5 / 16
第4話「芽生えた気持ちと招かれざる客」
しおりを挟む
あの日、温室で倒れかけた僕をアシュレイ公爵が抱きとめてくれた出来事から、僕の生活は少しだけ変わった。
相変わらず屋敷からの外出は禁止されたままだが、日中は温室で過ごすことが許されるようになったのだ。僕は弱った植物たちに浄化の力を与え、土を入れ替え水をやる。そうやって植物と触れ合っている時間は、僕にとって心安らぐひとときだった。
そして二日に一度、僕はアシュレイ公爵の『治療』をすることになった。
最初は彼の体に触れるたびに緊張で心臓が飛び出しそうだったが、回数を重ねるうちに少しずつ慣れてきた。僕の力のおかげか、彼の胸にあった黒い茨のような痣は少しずつ薄くなっていた。
「……最近、よく眠れるようになった」
治療を終えた後、彼がぽつりと呟いた。
「それは、よかったです」
「お前の力は確かに効果があるらしい。……リアム」
不意に名前を呼ばれて、僕は顔を上げた。彼はじっと僕の目を見て続ける。
「お前は一体何者なんだ。ただの村育ちのオメガが、これほどの浄化の力を持つとは考えがたい」
オメガ。
やっぱり彼は気づいていたんだ。僕が隠していた秘密に。
でも彼の口調に侮蔑の色はなかった。ただ純粋な疑問として僕に問いかけている。
「僕にも分かりません。両親の顔も知らないし、物心ついたときには村でおばあさんと二人で暮らしていましたから」
「……そうか」
彼はそれ以上何も聞かなかった。でもその紫水晶の瞳は、何かを探るように僕の奥を見つめている気がした。
アシュレイ公爵との間には奇妙な空気が流れるようになっていた。彼は相変わらず口数が少なくて無愛想だが、以前のような突き放すような冷たさは少し和らいだように感じる。
僕の方も、彼のことをただの『冷酷な公爵様』だとは思えなくなっていた。治療のたびに流れ込んでくる彼の記憶の断片。それは強大な力を持つがゆえの孤独と、誰にも理解されない苦しみの記憶だった。
この人はただ不器用なだけなのかもしれない。
そんな風に思い始めた頃だった。
その日、ヴァインベルク公爵家に招かれざる客が訪れた。
温室でハーブの世話をしていた僕の元へ、執事のギルバートさんが血相を変えてやってきた。
「リアム様! 今すぐこの温室の奥へお隠れください!」
「え、ギルバートさん? どうしたんですか、そんなに慌てて」
「クロヴィス第二王子殿下がお見えになったのです。アシュレイ様が応対されておりますが、万が一ということがあります」
クロヴィス王子。
その名前は僕でも聞いたことがあった。アシュレイ公爵の政敵として知られる野心家の王子様だ。
「どうして僕が隠れないといけないんですか?」
「殿下はアシュレイ様の弱点を探しておられます。リアム様の存在を知られれば何をされるか分かりません。さあ、早く!」
ギルバートさんのただならぬ様子に、僕は言われるがまま温室の奥にある物置部屋へと身を隠した。木の壁の隙間から、辛うじて温室の入り口が見える。
しばらくして温室の扉が開き、二人の男性が入ってきた。
一人はアシュレイ公爵。
そしてもう一人は金色の髪を輝かせ、柔和な笑みを浮かべた青年。彼がクロヴィス王子なのだろう。
「これはこれは、珍しいな。氷の公爵閣下がこのような場所で花を愛でていたとは」
