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ハヤトの新しい仕事
第15話 ホテルへ向かう道中
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予定通りの時間に現地の空港に到着した。
「……」
飛行機から降りて、到着ロビーに向かう途中に、ハヤトの背筋に違和感が走った。かつて異世界で幾度となく命を救った『危険を察知する感覚』が、今ここで鋭く反応していた。
それを察知した次の瞬間、ハヤトはごく自然な動きで周囲を見回した。一見何の変哲もない空港の光景。だが、ハヤトには複数の敵意が感じ取れた。その敵意の矛先は、明らかに仲間の剛に向けられていた。
ハヤトは人混みの中に紛れる数人の男たちを察知した。彼らはさりげなく距離を置きながらも、常に剛の動向を追っている。互いに視線で合図を送り合っている。彼らの冷徹な眼差しと、ポケットに忍ばせている何かが、ハヤトの危険察知能力を刺激していた。
敵の位置を感覚的に把握し、剛に視線を送った。視線を受け取った剛は、わずかに目を細め、小さく頷いて応えた。その様子を見て、城介も警戒を強める。仲間たちと危険の共有ができたことに、ハヤトは少し安心した。そのまま、警戒を続ける。
剛は同行しているボディーガードのリーダーに近づき、小声で話しかけた。
「どうやら、怪しい人物がいるようだが?」
護衛対象である剛から、いきなりそんな発言が飛び出て来てリーダーは内心で驚いた。しかし、プロフェッショナルとして表情を変えずに、前方を見つめながら小さな声で返答した。
「怪しい人物、ですか?」
リーダーから見れば、周囲に怪しい人物など見当たらなかった。予兆も感じられない。彼は念の為に警戒しながら周囲を確認したが、やはりそれらしい存在は見つけられなかった。
剛が何を見て、怪しいと感じたのか。それを理解しようとしたけれど、その原因を特定できない。
「勘違い、ではありませんか?」
そう言われて、剛は苦笑いを浮かべた。
「そうか。俺の気のせいかな」
彼は肩をすくめた。
「だけど、警戒だけしておいてくれ」
「わかりました。警戒を強めます」
護衛対象からのお願いを聞いて、念のため警戒を強めることを約束するリーダー。彼は、剛が今は危険に対して過敏になっているのだと理解したようだった。不安を払拭することもまた、ボディーガードの仕事だと考えているのだろう。
リーダーは無線で部下たちに連絡を取り、警戒レベルを上げるよう指示を出した。
一行は空港から出ると、用意されていた大型のワゴン車に乗り込む予定だった。車両は黒塗りの高級感あるもので、大人数でも十分に乗れるサイズだ。まずは、これに乗って拠点にする予定のホテルへ向かう。
ボディーガードの一人が車両を軽くチェックして回った。同時に、城介も自然な動きを装いながら念入りに車を調べていた。彼の目は鋭く、異常を察知する様子で車体の下や周囲を確認していた。
城介が何も問題ないと頷いたのを見て、剛はようやく車に乗り込んだ。
車内での座席配置は、運転席と助手席にはドライバーとリーダー格のボディーガード。後部座席の最前列中央に剛、その両脇にボディーガードが配置され、その後ろの列にハヤトと城介が陣取った。最後列には残りのボディーガード二名が座った。
ワゴン車はゆっくりと動き出した。
空港を出て幹線道路に入ると、交通量が増えてきた。ハヤトは窓の外を眺めるふりをしながら、実は車の動きを注視していた。彼は、ワゴン車が出発した瞬間から背後につけてくる車の存在に気がついていた。
いったいどこで仕掛けてくるつもりなのか。
ハヤトは警戒を緩めることなく、自然体で周囲を見張り続けた。
一行は、拠点となるホテルへ向かう道中にいた。車内では静かな緊張感が漂う中、剛はタブレットで資料を確認し、城介はスマートフォンでメールをチェックするふりをしていた。
その時だった。
「来るぞ!」
ハヤトの声が車内に響いた。まっさきに危険を察知した彼が、周囲の人達に知らせるように呟いた。その言葉を聞いた剛と城介は、すぐさま衝撃に備えて身構えた。
視界の端に、急速に接近する車の姿が捉えられた。先ほどから彼らを追跡していたセダンが、突然スピードを上げて横から迫ってきたのだ。ボディーガードたちが窓の外を確認する間もなく、車は猛スピードで接近していた。
ボディーガードたちは疑問の表情を浮かべた瞬間、悲鳴が上がった。
「な、なに!?」
「うわっ!?」
「ぶつかってきた!?」
「危ないっ!」
突如、車両の横から車が猛スピードで接近し、追突してきた。金属がぶつかり合う鈍い音と共に、ワゴン車は大きく横に押されて揺れた。
激しい衝撃が車内を襲った。シートベルトの効果で大きな怪我はなかったものの、車体は大きく揺さぶられた。窓ガラスが振動で軋む音が聞こえ、車内の荷物が散乱する。ワゴン車の運転手は必死にハンドルを握りしめ、車のコントロールを失わないよう努めていた。
