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ハヤトの新しい仕事
第16話 襲撃
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「止めるな! 走り続けろっ!」
城介の大声が車内に響き渡った。彼の声には異世界から引き継いだ記憶と、冷静な判断力による威厳が宿っていた。
ブレーキを踏みそうになっていた運転手は、我に返ったようにアクセルを踏み込んだ。タイヤが悲鳴を上げ、ワゴン車は加速して前へと進んでいく。それを見て当たってきた車も慌てて追走を始めた。
「皆さん、シートベルトをしっかり締めてっ!」
ボディーガードの一人が叫ぶ。全員が緊張した面持ちで、座席にしがみつくようにシートベルトを引き締めた。姿勢を低くして、次に来るかもしれない衝撃に備えていた。
ハヤトは背後を振り返り、追突してきた車を見やった。黒いセダンで、窓ガラスはスモークが掛かっていたが、目を凝らして見ると中の人影が見えた。日差しの反射の間から、凶暴な表情をした男たちの顔が見える。
運転手や同乗者の風貌から、現地の人間だろうと察する。ただの泥棒や強盗ではなく、組織化された暴力集団の一員のようだ。それが、何台か連携して動いている。
彼は瞬時に状況を分析した。複数の車で囲もうとしている動きから、ターゲットを殺すことが目的ではない。もし殺害が目的なら、もっと直接的な攻撃方法を取っているはずだ。身柄を拘束して、身代金か何かを要求するつもりだろうと予想した。
そんな考えを巡らせていると、追跡してきた車の窓が開き、男たちが何かを取り出して構えようとしているのが見えた。金属的な光沢を放つそれは、間違いなく武器だった。
ハヤトの表情が一変する。冷たい決意が瞳に宿った。
――そこまでするつもりなら、こちらも容赦しないぞ。
彼は、鋭い眼光で襲ってきた男たちを睨みつけた。その視線には、勇者の威圧感が込められていた。十年にわたる死闘で鍛え上げられた殺気と決意が放たれた。それは魔王との最終決戦でも見せたのと同じ、生死を分ける真剣な眼差しだった。
視線を向けられた男たちの顔に恐怖の色が走った。彼らの脳裏にあるイメージが駆け巡る。猛獣に睨まれたような、あるいは死神の鎌に狙われたような感覚。理屈では説明できない本能的な恐怖だった。後ろの席の男が思わず武器を落とし、身を縮めるように後ずさった。
「ヤバい」
追跡車の助手席の男が呟いた。彼の顔は青ざめ、手に持っていた武器をぎこちなく握り直す。汗が額から流れ落ち、瞳孔が恐怖で開いていた。
「あの男……ただ者じゃない!」
「そんな話、聞いていないぞ!」
運転席の男が怒鳴り返した。彼自身も動揺を隠せず、ハンドルを握る手が震えている。
「ボディーガード、だけじゃないのか!?」
後部座席からも混乱した声が上がる。男たちは互いを見つめ、困惑と恐怖が入り混じった表情を浮かべていた。彼らは単なる護衛と思っていたのに、目の前の男からは別格の存在感を感じ取ってしまったのだ。
「怯むな! 任務を遂行しろ!」
なんとかしろと運転手を怒鳴りつける男。彼は指揮官らしい強い口調で命令したが、その声は微妙に震えていた。そして、全身から冷や汗を流していた。
「いや、駄目だ……」
別の男は、震える手で携帯電話を取り出した。
「あの男に手を出したら、取り返しのつかないことになる。関わってはいけない連中だ……」
追いかけていた車のスピードが落ちる。エンジン音が弱まり、ワゴン車との距離が少しずつ開いていった。男たちの間で短い会話が交わされ、運転手は無意識でハンドルを切った。彼らの車は次の交差点で曲がり、別の道へと消える。後部座席の男は、まるで悪魔から逃れるかのように身を縮めていた。
