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第6話「交差する思惑と守るべきもの」
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「失せろ」
アシュレイ公爵の放った一言は、周囲のざわめきを一瞬で凍りつかせるほどの冷気を帯びていた。
エレオノーラ嬢はさすがにその剣幕に怯んだようだったが、すぐに悔しそうに顔を歪めた。
「なっ……! アシュレイ様、この私に対して何という言い草ですの!」
「聞こえなかったのか? 俺の目の前から消えろと言ったんだ」
アシュレイ公爵は一歩も引かない。その背中はどんな攻撃も許さないとでも言うように、僕を完全に守っていた。
彼の背中を見つめながら、僕の胸はきゅっと痛んだ。嬉しいのに苦しい。僕のせいで彼を厄介事に巻き込んでしまった。
「……覚えていなさい!」
エレオノーラ嬢は捨て台詞を残してその場を去っていった。しかし彼女の翠の瞳には嫉妬と憎悪の炎が燃え盛っていた。きっとこのままでは終わらないだろう。
周囲の野次馬たちもアシュレイ公爵の威圧感に気圧されて、蜘蛛の子を散らすように去っていく。
広場には僕と公爵様の二人だけが残された。
「……申し訳ありません」
僕が俯いて謝ると、彼は大きなため息をついた。
「お前が謝ることではない。俺の不徳の致すところだ」
そう言うと彼は僕の手をぐいっと掴んだ。
「行くぞ。屋敷に戻る」
彼の大きな手に引かれるまま、僕は無言で彼の後をついていく。繋がれた手から伝わる彼の体温がなぜかとても熱く感じられた。
屋敷に戻るまでの間、僕たちは一言も口をきかなかった。
アシュレイ公爵の横顔は街で一緒にいた時とは比べ物にならないほど険しく、近寄りがたい雰囲気を放っている。
きっと僕を連れ出したことを後悔しているに違いない。
『所有物』である僕が彼の評判に傷をつけたのだから。
そう思うと胸がずきずきと痛んだ。
屋敷に帰り着くと、アシュレイ公爵は僕の手を離して一言だけ言い放った。
「……もう二度と、お前を外には連れて行かん」
その言葉は僕の心に冷たい刃のように突き刺さった。
やっぱり彼は怒っている。僕の存在が迷惑なんだ。
涙がこぼれそうになるのを必死でこらえ、僕は自分の部屋へと逃げるように駆け込んだ。
扉を閉めた途端、堰を切ったように涙が溢れ出す。
楽しかった。本当に夢のように楽しい時間だった。生まれて初めて誰かと街を歩いて、美味しいものを食べて笑い合った。
相手があの氷の公爵様だなんて、信じられないくらいに。
だから余計に辛い。
あの時間がもう二度と訪れないのだと思うと。
『僕は、公爵様にとってやっぱりただの道具なんだ』
浄化の力を持つ、都合のいいオメガ。それ以上でもそれ以下でもない。
分かっていたはずなのに、どこかで期待してしまっていた。もしかしたら彼は僕のことを少しでも特別に思ってくれているんじゃないか、と。
その夜、僕はベッドの中で一人声を殺して泣いた。
翌日からアシュレイ公爵は僕を避けるようになった。
温室には一度も顔を見せず、治療の時間もギルバートさんを通して「今日は不要だ」と伝えられるだけ。
屋敷の中で彼の姿を見かけても、目が合うとすぐに逸らされてしまう。
あからさまな拒絶だった。
僕の心は日に日に凍えていくようだった。温室の植物たちは僕の力で元気になっていくのに、僕自身の心はどんどん萎れていく。
そんなある日のことだった。
ギルバートさんが思いつめたような顔で僕の部屋を訪ねてきた。
「リアム様、少しよろしいでしょうか」
「ギルバートさん……」
「アシュレイ様のことですが……どうかお気を悪くなさらないでいただきたい」
ギルバートさんは深々と頭を下げた。
「あの方はリアム様を疎ましく思って避けておられるのではありません。むしろその逆なのです」
「……逆、ですか?」
意味が分からず僕は首をかしげる。
「アシュレイ様はリアム様を大切に思うがゆえに、どう接していいか分からなくなっておられるのです。あの方は今まで誰かに情をかけたことなど、一度もなかったのですから」
ギルバートさんの言葉は僕にとって信じられないものだった。
あの公爵様が、僕を、大切に?