ボディーガードたちが狼狽の声を上げ、慌てて状況の確認を始める中、ハヤトと剛、城介の三人は冷静さを保ち、慣れた様子で次なる攻撃に備えた。
「……」
飛行機から降りて、到着ロビーに向かう途中に、ハヤトの背筋に違和感が走った。かつて異世界で幾度となく命を救った『危険を察知する感覚』が、今ここで鋭く反応していた。
それを察知した次の瞬間、ハヤトはごく自然な動きで周囲を見回した。一見何の変哲もない空港の光景。だが、ハヤトには複数の敵意が感じ取れた。その敵意の矛先は、明らかに仲間の剛に向けられていた。
ハヤトは人混みの中に紛れる数人の男たちを察知した。彼らはさりげなく距離を置きながらも、常に剛の動向を追っている。互いに視線で合図を送り合っている。彼らの冷徹な眼差しと、ポケットに忍ばせている何かが、ハヤトの危険察知能力を刺激していた。
敵の位置を感覚的に把握し、剛に視線を送った。視線を受け取った剛は、わずかに目を細め、小さく頷いて応えた。その様子を見て、城介も警戒を強める。仲間たちと危険の共有ができたことに、ハヤトは少し安心した。そのまま、警戒を続ける。
剛は同行しているボディーガードのリーダーに近づき、小声で話しかけた。
「どうやら、怪しい人物がいるようだが?」
護衛対象である剛から、いきなりそんな発言が飛び出て来てリーダーは内心で驚いた。しかし、プロフェッショナルとして表情を変えずに、前方を見つめながら小さな声で返答した。
「怪しい人物、ですか?」
リーダーから見れば、周囲に怪しい人物など見当たらなかった。予兆も感じられない。彼は念の為に警戒しながら周囲を確認したが、やはりそれらしい存在は見つけられなかった。
剛が何を見て、怪しいと感じたのか。それを理解しようとしたけれど、その原因を特定できない。
「勘違い、ではありませんか?」
そう言われて、剛は苦笑いを浮かべた。
「そうか。俺の気のせいかな」
彼は肩をすくめた。
「だけど、警戒だけしておいてくれ」
「わかりました。警戒を強めます」
護衛対象からのお願いを聞いて、念のため警戒を強めることを約束するリーダー。彼は、剛が今は危険に対して過敏になっているのだと理解したようだった。不安を払拭することもまた、ボディーガードの仕事だと考えているのだろう。
リーダーは無線で部下たちに連絡を取り、警戒レベルを上げるよう指示を出した。
一行は空港から出ると、用意されていた大型のワゴン車に乗り込む予定だった。車両は黒塗りの高級感あるもので、大人数でも十分に乗れるサイズだ。まずは、これに乗って拠点にする予定のホテルへ向かう。
ボディーガードの一人が車両を軽くチェックして回った。同時に、城介も自然な動きを装いながら念入りに車を調べていた。彼の目は鋭く、異常を察知する様子で車体の下や周囲を確認していた。
城介が何も問題ないと頷いたのを見て、剛はようやく車に乗り込んだ。
車内での座席配置は、運転席と助手席にはドライバーとリーダー格のボディーガード。後部座席の最前列中央に剛、その両脇にボディーガードが配置され、その後ろの列にハヤトと城介が陣取った。最後列には残りのボディーガード二名が座った。
ワゴン車はゆっくりと動き出した。
空港を出て幹線道路に入ると、交通量が増えてきた。ハヤトは窓の外を眺めるふりをしながら、実は車の動きを注視していた。彼は、ワゴン車が出発した瞬間から背後につけてくる車の存在に気がついていた。
いったいどこで仕掛けてくるつもりなのか。
ハヤトは警戒を緩めることなく、自然体で周囲を見張り続けた。
一行は、拠点となるホテルへ向かう道中にいた。車内では静かな緊張感が漂う中、剛はタブレットで資料を確認し、城介はスマートフォンでメールをチェックするふりをしていた。
その時だった。
「来るぞ!」
ハヤトの声が車内に響いた。まっさきに危険を察知した彼が、周囲の人達に知らせるように呟いた。その言葉を聞いた剛と城介は、すぐさま衝撃に備えて身構えた。
視界の端に、急速に接近する車の姿が捉えられた。先ほどから彼らを追跡していたセダンが、突然スピードを上げて横から迫ってきたのだ。ボディーガードたちが窓の外を確認する間もなく、車は猛スピードで接近していた。
ボディーガードたちは疑問の表情を浮かべた瞬間、悲鳴が上がった。
「な、なに!?」
「うわっ!?」
「ぶつかってきた!?」
「危ないっ!」
突如、車両の横から車が猛スピードで接近し、追突してきた。金属がぶつかり合う鈍い音と共に、ワゴン車は大きく横に押されて揺れた。
激しい衝撃が車内を襲った。シートベルトの効果で大きな怪我はなかったものの、車体は大きく揺さぶられた。窓ガラスが振動で軋む音が聞こえ、車内の荷物が散乱する。ワゴン車の運転手は必死にハンドルを握りしめ、車のコントロールを失わないよう努めていた。
ボディーガードたちが狼狽の声を上げ、慌てて状況の確認を始める中、ハヤトと剛、城介の三人は冷静さを保ち、慣れた様子で次なる攻撃に備えた。
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