激突されたワゴン車の中では、ボディーガードたちが後方を警戒しながら、無線で連絡を取り合っている。彼らの声は緊張し、呼吸も荒い。それでも彼らはプロとしての冷静さを失わず、状況を正確に把握しようと努めていた。
「追跡車両、離脱しました」
一人が報告した。彼の声には安堵と同時に、まだ続く緊張感が混じっていた。
「他に敵の姿、確認できません」
別のボディーガードが周囲を確認しながら言う。彼は窓に張り付いて、注意深く後方と側面をチェックしていた。
「我々は、どうしますか?」
運転手が尋ねる。彼の顔には薄く汗が浮かび、ハンドルを握る手にも力が入っていた。リーダーは一瞬考えてから「直ちにホテルへ向かえ」と命じた。
「本部に連絡する」
彼はすでに携帯電話を取り出し、緊急連絡の番号を押す。
追手の姿が見えなくなっても、ボディーガードたちは警戒を緩めない。彼らは常に周囲を注視し、無線での連絡を途切れさせなかった。道路の両側からも何者かが襲いかかってくるかもしれないという緊張感が、車内を支配していた。
一方、ハヤトと城介、剛の三人は危険が去ったことを感じて、落ち着く。異世界での経験から培われた直感が、今は安全だと告げていた。三人の間では無言の了解があり、わずかな視線の交換だけで状況を共有していた。
異世界での冒険で幾度となく死地を潜り抜けてきた彼らにとって、今回の襲撃はさほど深刻な危機ではなかった。
目的地のホテルに到着すると、一行はすぐさま部屋へと案内された。高級ホテルの上層階に用意されたスイートルームは、通常より広く、セキュリティも万全だった。
「さっき襲ってきた連中の情報を集めろ!」
「まだ、隠れて狙っている奴らが居るかもしれない! 警戒を怠るな!」
リーダーが部下たちに指示を飛ばす。
「剛さん、お連れの方々、こちらです」
一人のボディーガードが、部屋の中央にあるソファエリアへと彼らを案内した。
大部屋の中に全員が入って待機する。ボディーガードたちは慌ただしく状況の確認や、外部チームとの連絡を取り合っていた。ホテルのセキュリティと打ち合わせをししり、部屋の安全確認を行う。彼らの動きには無駄がなく、プロフェッショナルとしての技量が垣間見えた。
ハヤトたちはソファに座り、静かに様子を見ていた。剛は表面上は落ち着いていたが、その瞳には鋭い光が宿っていた。彼は時々窓の外を見やり、何かを考えるように眉を寄せていた。
しばらくして、城介が静かに立ち上がった。彼の表情には、かつての情報屋としての鋭さが戻っていた。
「気になることがある。ちょっと調べてみる」
立ち上がった彼は、仲間たちに向けて低い声で言った。さりげなく部屋の出口を示す仕草をしながら、彼はハヤトと剛に意図を伝えた。
「頼む」
剛が頷いた。彼は信頼の証として、小さく手を振った。
「こっちは任せろ」
ハヤトも続ける。
剛とハヤトの二人は、気配を消して部屋を出ていく城介の背中を見送った。彼の動きには無駄がなく、まるで影のように静かだった。
ボディーガードたちは城介の行動を特に気にした様子はない。彼らは状況確認や今後のスケジュール確認など、自分たちの仕事に夢中になっているようだった。部屋の隅では、リーダーが携帯電話で本部と連絡を取っている様子で、厳しい表情で何かを説明していた。
その後、リーダーは部下たちに厳しく指示を出し、警戒体制を強化するよう命じていた。彼の声は普段よりも高く、やや焦りが混じっていた。
「エレベーターホールと非常階段、両方に人員を配置しろ」
「ホテルのセキュリティとも連携を密に取れ」
「今回の件の報告書は、全員が提出することになる。状況をしっかり記録しておけ」
しかし、その忙しなさの裏には、先ほどの襲撃で見せた判断ミスへの焦りも隠されていた。彼らは自分たちの責任を痛感していた。
やがて状況が落ち着いてくると、リーダーの男が剛に近寄ってきた。
彼の表情は申し訳なさそうに歪んでいる。額には薄く汗が浮かび、普段の冷静さが揺らいでいた。
