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第37話 王の策謀 ※エリック王視点
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協会の態度は、非常に強固だった。
何度交渉を繰り返しても、向こうは頷こうとしない。こちらはそれなりの条件を提示しているのに、頑なに協力を拒否するなんて。そもそも、王からの要請を断るとは一体何を考えているのか。
確かに、協会を支配下に置くのに強引な手段もある。けれど、それは最終手段だ。できることなら、穏便に済ませたい。というのも、あの連中は国民からの評価が高いから。そこを無理やり押し切って失敗でもしたら、俺の王としての評判に傷がつく。それだけは避けたかった。面倒な連中だ。
どうやって協会を支配下に置くかという問題。俺は王座に座りながら、連日その事ばかり考え続けていた。
そんな時に、このアイデアが思いついた。
「これなら……」
口元に笑みが浮かぶ。この計画を成功させれば、スムーズに協会を支配下に置くことができそうだ。
俺は早速、神殿の連中を呼び出すことにした。
「神殿の老賢者どもを、今すぐ王宮に呼べ」
最近の神殿は本当に酷い評判だった。近いうちに神殿が消え去るのも間違いない。これが最後の呼び出しになるだろうな。
やってきた老賢者たちは、見るからに疲れ果てた様子だった。以前の威厳はどこへやら、まるで哀れな物乞いのような姿。それでも彼らは期待に満ちた目を俺に向けてくる。
こいつらは俺が助けてくれると思っている。いいだろう。俺は内心で冷笑しながら、表面上は優しげな表情を作った。
「お前たちを助けてやろう。ただし、こちらの最後のお願いを聞いてくれたらの話だがな」
「我々は、何をすればいいのでしょうか?」
俺は部屋にいた侍従たちを下がらせ、限られた者たちだけで今回の計画を伝えることにした。前回の依頼は失敗していた。だから、今回は間違いなく実行可能なことを指示する。
「王都内で暴れて、問題を起こせ」
老賢者たちの顔が青ざめた。俺は構わず続ける。
「市民を巻き込んでも構わない。とにかく、派手に事件を起こすんだ」
「そ、それは一体、どうして……」
俺は手を上げて、せっかちな彼らを制した。
「まだ途中だ。黙って聞け。続きを話すぞ」
「……」
「お前たちが暴れているところへ、俺が王国の兵士を送り込む。そして、事件を鎮圧する。自作自演の事件だな」
老賢者たちの困惑した表情を見ながら、俺は計画の全容を説明した。
「事件は無事に収めることはできたが、まだ神殿の残党が何をしでかすかわからない。だから対処しなければならない。そのために兵士を動かす。だが、国防を疎かにするわけにもいかな。動かせる兵士の数も限りがある。そこで、実力のある協会に救援要請を出すんだ」
なるほど、という表情を見せる者もいれば、まだ理解できずにいる者もいる。疑いの目を向けてくる。だから、まだ話は終わりじゃないぞ。
「今回の件で、協会が要請を断ることはできないだろうな。もし断ったら、それを大々的に公表してやる。『市民が困っているのに協力を拒否した』とな。市民から批判を買うことになる。それは向こうも避けたいだろう」
完璧な計画だ。協会の連中も、これには逆らえまい。一度協力を結べば、そのまま関係を続けていくことも可能なはずだ。それでいい。実力者たちを、これでようやく支配下に置くことができるだろう。
「で、ですが、そんなことをしたら我々は……神殿の評判はッ!?」
老賢者の一人が震え声で抗議した。
「神殿の評価も地に落ちる、だろうな」
俺は肩をすくめた。
「そ、そんな……!?」
「俺の話をよく聞け」
俺は椅子に深く腰かけ、彼らを見下ろした。
「神殿がダメになっても、お前たちは別にいいだろう。あの組織はもう限界だった。そんなものにしがみついて、損するだけだぞ」
老賢者たちは絶望的な表情を浮かべている。だが、俺は容赦しない。
「報酬は用意してやる。だから、それで隠居生活でも楽しめ。悪い話ではないはずだ」
「......」
そう言うと、彼らは悩み始めた。
何を悩むことがあるんだ。神殿なんて、もう長くはない。どうせ沈む船なんだから、執着しても無駄だろう。さっさと捨てる決断をしろよ。
俺は苛立ちを抑えながら、彼らの判断を待った。王である俺を、こんな落ちぶれた連中が待たせるなんて。本来なら許されることではない。
それでも、この計画のためには彼らの協力が必要だ。少しばかりの我慢は仕方がない。
計画成功のためにも必要だ。今回の計画が無事に成功すれば、協会を支配下に置けて、神殿という面倒な問題も一緒に片付くだろう。
そして、ようやく彼らも決心がついたようだった。
「......わかりました。やらせていただきます」
老賢者の代表格が、力なく頷いた。
「よし、それでいい」
俺は満足げに頷いた。計画について詳細な了承を得ることができた。
これで神殿の歴史も完全に終わるな。そして、協会は俺の手の内に入る。一石二鳥とは、まさにこのことだ。