クロヴィス王子は芝居がかった口調で言った。その笑顔は完璧に優しそうに見えるのに、なぜか蛇のような冷たさを感じさせる。
「殿下こそ何のご用でしょう。このような辺鄙な場所にわざわざお越しになるとは」
アシュレイ公爵も表情を変えずに応じる。二人の間には目に見えない火花が散っているようだった。
「いやなに、君が最近体の調子が良いと聞いてね。長年君を苦しめていた呪いがどうやら和らいでいるとか。何か良い治療法でも見つかったのかと気になってね」
王子の言葉にアシュレイ公爵の眉がぴくりと動いた。
まずい。この話の流れは僕のことにつながってしまうかもしれない。
僕は息を殺し、壁の隙間から二人を注視した。
「……気のせいでしょう。私の体調など以前と何も変わりません」
「おや、つれないな。まあいい。実は今日は君に紹介したい人物がいるんだ。エレオノーラ、入ってきなさい」
クロヴィス王子が手招きすると、入り口から豪華なドレスを身にまとった美しい女性が現れた。燃えるような赤い髪に気の強そうな翠の瞳。彼女もまた高位の貴族なのだろう。
「アシュレイ様、ごきげんよう。お会いしたく思っておりました」
エレオノーラと名乗った女性は、アシュレイ公爵にうっとりとした視線を送りながら淑女の礼をとった。
「彼女は私の婚約者候補の一人、エレオノーラ嬢だ。彼女も強力な魔力を持つアルファでね。君の良き伴侶になると思うのだが、どうだろうか」
クロヴィス王子はあからさまな縁談を持ちかけてきた。政略結婚によってアシュレイ公爵を自分の陣営に取り込もうという魂胆なのだろう。
アシュレイ公爵はエレオノーラ嬢を一瞥するだけで、興味なさそうに言った。
「お心遣いはありがたいですが間に合っています。俺は番も伴侶も必要ありませんので」
そのきっぱりとした拒絶に、エレオノーラ嬢の頬が悔しそうに引きつった。
しかし彼女はすぐに気を取り直すと、ふと温室の中を見回し、ある一点で視線を止めた。
「あら、まあ。こんなところに、こんなものが」
彼女が指さしたのは僕が今朝水をやったばかりの小さな鉢植えだった。それは村から持ってきた薬草の種を試しに植えてみたものだ。僕の浄化の力を受けて青々とした葉を茂らせていた。
「珍しい草ですわね。ですけれど……なんだか妙な香りがいたしませんこと?」
エレオノーラ嬢は扇で鼻を覆いながら嫌悪感を露わにした。
妙な匂い。それはきっと僕がオメガのフェロモンを隠すために使っている香油の匂いと、僕自身のオメガとしての残り香が混じり合ったものだ。アルファである彼女にはそれが不快に感じられたのだろう。
その言葉を聞いた瞬間、アシュレイ公爵の纏う空気が絶対零度の冷たさに変わった。
「……それに、触るな」
地を這うような低い声。それは僕が今まで聞いた彼のどの声よりも、明確な怒りを含んでいた。
エレオノーラ嬢もクロヴィス王子も、その凄まじい威圧感に一瞬たじろぐ。
「アシュレイ……?」
「その鉢植えは俺の物だ。誰にも触れさせるつもりはない」
彼は僕が育てた小さな鉢植えを、まるで宝物でも守るかのように自分の背後にかばった。
その姿を見た瞬間、僕の胸がきゅうっと締め付けられた。
彼は僕のことを守ってくれようとしている。僕がここにいることを悟られないように。
どうして? 僕はただの『道具』じゃなかったの?