「申し訳ありませんでした」
彼は、深々と頭を下げた。その謝罪の姿勢は、長く保たれ、彼の本気の謝罪の表れだった。
「空港で警告していただいたのにも関わらず、こんな事になってしまって……」
彼は深く反省している様子だった。自分の判断ミスが、この事態を招いたのだと自責の念に駆られていた。
剛は椅子に深く腰掛けたまま、穏やかに尋ねた。彼の表情には厳しさはなく、理解を示す温かさがあった。
「けが人は出たか?」
「幸いなことに、けが人はゼロです」
リーダーは即答した。その声には、それだけが唯一の救いだという安堵感が混じっていた。
「それなら良かった」
剛は微笑みを浮かべて言う。
「次から気をつけてくれ」
「はい、わかりました。申し訳ありません」
リーダーは再度深々と頭を下げた。今度は剛の忠告を聞き流さず、真摯に受け止めている様子だった。空港で抱いたような剛への疑念は、すっかり消え去っていた。そして剛の器の大きさに、敬意の念を抱いたようだった。
「状況を急いで確認します」
リーダーは真剣な表情で言った。彼の目には、失われた信頼を取り戻そうという決意が宿っていた。
「明日の予定までには、なんとかします」
「ああ、頼んだ」
あまり無理はしないようにと思いながら、剛は頼んだと返事をした。実のところ、彼はボディーガードより、城介が持ち帰るであろう情報に期待を寄せていたのだが、それをあからさまに示すことはなかった。
時間が経ち、部屋の中は少しずつ落ち着きを取り戻していた。ボディーガードたちは交代で休息を取りながら、引き続き警戒を続けていた。ハヤトはソファに座って、軽い飲み物を口にしながら、じっと窓の外を眺め続ける。
しばらくして、ドアが静かに開いた。出ていったときと同じように気配を消して、何事もなく普通に部屋へ戻ってきた城介。
「調べてきたぞ」
まだそんなに時間は経っていないはずだが、なにか情報を掴んできたらしい。
「早速、聞かせてくれ」
剛とハヤトは、彼から話を聞こうと身を乗り出した。
城介の大声が車内に響き渡った。彼の声には異世界から引き継いだ記憶と、冷静な判断力による威厳が宿っていた。
ブレーキを踏みそうになっていた運転手は、我に返ったようにアクセルを踏み込んだ。タイヤが悲鳴を上げ、ワゴン車は加速して前へと進んでいく。それを見て当たってきた車も慌てて追走を始めた。
「皆さん、シートベルトをしっかり締めてっ!」
ボディーガードの一人が叫ぶ。全員が緊張した面持ちで、座席にしがみつくようにシートベルトを引き締めた。姿勢を低くして、次に来るかもしれない衝撃に備えていた。
ハヤトは背後を振り返り、追突してきた車を見やった。黒いセダンで、窓ガラスはスモークが掛かっていたが、目を凝らして見ると中の人影が見えた。日差しの反射の間から、凶暴な表情をした男たちの顔が見える。
運転手や同乗者の風貌から、現地の人間だろうと察する。ただの泥棒や強盗ではなく、組織化された暴力集団の一員のようだ。それが、何台か連携して動いている。
彼は瞬時に状況を分析した。複数の車で囲もうとしている動きから、ターゲットを殺すことが目的ではない。もし殺害が目的なら、もっと直接的な攻撃方法を取っているはずだ。身柄を拘束して、身代金か何かを要求するつもりだろうと予想した。
そんな考えを巡らせていると、追跡してきた車の窓が開き、男たちが何かを取り出して構えようとしているのが見えた。金属的な光沢を放つそれは、間違いなく武器だった。
ハヤトの表情が一変する。冷たい決意が瞳に宿った。
――そこまでするつもりなら、こちらも容赦しないぞ。
彼は、鋭い眼光で襲ってきた男たちを睨みつけた。その視線には、勇者の威圧感が込められていた。十年にわたる死闘で鍛え上げられた殺気と決意が放たれた。それは魔王との最終決戦でも見せたのと同じ、生死を分ける真剣な眼差しだった。