俺は上機嫌になりながら、計画実行の日を心待ちにした。すべてが俺の思い通りに進むのが、今から楽しみで仕方がない。
何度交渉を繰り返しても、向こうは頷こうとしない。こちらはそれなりの条件を提示しているのに、頑なに協力を拒否するなんて。そもそも、王からの要請を断るとは一体何を考えているのか。
確かに、協会を支配下に置くのに強引な手段もある。けれど、それは最終手段だ。できることなら、穏便に済ませたい。というのも、あの連中は国民からの評価が高いから。そこを無理やり押し切って失敗でもしたら、俺の王としての評判に傷がつく。それだけは避けたかった。面倒な連中だ。
どうやって協会を支配下に置くかという問題。俺は王座に座りながら、連日その事ばかり考え続けていた。
そんな時に、このアイデアが思いついた。
「これなら……」
口元に笑みが浮かぶ。この計画を成功させれば、スムーズに協会を支配下に置くことができそうだ。
俺は早速、神殿の連中を呼び出すことにした。
「神殿の老賢者どもを、今すぐ王宮に呼べ」
最近の神殿は本当に酷い評判だった。近いうちに神殿が消え去るのも間違いない。これが最後の呼び出しになるだろうな。
やってきた老賢者たちは、見るからに疲れ果てた様子だった。以前の威厳はどこへやら、まるで哀れな物乞いのような姿。それでも彼らは期待に満ちた目を俺に向けてくる。
こいつらは俺が助けてくれると思っている。いいだろう。俺は内心で冷笑しながら、表面上は優しげな表情を作った。
「お前たちを助けてやろう。ただし、こちらの最後のお願いを聞いてくれたらの話だがな」
「我々は、何をすればいいのでしょうか?」
俺は部屋にいた侍従たちを下がらせ、限られた者たちだけで今回の計画を伝えることにした。前回の依頼は失敗していた。だから、今回は間違いなく実行可能なことを指示する。
「王都内で暴れて、問題を起こせ」
老賢者たちの顔が青ざめた。俺は構わず続ける。
「市民を巻き込んでも構わない。とにかく、派手に事件を起こすんだ」
「そ、それは一体、どうして……」
俺は手を上げて、せっかちな彼らを制した。
「まだ途中だ。黙って聞け。続きを話すぞ」
「……」
「お前たちが暴れているところへ、俺が王国の兵士を送り込む。そして、事件を鎮圧する。自作自演の事件だな」
老賢者たちの困惑した表情を見ながら、俺は計画の全容を説明した。
「事件は無事に収めることはできたが、まだ神殿の残党が何をしでかすかわからない。だから対処しなければならない。そのために兵士を動かす。だが、国防を疎かにするわけにもいかな。動かせる兵士の数も限りがある。そこで、実力のある協会に救援要請を出すんだ」
なるほど、という表情を見せる者もいれば、まだ理解できずにいる者もいる。疑いの目を向けてくる。だから、まだ話は終わりじゃないぞ。
「今回の件で、協会が要請を断ることはできないだろうな。もし断ったら、それを大々的に公表してやる。『市民が困っているのに協力を拒否した』とな。市民から批判を買うことになる。それは向こうも避けたいだろう」
完璧な計画だ。協会の連中も、これには逆らえまい。一度協力を結べば、そのまま関係を続けていくことも可能なはずだ。それでいい。実力者たちを、これでようやく支配下に置くことができるだろう。
「で、ですが、そんなことをしたら我々は……神殿の評判はッ!?」
老賢者の一人が震え声で抗議した。
「神殿の評価も地に落ちる、だろうな」
俺は肩をすくめた。
「そ、そんな……!?」
「俺の話をよく聞け」
俺は椅子に深く腰かけ、彼らを見下ろした。
「神殿がダメになっても、お前たちは別にいいだろう。あの組織はもう限界だった。そんなものにしがみついて、損するだけだぞ」
老賢者たちは絶望的な表情を浮かべている。だが、俺は容赦しない。
「報酬は用意してやる。だから、それで隠居生活でも楽しめ。悪い話ではないはずだ」
「......」
そう言うと、彼らは悩み始めた。
何を悩むことがあるんだ。神殿なんて、もう長くはない。どうせ沈む船なんだから、執着しても無駄だろう。さっさと捨てる決断をしろよ。
俺は苛立ちを抑えながら、彼らの判断を待った。王である俺を、こんな落ちぶれた連中が待たせるなんて。本来なら許されることではない。
それでも、この計画のためには彼らの協力が必要だ。少しばかりの我慢は仕方がない。
計画成功のためにも必要だ。今回の計画が無事に成功すれば、協会を支配下に置けて、神殿という面倒な問題も一緒に片付くだろう。
そして、ようやく彼らも決心がついたようだった。
「......わかりました。やらせていただきます」
老賢者の代表格が、力なく頷いた。
「よし、それでいい」
俺は満足げに頷いた。計画について詳細な了承を得ることができた。
これで神殿の歴史も完全に終わるな。そして、協会は俺の手の内に入る。一石二鳥とは、まさにこのことだ。
俺は上機嫌になりながら、計画実行の日を心待ちにした。すべてが俺の思い通りに進むのが、今から楽しみで仕方がない。
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