芙蓉は後宮で花開く

速見 沙弥

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出会い

50話

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 休憩を取ろうと外にやってきた蓮花だったが、昼になりじりじりと焼けるような日の暑さが強くなっている。
 どこかいい所はは無いかと探していると隅にある大きな木にちょうどいい影が広がっていた。

 誰かに取られる前に、といそいそとむかって影になっている裏側へと回る。

「あれ! 飛様?」
「ん……? しまった、ついうたた寝していたみたいだ」
「すいません、起こしてしまいましたね」

 ふあ、と大きな欠伸をして体を伸ばす飛の姿がそこにはあった。まさか飛がいるとは思っていなかった蓮花は、大きな声を出して起こしてしまったかと申し訳なくなった。

「いや、蓮花を待っていたから起こしてくれて良かった」
「そうなんですか?」
「この前急に帰してしまったからそのお詫びだ。昼飯はこれからか? いい匂いがする」
 
 くんくんと匂いを嗅ぐ素振りを見せたと思ったら飛から大きな腹の虫が鳴るのが聞こえた。
 飛は自分のお腹を見た後に恥ずかしそうに蓮花を見る。

「……聞いたな?」
「……聞こえちゃいました」

 少し拗ねたような顔を見せる飛が可愛くて、蓮花はくすくすと笑ってしまう。

「そんなに笑うな」
「すいません、飛様があまりに気まずそうだから……。ほら、一緒に食べましょう?」

 一通り笑った蓮花は自分の持ってきた容器を差し出す。
 木の裏には誰かが設置であろう木製の横長の椅子が置かれていた。
 二人並んで腰を下ろし、容器の蓋をとる。いつもの如く分けてもらったおかずが何種類か詰め込まれている。
 そこで蓮花はあることに気付きはた、と動きを止めた。飛はそんな蓮花にどうしたのかと問う。

「前は予備のお箸があったんですけど今日は一膳しかなくて……。私はいいんで飛様食べてください!」

 お箸をずいっと飛に押し付けると飛は少しの間を置いてにやりと笑う。

「私は少しつまんで来たから、蓮花が食べてくれ。後で少し分けてもらうだけでいい」 
「だからその箸が――」
「最後に残ったのを食べさせてくれればいい」
「た、食べさせっ?!」 

組んだ足に肘を付き蓮花の方を見る飛。さっき笑われたお返しだと言わんばかりに意地悪そうな笑いが張り付いていた。
 異性に物を食べさせるなんて弟達にしかした事がない蓮花は突然の提案に目を白黒させた。

「ほら、早く食べないと時間がなくなるぞ?」

 急かす飛にどうしようかと考えた蓮花は、後でお箸を渡して食べてもらおうと言う結論に至る。解決策が思いついた蓮花はご飯を食べ始める。
 さっきまで焦っていた蓮花の様子が変わったことに気づいた飛だが何も言わずその様子を観察していた。

 
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