視線を向けられた男たちの顔に恐怖の色が走った。彼らの脳裏にあるイメージが駆け巡る。猛獣に睨まれたような、あるいは死神の鎌に狙われたような感覚。理屈では説明できない本能的な恐怖だった。後ろの席の男が思わず武器を落とし、身を縮めるように後ずさった。
「ヤバい」
追跡車の助手席の男が呟いた。彼の顔は青ざめ、手に持っていた武器をぎこちなく握り直す。汗が額から流れ落ち、瞳孔が恐怖で開いていた。
「あの男……ただ者じゃない!」
「そんな話、聞いていないぞ!」
運転席の男が怒鳴り返した。彼自身も動揺を隠せず、ハンドルを握る手が震えている。
「ボディーガード、だけじゃないのか!?」
後部座席からも混乱した声が上がる。男たちは互いを見つめ、困惑と恐怖が入り混じった表情を浮かべていた。彼らは単なる護衛と思っていたのに、目の前の男からは別格の存在感を感じ取ってしまったのだ。
「怯むな! 任務を遂行しろ!」
なんとかしろと運転手を怒鳴りつける男。彼は指揮官らしい強い口調で命令したが、その声は微妙に震えていた。そして、全身から冷や汗を流していた。
「いや、駄目だ……」
別の男は、震える手で携帯電話を取り出した。
「あの男に手を出したら、取り返しのつかないことになる。関わってはいけない連中だ……」
追いかけていた車のスピードが落ちる。エンジン音が弱まり、ワゴン車との距離が少しずつ開いていった。男たちの間で短い会話が交わされ、運転手は無意識でハンドルを切った。彼らの車は次の交差点で曲がり、別の道へと消える。後部座席の男は、まるで悪魔から逃れるかのように身を縮めていた。
激突されたワゴン車の中では、ボディーガードたちが後方を警戒しながら、無線で連絡を取り合っている。彼らの声は緊張し、呼吸も荒い。それでも彼らはプロとしての冷静さを失わず、状況を正確に把握しようと努めていた。
「追跡車両、離脱しました」
一人が報告した。彼の声には安堵と同時に、まだ続く緊張感が混じっていた。
「他に敵の姿、確認できません」
別のボディーガードが周囲を確認しながら言う。彼は窓に張り付いて、注意深く後方と側面をチェックしていた。
「我々は、どうしますか?」
運転手が尋ねる。彼の顔には薄く汗が浮かび、ハンドルを握る手にも力が入っていた。リーダーは一瞬考えてから「直ちにホテルへ向かえ」と命じた。
「本部に連絡する」
彼はすでに携帯電話を取り出し、緊急連絡の番号を押す。
追手の姿が見えなくなっても、ボディーガードたちは警戒を緩めない。彼らは常に周囲を注視し、無線での連絡を途切れさせなかった。道路の両側からも何者かが襲いかかってくるかもしれないという緊張感が、車内を支配していた。
一方、ハヤトと城介、剛の三人は危険が去ったことを感じて、落ち着く。異世界での経験から培われた直感が、今は安全だと告げていた。三人の間では無言の了解があり、わずかな視線の交換だけで状況を共有していた。
異世界での冒険で幾度となく死地を潜り抜けてきた彼らにとって、今回の襲撃はさほど深刻な危機ではなかった。
目的地のホテルに到着すると、一行はすぐさま部屋へと案内された。高級ホテルの上層階に用意されたスイートルームは、通常より広く、セキュリティも万全だった。
「さっき襲ってきた連中の情報を集めろ!」
「まだ、隠れて狙っている奴らが居るかもしれない! 警戒を怠るな!」
リーダーが部下たちに指示を飛ばす。
「剛さん、お連れの方々、こちらです」
一人のボディーガードが、部屋の中央にあるソファエリアへと彼らを案内した。
大部屋の中に全員が入って待機する。ボディーガードたちは慌ただしく状況の確認や、外部チームとの連絡を取り合っていた。ホテルのセキュリティと打ち合わせをししり、部屋の安全確認を行う。彼らの動きには無駄がなく、プロフェッショナルとしての技量が垣間見えた。