「……ふむ。なるほど、なるほど。どうやら君にはよほど大切な『秘密』があるようだね」
クロヴィス王子は面白そうに目を細めた。
「今日のところは引き下がろう。だが覚えておくといい。君が隠しているものは、いずれ必ず私の知るところとなる」
不気味な言葉を残して、クロヴィス王子とエレオノーラ嬢は温室から去っていった。
嵐が去った後の静けさの中、アシュレイ公爵はしばらくその場に立ち尽くしていた。やがて彼は僕が隠れている物置部屋の方へ向き直り、静かに言った。
「……もう、出てきてもいいぞ」
僕は恐る恐る物置から出た。
アシュレイ公爵は僕の顔を見るなり、大きなため息をついた。
「お前の存在はまだ誰にも知られるわけにはいかない。特にクロヴィス王子には」
「……すみません。僕のせいで」
「お前が謝ることではない。……だが気をつけろ。奴らは必ずまた何か仕掛けてくる」
彼はそう言うと僕の鉢植えを手に取り、優しく葉を撫でた。
「この草、いい香りがする」
さっきエレオノーラ嬢が『妙な匂い』と侮辱した僕の香りを。彼はそう言ってくれた。
その一言が、どうしようもなく僕の心を温かくした。
氷のようだと思っていたこの人は、本当はとても優しいのかもしれない。
芽生え始めたこの気持ちに名前をつけられないまま、僕はただ彼の美しい横顔を見つめていた。
相変わらず屋敷からの外出は禁止されたままだが、日中は温室で過ごすことが許されるようになったのだ。僕は弱った植物たちに浄化の力を与え、土を入れ替え水をやる。そうやって植物と触れ合っている時間は、僕にとって心安らぐひとときだった。
そして二日に一度、僕はアシュレイ公爵の『治療』をすることになった。
最初は彼の体に触れるたびに緊張で心臓が飛び出しそうだったが、回数を重ねるうちに少しずつ慣れてきた。僕の力のおかげか、彼の胸にあった黒い茨のような痣は少しずつ薄くなっていた。
「……最近、よく眠れるようになった」
治療を終えた後、彼がぽつりと呟いた。
「それは、よかったです」
「お前の力は確かに効果があるらしい。……リアム」
不意に名前を呼ばれて、僕は顔を上げた。彼はじっと僕の目を見て続ける。
「お前は一体何者なんだ。ただの村育ちのオメガが、これほどの浄化の力を持つとは考えがたい」
オメガ。
やっぱり彼は気づいていたんだ。僕が隠していた秘密に。
でも彼の口調に侮蔑の色はなかった。ただ純粋な疑問として僕に問いかけている。
「僕にも分かりません。両親の顔も知らないし、物心ついたときには村でおばあさんと二人で暮らしていましたから」
「……そうか」
彼はそれ以上何も聞かなかった。でもその紫水晶の瞳は、何かを探るように僕の奥を見つめている気がした。
アシュレイ公爵との間には奇妙な空気が流れるようになっていた。彼は相変わらず口数が少なくて無愛想だが、以前のような突き放すような冷たさは少し和らいだように感じる。
僕の方も、彼のことをただの『冷酷な公爵様』だとは思えなくなっていた。治療のたびに流れ込んでくる彼の記憶の断片。それは強大な力を持つがゆえの孤独と、誰にも理解されない苦しみの記憶だった。
この人はただ不器用なだけなのかもしれない。
そんな風に思い始めた頃だった。
その日、ヴァインベルク公爵家に招かれざる客が訪れた。
温室でハーブの世話をしていた僕の元へ、執事のギルバートさんが血相を変えてやってきた。
「リアム様! 今すぐこの温室の奥へお隠れください!」
「え、ギルバートさん? どうしたんですか、そんなに慌てて」
「クロヴィス第二王子殿下がお見えになったのです。アシュレイ様が応対されておりますが、万が一ということがあります」
クロヴィス王子。
その名前は僕でも聞いたことがあった。アシュレイ公爵の政敵として知られる野心家の王子様だ。
「どうして僕が隠れないといけないんですか?」