「あの方はリアム様を危険な目に遭わせたことを、ご自身のこと以上に悔いておられます。エレオノーラ様やその裏にいるクロヴィス王子が次に何を仕掛けてくるか分からない。だからリアム様を遠ざけることで守ろうとしておられるのです」
不器用すぎる守り方だった。
でもそれが彼の精一杯の優しさなのだと知って、僕の凍っていた心がじんわりと溶け出していくのを感じた。
あの人は怒っていたんじゃなかったんだ。僕のことを心配してくれていたんだ。
「……ありがとうございます、ギルバートさん。教えてくれて」
「いいえ。……リアム様、どうかアシュレイ様のそばにいてさしあげてください。あの方の孤独を癒せるのは、あなた様だけなのですから」
ギルバートさんはそう言うと静かに部屋を出て行った。
僕はしばらくその場に立ち尽くしていた。
守られてばかりじゃだめだ。
僕もあの人の力になりたい。孤独なあの人を僕の力で守りたい。
そう強く思った。
その日の夜、僕は一つの決意を胸にアシュレイ公爵の書斎を訪れた。
夜遅くまで政務をしている彼の邪魔になることは分かっていたが、どうしても今伝えたいことがあった。
重厚な扉をコンコンとノックする。
「……誰だ」
中から不機嫌そうな声が聞こえた。
「リアムです。……少しだけ、お話がしたいです」
一瞬の沈黙の後、「入れ」と短い許可が下りた。
僕は意を決して扉を開けた。
書斎の中ではアシュレイ公爵が山積みの書類を前に、疲れた顔でペンを走らせていた。
「……何の用だ。もう寝る時間だろう」
彼は僕に視線を合わせようともしない。
「あの……僕を避けるのは、やめてください」
僕の言葉に彼のペンがぴたりと止まった。
「僕、あなたの力になりたいんです。道具としてでも何でもいい。あなたのそばにいたいです」
「……お前には、関係ないことだ」
「関係なくなんかないです! あなたが苦しんでいるのを知っているのに、何もしないでいるなんてできません!」
僕は一歩彼に近づいた。
「あなたが僕を守ろうとしてくれているように、僕もあなたを守りたいんです」
まっすぐに彼の目を見てそう告げた。
アシュレイ公爵は驚いたように僕を見つめていた。その紫水晶の瞳が激しく揺れている。
彼は何かを言おうとして口を開きかけ、でも結局何も言えずに唇を閉じた。
沈黙が部屋を支配する。
「……勝手にしろ」
長い沈黙の末、彼が絞り出したのはそんなぶっきらぼうな言葉だった。
でもその声は震えていて、彼の顔は悔しいのか嬉しいのか、複雑な感情で歪んでいた。
それは僕にとって何より嬉しい許可の言葉だった。
アシュレイ公爵の放った一言は、周囲のざわめきを一瞬で凍りつかせるほどの冷気を帯びていた。
エレオノーラ嬢はさすがにその剣幕に怯んだようだったが、すぐに悔しそうに顔を歪めた。
「なっ……! アシュレイ様、この私に対して何という言い草ですの!」
「聞こえなかったのか? 俺の目の前から消えろと言ったんだ」
アシュレイ公爵は一歩も引かない。その背中はどんな攻撃も許さないとでも言うように、僕を完全に守っていた。
彼の背中を見つめながら、僕の胸はきゅっと痛んだ。嬉しいのに苦しい。僕のせいで彼を厄介事に巻き込んでしまった。
「……覚えていなさい!」
エレオノーラ嬢は捨て台詞を残してその場を去っていった。しかし彼女の翠の瞳には嫉妬と憎悪の炎が燃え盛っていた。きっとこのままでは終わらないだろう。
周囲の野次馬たちもアシュレイ公爵の威圧感に気圧されて、蜘蛛の子を散らすように去っていく。
広場には僕と公爵様の二人だけが残された。
「……申し訳ありません」
僕が俯いて謝ると、彼は大きなため息をついた。
「お前が謝ることではない。俺の不徳の致すところだ」
そう言うと彼は僕の手をぐいっと掴んだ。
「行くぞ。屋敷に戻る」
彼の大きな手に引かれるまま、僕は無言で彼の後をついていく。繋がれた手から伝わる彼の体温がなぜかとても熱く感じられた。
屋敷に戻るまでの間、僕たちは一言も口をきかなかった。
アシュレイ公爵の横顔は街で一緒にいた時とは比べ物にならないほど険しく、近寄りがたい雰囲気を放っている。
きっと僕を連れ出したことを後悔しているに違いない。
『所有物』である僕が彼の評判に傷をつけたのだから。
そう思うと胸がずきずきと痛んだ。
屋敷に帰り着くと、アシュレイ公爵は僕の手を離して一言だけ言い放った。
「……もう二度と、お前を外には連れて行かん」
その言葉は僕の心に冷たい刃のように突き刺さった。
やっぱり彼は怒っている。僕の存在が迷惑なんだ。
涙がこぼれそうになるのを必死でこらえ、僕は自分の部屋へと逃げるように駆け込んだ。