ハヤトたちはソファに座り、静かに様子を見ていた。剛は表面上は落ち着いていたが、その瞳には鋭い光が宿っていた。彼は時々窓の外を見やり、何かを考えるように眉を寄せていた。
しばらくして、城介が静かに立ち上がった。彼の表情には、かつての情報屋としての鋭さが戻っていた。
「気になることがある。ちょっと調べてみる」
立ち上がった彼は、仲間たちに向けて低い声で言った。さりげなく部屋の出口を示す仕草をしながら、彼はハヤトと剛に意図を伝えた。
「頼む」
剛が頷いた。彼は信頼の証として、小さく手を振った。
「こっちは任せろ」
ハヤトも続ける。
剛とハヤトの二人は、気配を消して部屋を出ていく城介の背中を見送った。彼の動きには無駄がなく、まるで影のように静かだった。
ボディーガードたちは城介の行動を特に気にした様子はない。彼らは状況確認や今後のスケジュール確認など、自分たちの仕事に夢中になっているようだった。部屋の隅では、リーダーが携帯電話で本部と連絡を取っている様子で、厳しい表情で何かを説明していた。
その後、リーダーは部下たちに厳しく指示を出し、警戒体制を強化するよう命じていた。彼の声は普段よりも高く、やや焦りが混じっていた。
「エレベーターホールと非常階段、両方に人員を配置しろ」
「ホテルのセキュリティとも連携を密に取れ」
「今回の件の報告書は、全員が提出することになる。状況をしっかり記録しておけ」
しかし、その忙しなさの裏には、先ほどの襲撃で見せた判断ミスへの焦りも隠されていた。彼らは自分たちの責任を痛感していた。
やがて状況が落ち着いてくると、リーダーの男が剛に近寄ってきた。
彼の表情は申し訳なさそうに歪んでいる。額には薄く汗が浮かび、普段の冷静さが揺らいでいた。
「申し訳ありませんでした」
彼は、深々と頭を下げた。その謝罪の姿勢は、長く保たれ、彼の本気の謝罪の表れだった。
「空港で警告していただいたのにも関わらず、こんな事になってしまって……」
彼は深く反省している様子だった。自分の判断ミスが、この事態を招いたのだと自責の念に駆られていた。
剛は椅子に深く腰掛けたまま、穏やかに尋ねた。彼の表情には厳しさはなく、理解を示す温かさがあった。
「けが人は出たか?」
「幸いなことに、けが人はゼロです」
リーダーは即答した。その声には、それだけが唯一の救いだという安堵感が混じっていた。
「それなら良かった」
剛は微笑みを浮かべて言う。
「次から気をつけてくれ」
「はい、わかりました。申し訳ありません」
リーダーは再度深々と頭を下げた。今度は剛の忠告を聞き流さず、真摯に受け止めている様子だった。空港で抱いたような剛への疑念は、すっかり消え去っていた。そして剛の器の大きさに、敬意の念を抱いたようだった。
「状況を急いで確認します」
リーダーは真剣な表情で言った。彼の目には、失われた信頼を取り戻そうという決意が宿っていた。
「明日の予定までには、なんとかします」
「ああ、頼んだ」
あまり無理はしないようにと思いながら、剛は頼んだと返事をした。実のところ、彼はボディーガードより、城介が持ち帰るであろう情報に期待を寄せていたのだが、それをあからさまに示すことはなかった。
時間が経ち、部屋の中は少しずつ落ち着きを取り戻していた。ボディーガードたちは交代で休息を取りながら、引き続き警戒を続けていた。ハヤトはソファに座って、軽い飲み物を口にしながら、じっと窓の外を眺め続ける。
しばらくして、ドアが静かに開いた。出ていったときと同じように気配を消して、何事もなく普通に部屋へ戻ってきた城介。
「調べてきたぞ」
まだそんなに時間は経っていないはずだが、なにか情報を掴んできたらしい。
「早速、聞かせてくれ」
剛とハヤトは、彼から話を聞こうと身を乗り出した。
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