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知らないけれど魔法が使えちゃいました
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私さっきまで中でご飯食べてたはずよね。
これ(怪物)って外にいたんじゃないの?
もしかして気付かないうちに場面が変わった?漫画だから?そんなことある?
そもそもなんで怪物が普通にここに現れるの?
っていうか、怪物からこの国を守ってるんじゃなかったんかい皇帝!
いきなり置かれた状況に混乱しそうになりながらも、何故か同時に落ちついている自分に驚いた。
目の前の怪物は興奮しているのか、頭から生やした気持ち悪い触覚をニョロニョロと動かしながらぎょろっと私の方に視線を向けた。
目が合っちゃったんですけど。
「シャアーーーっ!!」
いやいやいや
シャアーじゃなくてさ。
というか私初めて怪物見るのに何この落ち着きっぷり。逃げもしてないし、体の震えもない。あんなにデカくて気持ち悪い物体なのに。
「きゃぁーーっ」
「逃げろーっ」
周りでは貴族達が我先にと逃げ惑い、私の存在に気づいていないようだ。
えー、これどうすればいいの?
そう思った瞬間、ふっと頭の中に何がが浮かび上がった。分からないけれど、体が覚えているのか、何をすればいいのかハッキリと感じたのだ。
「こうすればいいのね?」
指で何やら分からないけれど文字を書く仕草をした後、私は手を怪物の方へと向け、静かに目を閉じた。
あ、ここだ。
シュバっ!!!
次の瞬間、手が熱くなったと同時に何かがズバッと裂ける音がしたかと思うと、ドスーーンと怪物が倒れ込むのがわかった。
あれ?
倒した、の?
あれだけ逃げ惑っていた貴族たちは、何が起きたのか分からずに倒れている怪物を呆然と見つめている。
なんかよく分からないけれど、ここはひとまず逃げたほうが良さそう。
私はそそくさとその場を後にした。
一人の青年に見られていたとは気付かずに。
***
警察や皇帝の騎士達が駆けつけて、パーティー会場は一時騒然となった。私は泣きながら我が子を探す伯爵夫人へと走って向かい、その腕を引いた。私に気づいた夫人は泣きながら私をぎゅっと抱きしめた。
「大丈夫だったか!?」
仕事での取引があった伯爵様と兄は、騒ぎを聞きつけてすぐに駆けつけてくれた。
私たちに何もないとわかると安堵した様子で、皇帝の騎士団が警備についてくださるそうだから安心しなさいと優しく私たちを抱きしめた。
「それにしても、一体誰があんな巨大な怪物を倒したんだろうな」
ぎくっ
「それも魔法の上級者しか使えないような魔法が使用されていたということだ。まぁ、誰にせよ助けてくださった御恩は忘れずに感謝しなければ」
たまたま、よね。
私魔法なんて知らないし。
習ったこともないんだから。
そもそも体が覚えてるってことはこの子が魔法が使えるってことなんじゃないの?
疑問に思った私は、再び友人の情報を頭をフル回転させて思い出していた。なんか、大切な情報を聞き漏らしているような気がする。けれど思い出せることは残念ながらなかった。
そこで、何か手掛かりがないかと彼女の書斎を見てみることにした。
ごめんね、確認のためだからちょっと見させてもらうね。いくら漫画の世界とはいえなんだか個人情報を見るようで気が引けつつも、書斎の引き出しを開けた。
何か手掛かりがあればいいんだけど。
そして、幼い字で魔法についてびっしりと書かれたノートをついに発見した。
魔法について書いてあるから中身は理解できないけれど、なんかすごいのは分かる。円盤のような模様や手の使い方、呼吸の仕方なんかも細かく書いてあるようだった。そのノートは使い込まれたようにボロボロになっていた。
この年でこれだけのことを理解するって凄いでしょ。普段から魔法について学んでいたのかな。
だとしても、周囲が驚くほどの魔法の技をあんなにも簡単に出せるものなの?