扉を閉めた途端、堰を切ったように涙が溢れ出す。
楽しかった。本当に夢のように楽しい時間だった。生まれて初めて誰かと街を歩いて、美味しいものを食べて笑い合った。
相手があの氷の公爵様だなんて、信じられないくらいに。
だから余計に辛い。
あの時間がもう二度と訪れないのだと思うと。
『僕は、公爵様にとってやっぱりただの道具なんだ』
浄化の力を持つ、都合のいいオメガ。それ以上でもそれ以下でもない。
分かっていたはずなのに、どこかで期待してしまっていた。もしかしたら彼は僕のことを少しでも特別に思ってくれているんじゃないか、と。
その夜、僕はベッドの中で一人声を殺して泣いた。
翌日からアシュレイ公爵は僕を避けるようになった。
温室には一度も顔を見せず、治療の時間もギルバートさんを通して「今日は不要だ」と伝えられるだけ。
屋敷の中で彼の姿を見かけても、目が合うとすぐに逸らされてしまう。
あからさまな拒絶だった。
僕の心は日に日に凍えていくようだった。温室の植物たちは僕の力で元気になっていくのに、僕自身の心はどんどん萎れていく。
そんなある日のことだった。
ギルバートさんが思いつめたような顔で僕の部屋を訪ねてきた。
「リアム様、少しよろしいでしょうか」
「ギルバートさん……」
「アシュレイ様のことですが……どうかお気を悪くなさらないでいただきたい」
ギルバートさんは深々と頭を下げた。
「あの方はリアム様を疎ましく思って避けておられるのではありません。むしろその逆なのです」
「……逆、ですか?」
意味が分からず僕は首をかしげる。
「アシュレイ様はリアム様を大切に思うがゆえに、どう接していいか分からなくなっておられるのです。あの方は今まで誰かに情をかけたことなど、一度もなかったのですから」
ギルバートさんの言葉は僕にとって信じられないものだった。
あの公爵様が、僕を、大切に?
「あの方はリアム様を危険な目に遭わせたことを、ご自身のこと以上に悔いておられます。エレオノーラ様やその裏にいるクロヴィス王子が次に何を仕掛けてくるか分からない。だからリアム様を遠ざけることで守ろうとしておられるのです」
不器用すぎる守り方だった。
でもそれが彼の精一杯の優しさなのだと知って、僕の凍っていた心がじんわりと溶け出していくのを感じた。
あの人は怒っていたんじゃなかったんだ。僕のことを心配してくれていたんだ。
「……ありがとうございます、ギルバートさん。教えてくれて」
「いいえ。……リアム様、どうかアシュレイ様のそばにいてさしあげてください。あの方の孤独を癒せるのは、あなた様だけなのですから」
ギルバートさんはそう言うと静かに部屋を出て行った。
僕はしばらくその場に立ち尽くしていた。
守られてばかりじゃだめだ。
僕もあの人の力になりたい。孤独なあの人を僕の力で守りたい。
そう強く思った。
その日の夜、僕は一つの決意を胸にアシュレイ公爵の書斎を訪れた。
夜遅くまで政務をしている彼の邪魔になることは分かっていたが、どうしても今伝えたいことがあった。
重厚な扉をコンコンとノックする。
「……誰だ」
中から不機嫌そうな声が聞こえた。
「リアムです。……少しだけ、お話がしたいです」
一瞬の沈黙の後、「入れ」と短い許可が下りた。
僕は意を決して扉を開けた。
書斎の中ではアシュレイ公爵が山積みの書類を前に、疲れた顔でペンを走らせていた。
「……何の用だ。もう寝る時間だろう」
彼は僕に視線を合わせようともしない。
「あの……僕を避けるのは、やめてください」
僕の言葉に彼のペンがぴたりと止まった。
「僕、あなたの力になりたいんです。道具としてでも何でもいい。あなたのそばにいたいです」
「……お前には、関係ないことだ」
「関係なくなんかないです! あなたが苦しんでいるのを知っているのに、何もしないでいるなんてできません!」
僕は一歩彼に近づいた。
「あなたが僕を守ろうとしてくれているように、僕もあなたを守りたいんです」
まっすぐに彼の目を見てそう告げた。
アシュレイ公爵は驚いたように僕を見つめていた。その紫水晶の瞳が激しく揺れている。
彼は何かを言おうとして口を開きかけ、でも結局何も言えずに唇を閉じた。
沈黙が部屋を支配する。
「……勝手にしろ」
長い沈黙の末、彼が絞り出したのはそんなぶっきらぼうな言葉だった。
でもその声は震えていて、彼の顔は悔しいのか嬉しいのか、複雑な感情で歪んでいた。
それは僕にとって何より嬉しい許可の言葉だった。
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