいてもいいんだ。
心から、そう思えるようになっていた。
その決意を胸に、僕は温室での活動にさらに力を入れるようになった。
ただハーブを育てるだけでなく、その知識を活かして、何か形あるものを生み出せないだろうか。
僕はまず、前世の記憶を頼りに、様々な効能を持つポーション(飲み薬)や軟膏の開発を始めた。
騎士団の訓練で怪我をした兵士たちのために、治癒効果の高い薬草をブレンドした塗り薬。
侍女たちの肌荒れを改善するための、保湿効果のあるハーブを使った化粧水。
僕の作る製品は、最初は宮廷内の人々へのささやかな贈り物だったが、その確かな効果が口コミで広まり、次第に「ぜひ売ってほしい」という声が上がるようになった。
「エリオット様の作る化粧水を使ったら、長年の悩みだったシミが薄くなったんです!」
「あの塗り薬のおかげで、古傷の痛みが和らぎました」
感謝されるたびに、僕の心は喜びで満たされた。
自分が誰かの役に立っている。この帝国で、僕だけの居場所を、僕自身の力で作れている。その実感が、何よりの自信になった。
やがて、僕の評判は帝都の商業ギルドの耳にも届いた。
ある日、ギルドマスターが直々に僕のもとを訪れ、「ぜひ、あなたの製品をギルドで取り扱わせてほしい」と頭を下げてきたのだ。
もちろん、ゼノンは大賛成だった。彼は僕の才能を誰よりも信じ、応援してくれていた。
「お前の知識は、この国の宝になる」
そう言って、彼は僕の事業がスムーズに進むよう、全面的にバックアップしてくれた。
僕の名前を冠したブランドが立ち上げられ、帝都の一等地に美しい店が構えられる。僕が開発したポーションや化粧品は、発売されるや否や、たちまち大ヒット商品となった。
僕は、得た利益を貧しい人々や孤児院に寄付することにした。
虐げられてきた自分だからこそ、弱い立場の人々の痛みが分かる。僕にできることで、少しでも多くの人を救いたかった。
そんな僕の活動は、民衆からの絶大な支持を集めることになった。
いつしか僕は、ただの『皇太子殿下の番』としてではなく、『民を思いやる聡明な薬師』として、帝国の人々に敬愛される存在となっていた。
自分の力で、居場所を、そして人々の信頼を勝ち取ったのだ。
鏡に映る自分の顔は、帝国に来たばかりの頃の怯えた少年ではなく、自信に満ちた青年の顔をしていた。
この場所に、ゼノンの隣に、僕はいてもいいんだ。
心から、そう思えるようになっていた。
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