…マルスティアって、本当に脇役なの?
これ(怪物)って外にいたんじゃないの?
もしかして気付かないうちに場面が変わった?漫画だから?そんなことある?
そもそもなんで怪物が普通にここに現れるの?
っていうか、怪物からこの国を守ってるんじゃなかったんかい皇帝!
いきなり置かれた状況に混乱しそうになりながらも、何故か同時に落ちついている自分に驚いた。
目の前の怪物は興奮しているのか、頭から生やした気持ち悪い触覚をニョロニョロと動かしながらぎょろっと私の方に視線を向けた。
目が合っちゃったんですけど。
「シャアーーーっ!!」
いやいやいや
シャアーじゃなくてさ。
というか私初めて怪物見るのに何この落ち着きっぷり。逃げもしてないし、体の震えもない。あんなにデカくて気持ち悪い物体なのに。
「きゃぁーーっ」
「逃げろーっ」
周りでは貴族達が我先にと逃げ惑い、私の存在に気づいていないようだ。
えー、これどうすればいいの?
そう思った瞬間、ふっと頭の中に何がが浮かび上がった。分からないけれど、体が覚えているのか、何をすればいいのかハッキリと感じたのだ。
「こうすればいいのね?」
指で何やら分からないけれど文字を書く仕草をした後、私は手を怪物の方へと向け、静かに目を閉じた。
あ、ここだ。
シュバっ!!!
次の瞬間、手が熱くなったと同時に何かがズバッと裂ける音がしたかと思うと、ドスーーンと怪物が倒れ込むのがわかった。
あれ?
倒した、の?
あれだけ逃げ惑っていた貴族たちは、何が起きたのか分からずに倒れている怪物を呆然と見つめている。
なんかよく分からないけれど、ここはひとまず逃げたほうが良さそう。
私はそそくさとその場を後にした。
一人の青年に見られていたとは気付かずに。
***
警察や皇帝の騎士達が駆けつけて、パーティー会場は一時騒然となった。私は泣きながら我が子を探す伯爵夫人へと走って向かい、その腕を引いた。私に気づいた夫人は泣きながら私をぎゅっと抱きしめた。
「大丈夫だったか!?」
仕事での取引があった伯爵様と兄は、騒ぎを聞きつけてすぐに駆けつけてくれた。
私たちに何もないとわかると安堵した様子で、皇帝の騎士団が警備についてくださるそうだから安心しなさいと優しく私たちを抱きしめた。
「それにしても、一体誰があんな巨大な怪物を倒したんだろうな」
ぎくっ
「それも魔法の上級者しか使えないような魔法が使用されていたということだ。まぁ、誰にせよ助けてくださった御恩は忘れずに感謝しなければ」
たまたま、よね。
私魔法なんて知らないし。
習ったこともないんだから。
そもそも体が覚えてるってことはこの子が魔法が使えるってことなんじゃないの?
疑問に思った私は、再び友人の情報を頭をフル回転させて思い出していた。なんか、大切な情報を聞き漏らしているような気がする。けれど思い出せることは残念ながらなかった。
そこで、何か手掛かりがないかと彼女の書斎を見てみることにした。
ごめんね、確認のためだからちょっと見させてもらうね。いくら漫画の世界とはいえなんだか個人情報を見るようで気が引けつつも、書斎の引き出しを開けた。
何か手掛かりがあればいいんだけど。
そして、幼い字で魔法についてびっしりと書かれたノートをついに発見した。
魔法について書いてあるから中身は理解できないけれど、なんかすごいのは分かる。円盤のような模様や手の使い方、呼吸の仕方なんかも細かく書いてあるようだった。そのノートは使い込まれたようにボロボロになっていた。
この年でこれだけのことを理解するって凄いでしょ。普段から魔法について学んでいたのかな。
だとしても、周囲が驚くほどの魔法の技をあんなにも簡単に出せるものなの?
…マルスティアって、本当に脇役なの?
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