「殿下はアシュレイ様の弱点を探しておられます。リアム様の存在を知られれば何をされるか分かりません。さあ、早く!」
ギルバートさんのただならぬ様子に、僕は言われるがまま温室の奥にある物置部屋へと身を隠した。木の壁の隙間から、辛うじて温室の入り口が見える。
しばらくして温室の扉が開き、二人の男性が入ってきた。
一人はアシュレイ公爵。
そしてもう一人は金色の髪を輝かせ、柔和な笑みを浮かべた青年。彼がクロヴィス王子なのだろう。
「これはこれは、珍しいな。氷の公爵閣下がこのような場所で花を愛でていたとは」
クロヴィス王子は芝居がかった口調で言った。その笑顔は完璧に優しそうに見えるのに、なぜか蛇のような冷たさを感じさせる。
「殿下こそ何のご用でしょう。このような辺鄙な場所にわざわざお越しになるとは」
アシュレイ公爵も表情を変えずに応じる。二人の間には目に見えない火花が散っているようだった。
「いやなに、君が最近体の調子が良いと聞いてね。長年君を苦しめていた呪いがどうやら和らいでいるとか。何か良い治療法でも見つかったのかと気になってね」
王子の言葉にアシュレイ公爵の眉がぴくりと動いた。
まずい。この話の流れは僕のことにつながってしまうかもしれない。
僕は息を殺し、壁の隙間から二人を注視した。
「……気のせいでしょう。私の体調など以前と何も変わりません」
「おや、つれないな。まあいい。実は今日は君に紹介したい人物がいるんだ。エレオノーラ、入ってきなさい」
クロヴィス王子が手招きすると、入り口から豪華なドレスを身にまとった美しい女性が現れた。燃えるような赤い髪に気の強そうな翠の瞳。彼女もまた高位の貴族なのだろう。
「アシュレイ様、ごきげんよう。お会いしたく思っておりました」
エレオノーラと名乗った女性は、アシュレイ公爵にうっとりとした視線を送りながら淑女の礼をとった。
「彼女は私の婚約者候補の一人、エレオノーラ嬢だ。彼女も強力な魔力を持つアルファでね。君の良き伴侶になると思うのだが、どうだろうか」
クロヴィス王子はあからさまな縁談を持ちかけてきた。政略結婚によってアシュレイ公爵を自分の陣営に取り込もうという魂胆なのだろう。
アシュレイ公爵はエレオノーラ嬢を一瞥するだけで、興味なさそうに言った。
「お心遣いはありがたいですが間に合っています。俺は番も伴侶も必要ありませんので」
そのきっぱりとした拒絶に、エレオノーラ嬢の頬が悔しそうに引きつった。
しかし彼女はすぐに気を取り直すと、ふと温室の中を見回し、ある一点で視線を止めた。
「あら、まあ。こんなところに、こんなものが」
彼女が指さしたのは僕が今朝水をやったばかりの小さな鉢植えだった。それは村から持ってきた薬草の種を試しに植えてみたものだ。僕の浄化の力を受けて青々とした葉を茂らせていた。
「珍しい草ですわね。ですけれど……なんだか妙な香りがいたしませんこと?」
エレオノーラ嬢は扇で鼻を覆いながら嫌悪感を露わにした。
妙な匂い。それはきっと僕がオメガのフェロモンを隠すために使っている香油の匂いと、僕自身のオメガとしての残り香が混じり合ったものだ。アルファである彼女にはそれが不快に感じられたのだろう。
その言葉を聞いた瞬間、アシュレイ公爵の纏う空気が絶対零度の冷たさに変わった。
「……それに、触るな」
地を這うような低い声。それは僕が今まで聞いた彼のどの声よりも、明確な怒りを含んでいた。
エレオノーラ嬢もクロヴィス王子も、その凄まじい威圧感に一瞬たじろぐ。
「アシュレイ……?」
「その鉢植えは俺の物だ。誰にも触れさせるつもりはない」
彼は僕が育てた小さな鉢植えを、まるで宝物でも守るかのように自分の背後にかばった。
その姿を見た瞬間、僕の胸がきゅうっと締め付けられた。
彼は僕のことを守ってくれようとしている。僕がここにいることを悟られないように。
どうして? 僕はただの『道具』じゃなかったの?
