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出会い
23話
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軽く体を話しかけてきた子の方へ寄せて囁き声で答えた。
「なに?」
「あなた、臨時の子でしょ?今日の宴が何のために開かれるか知ってる?あ、私は奏子って言うの。ああ、私の親が和桜国の出身なの。」
「そうなの、素敵な名前ね。今日は各州の親睦会っていう風に聞いているけど……」
その子も先ほどの場所より蓮花の方に体を寄せて会話を続ける。天聖国ではあまり聞かない名前の響きなので、不思議に思ったのが表情に出ていたのか奏子が教えてくれた。和桜国はセラム王国とは逆隣に位置する隣国だ。
「ありがとう。それは表向きの理由なの!」
「表向き?」
「今回の宴に招待されたご令嬢たちは、第一王子の后候補らしいの」
「后?」
「その証拠に今回の宴は皇帝陛下と皇后様の両陛下と第一皇子が参加されるの。不平等にならないように各州から二名ずつなのはその為みたい」
わざわざ各州から呼ぶなんて、手間がかかっているとは思っていたがまさかそんな思惑が裏にあったなんて。どこから漏れたのか、給仕係の間では早々に噂が広がってたそうだ。奏子は渋い顔になって口を開いた。
「でも多分招待されたご令嬢もその事は承知で来ているはずよ。羽州のご令嬢のお父様である官吏の方が、仲間内に次の后は自分の娘だって吹聴していたのを何人かが聞いたって」
「じゃあ今日来る方たちは后の地位につきたくて来てる人ばっかりってこと?」
「全員って訳ではないと思うけど、大体はきっとそのはず。気位が高い女の子って苦手なのに、そこに野心まで加わったら手に負えないわ。早く宴なんか終わってしまえばいいのに」
うんざりといった様子で空を仰ぐ奏子を励ますように背中をぽん、と叩く。奏子の気持ちは小鈴の相手を長年してきた蓮花にとっては馴染み深いものだった。その時、ご令嬢の到着を告げる鈴の音が鳴り響いた。奏子はまだ話したりなそうだったが、元の持ち場に戻り待機する。
端の席の方から順番にご令嬢たちが席についていく様子を眺める。さすがというべきか、豪華な服に身を包み化粧もばっちりだ。生まれ持った気品が見て取れる。どんどん蓮花の方へ順番が近づいてくる。自然と姿勢を正し、出迎えの姿勢をとる。
しゃなり、しゃなり、とゆっくり人の気配が近づいてくるのを感じ、蓮花は下げていた頭を上げた。
ご令嬢――宋 綉礼を見た時、蓮花は絶世の美女というのはこういう人のことか、と納得した。それほど宋 綉礼という女性は美しかった。
「なに?」
「あなた、臨時の子でしょ?今日の宴が何のために開かれるか知ってる?あ、私は奏子って言うの。ああ、私の親が和桜国の出身なの。」
「そうなの、素敵な名前ね。今日は各州の親睦会っていう風に聞いているけど……」
その子も先ほどの場所より蓮花の方に体を寄せて会話を続ける。天聖国ではあまり聞かない名前の響きなので、不思議に思ったのが表情に出ていたのか奏子が教えてくれた。和桜国はセラム王国とは逆隣に位置する隣国だ。
「ありがとう。それは表向きの理由なの!」
「表向き?」
「今回の宴に招待されたご令嬢たちは、第一王子の后候補らしいの」
「后?」
「その証拠に今回の宴は皇帝陛下と皇后様の両陛下と第一皇子が参加されるの。不平等にならないように各州から二名ずつなのはその為みたい」
わざわざ各州から呼ぶなんて、手間がかかっているとは思っていたがまさかそんな思惑が裏にあったなんて。どこから漏れたのか、給仕係の間では早々に噂が広がってたそうだ。奏子は渋い顔になって口を開いた。
「でも多分招待されたご令嬢もその事は承知で来ているはずよ。羽州のご令嬢のお父様である官吏の方が、仲間内に次の后は自分の娘だって吹聴していたのを何人かが聞いたって」
「じゃあ今日来る方たちは后の地位につきたくて来てる人ばっかりってこと?」
「全員って訳ではないと思うけど、大体はきっとそのはず。気位が高い女の子って苦手なのに、そこに野心まで加わったら手に負えないわ。早く宴なんか終わってしまえばいいのに」
うんざりといった様子で空を仰ぐ奏子を励ますように背中をぽん、と叩く。奏子の気持ちは小鈴の相手を長年してきた蓮花にとっては馴染み深いものだった。その時、ご令嬢の到着を告げる鈴の音が鳴り響いた。奏子はまだ話したりなそうだったが、元の持ち場に戻り待機する。
端の席の方から順番にご令嬢たちが席についていく様子を眺める。さすがというべきか、豪華な服に身を包み化粧もばっちりだ。生まれ持った気品が見て取れる。どんどん蓮花の方へ順番が近づいてくる。自然と姿勢を正し、出迎えの姿勢をとる。
しゃなり、しゃなり、とゆっくり人の気配が近づいてくるのを感じ、蓮花は下げていた頭を上げた。
ご令嬢――宋 綉礼を見た時、蓮花は絶世の美女というのはこういう人のことか、と納得した。それほど宋 綉礼という女性は美しかった。
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