「……ふむ。なるほど、なるほど。どうやら君にはよほど大切な『秘密』があるようだね」
クロヴィス王子は面白そうに目を細めた。
「今日のところは引き下がろう。だが覚えておくといい。君が隠しているものは、いずれ必ず私の知るところとなる」
不気味な言葉を残して、クロヴィス王子とエレオノーラ嬢は温室から去っていった。
嵐が去った後の静けさの中、アシュレイ公爵はしばらくその場に立ち尽くしていた。やがて彼は僕が隠れている物置部屋の方へ向き直り、静かに言った。
「……もう、出てきてもいいぞ」
僕は恐る恐る物置から出た。
アシュレイ公爵は僕の顔を見るなり、大きなため息をついた。
「お前の存在はまだ誰にも知られるわけにはいかない。特にクロヴィス王子には」
「……すみません。僕のせいで」
「お前が謝ることではない。……だが気をつけろ。奴らは必ずまた何か仕掛けてくる」
彼はそう言うと僕の鉢植えを手に取り、優しく葉を撫でた。
「この草、いい香りがする」
さっきエレオノーラ嬢が『妙な匂い』と侮辱した僕の香りを。彼はそう言ってくれた。
その一言が、どうしようもなく僕の心を温かくした。
氷のようだと思っていたこの人は、本当はとても優しいのかもしれない。
芽生え始めたこの気持ちに名前をつけられないまま、僕はただ彼の美しい横顔を見つめていた。
192
あなたにおすすめの小説
冷酷なアルファ(氷の将軍)に嫁いだオメガ、実はめちゃくちゃ愛されていた。
水凪しおん
BL
これは、愛を知らなかった二人が、本当の愛を見つけるまでの物語。
国のための「生贄」として、敵国の将軍に嫁いだオメガの王子、ユアン。
彼を待っていたのは、「氷の将軍」と恐れられるアルファ、クロヴィスとの心ない日々だった。
世継ぎを産むための「道具」として扱われ、絶望に暮れるユアン。
しかし、冷たい仮面の下に隠された、不器用な優しさと孤独な瞳。
孤独な夜にかけられた一枚の外套が、凍てついた心を少しずつ溶かし始める。
これは、政略結婚という偽りから始まった、運命の恋。
帝国に渦巻く陰謀に立ち向かう中で、二人は互いを守り、支え合う「共犯者」となる。
偽りの夫婦が、唯一無二の「番」になるまでの軌跡を、どうぞ見届けてください。
悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!
水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。
それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。
家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。
そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。
ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。
誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。
「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。
これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。
捨てられΩの癒やしの薬草、呪いで苦しむ最強騎士団長を救ったら、いつの間にか胃袋も心も掴んで番にされていました
水凪しおん
BL
孤独と絶望を癒やす、運命の愛の物語。
人里離れた森の奥、青年アレンは不思議な「浄化の力」を持ち、薬草を育てながらひっそりと暮らしていた。その力を気味悪がられ、人を避けるように生きてきた彼の前に、ある嵐の夜、血まみれの男が現れる。
男の名はカイゼル。「黒き猛虎」と敵国から恐れられる、無敗の騎士団長。しかし彼は、戦場で受けた呪いにより、αの本能を制御できず、狂おしい発作に身を焼かれていた。
記憶を失ったふりをしてアレンの元に留まるカイゼル。アレンの作る薬草茶が、野菜スープが、そして彼自身の存在が、カイゼルの荒れ狂う魂を鎮めていく唯一の癒やしだと気づいた時、その想いは激しい執着と独占欲へ変わる。
「お前がいなければ、俺は正気を保てない」
やがて明かされる真実、迫りくる呪いの脅威。臆病だった青年は、愛する人を救うため、その身に宿る力のすべてを捧げることを決意する。
呪いが解けた時、二人は真の番となる。孤独だった魂が寄り添い、狂おしいほどの愛を注ぎ合う、ファンタジック・ラブストーリー。
妹に奪われた婚約者は、外れの王子でした。婚約破棄された僕は真実の愛を見つけます
こたま
BL
侯爵家に産まれたオメガのミシェルは、王子と婚約していた。しかしオメガとわかった妹が、お兄様ずるいわと言って婚約者を奪ってしまう。家族にないがしろにされたことで悲嘆するミシェルであったが、辺境に匿われていたアルファの落胤王子と出会い真実の愛を育む。ハッピーエンドオメガバースです。
婚約破棄で追放された悪役令息の俺、実はオメガだと隠していたら辺境で出会った無骨な傭兵が隣国の皇太子で運命の番でした
水凪しおん
BL
「今この時をもって、貴様との婚約を破棄する!」
公爵令息レオンは、王子アルベルトとその寵愛する聖女リリアによって、身に覚えのない罪で断罪され、全てを奪われた。
婚約、地位、家族からの愛――そして、痩せ衰えた最果ての辺境地へと追放される。
しかし、それは新たな人生の始まりだった。
前世の知識というチート能力を秘めたレオンは、絶望の地を希望の楽園へと変えていく。
そんな彼の前に現れたのは、ミステリアスな傭兵カイ。
共に困難を乗り越えるうち、二人の間には強い絆が芽生え始める。
だがレオンには、誰にも言えない秘密があった。
彼は、この世界で蔑まれる存在――「オメガ」なのだ。
一方、レオンを追放した王国は、彼の不在によって崩壊の一途を辿っていた。
これは、どん底から這い上がる悪役令息が、運命の番と出会い、真実の愛と幸福を手に入れるまでの物語。
痛快な逆転劇と、とろけるほど甘い溺愛が織りなす、異世界やり直しロマンス!
貧乏子爵のオメガ令息は、王子妃候補になりたくない
こたま
BL
山あいの田舎で、子爵とは名ばかりの殆ど農家な仲良し一家で育ったラリー。男オメガで貧乏子爵。このまま実家で生きていくつもりであったが。王から未婚の貴族オメガにはすべからく王子妃候補の選定のため王宮に集うようお達しが出た。行きたくないしお金も無い。辞退するよう手紙を書いたのに、近くに遠征している騎士団が帰る時、迎えに行って一緒に連れていくと連絡があった。断れないの?高貴なお嬢様にイジメられない?不安だらけのラリーを迎えに来たのは美丈夫な騎士のニールだった。
禁書庫の管理人は次期宰相様のお気に入り
結衣可
BL
オルフェリス王国の王立図書館で、禁書庫を預かる司書カミル・ローレンは、過去の傷を抱え、静かな孤独の中で生きていた。
そこへ次期宰相と目される若き貴族、セドリック・ヴァレンティスが訪れ、知識を求める名目で彼のもとに通い始める。
冷静で無表情なカミルに興味を惹かれたセドリックは、やがて彼の心の奥にある痛みに気づいていく。
愛されることへの恐れに縛られていたカミルは、彼の真っ直ぐな想いに少しずつ心を開き、初めて“痛みではない愛”を知る。
禁書庫という静寂の中で、カミルの孤独を、過去を癒し、共に歩む未来を誓う。
オメガだと隠して魔王討伐隊に入ったら、最強アルファ達に溺愛されています
水凪しおん
BL
前世は、どこにでもいる普通の大学生だった。車に轢かれ、次に目覚めた時、俺はミルクティー色の髪を持つ少年『サナ』として、剣と魔法の異世界にいた。
そこで知らされたのは、衝撃の事実。この世界には男女の他に『アルファ』『ベータ』『オメガ』という第二の性が存在し、俺はその中で最も希少で、男性でありながら子を宿すことができる『オメガ』だという。
アルファに守られ、番になるのが幸せ? そんな決められた道は歩きたくない。俺は、俺自身の力で生きていく。そう決意し、平凡な『ベータ』と身分を偽った俺の前に現れたのは、太陽のように眩しい聖騎士カイル。彼は俺のささやかな機転を「稀代の戦術眼」と絶賛し、半ば強引に魔王討伐隊へと引き入れた。
しかし、そこは最強のアルファたちの巣窟だった!
リーダーのカイルに加え、皮肉屋の天才魔法使いリアム、寡黙な獣人暗殺者ジン。三人の強烈なアルファフェロモンに日々当てられ、俺の身体は甘く疼き始める。
隠し通したい秘密と、抗いがたい本能。偽りのベータとして、俺はこの英雄たちの中で生き残れるのか?
これは運命に抗う一人のオメガが、本当の居場所と愛を見つけるまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる