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第38話 王の転落 ※エリック王視点
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計画が実行される日がやってきた。
おそらく大丈夫だろう。だが、少し心配がある。神殿の連中に任せて本当に大丈夫なのか。これまでの経緯を考えると、あまり信用できない。もし何かあれば、すぐに対応できるように備えておく必要がありそうだ。
俺は王座に座り、報告を待った。計画通りに事が運べば、ついに癒しの協会を俺の配下に置くことができる。あの組織を手に入れれば、王としての権威は絶対的なものになるはずだ。
「大変です、陛下!」
大臣が慌てて駆け込んできた。
「街中で暴れている者たちがいるとの報告です!」
来たな。ついに計画が動き出したのだ。俺は内心で笑みを浮かべながら、表面上は驚いた表情を作った。そして、大臣の報告に反応を返す。
「なんだと! すぐに兵士を動かせ! 市民の安全を最優先に鎮圧しろ!」
「はっ!」
兵を動かす。その指示を聞いた大臣が駆け出していった。これで完璧だ。鎮圧した後に神殿の悪事を暴く。神殿の残党がさらなる事件を起こす可能性があると訴える。早期解決のため協会に救援の要請を出す。奴らが、それを受け入れるのを待つだけ。すべて俺の計画通りに進んでいる。
「陛下! 協会の方々も動いてくれたようです!」
「なにっ!?」
事件が発生してしばらくした後、別の大臣が嬉しそうな表情で報告してきた。俺は思わず王座から立ち上がった。早すぎる。あまりにも早すぎる対応だ。
「兵士の状況は、どうなっている!」
「それが、兵士が駆けつけた時には、すべて終わっていたようです」
「すべて終わった?」
俺の声が上ずる。これは計画にない展開だった。
「市民の救助も、首謀者の捕縛も完了していたとのことです。ルシウス子爵の兵士が事件現場で待機しており、警戒態勢を敷いていました」
先を越されたというのか。暴れていた連中の身柄を協会が確保して、貴族が兵士を待機させているだと? これはまずい。非常にまずい状況かもしれない。
「すぐに兵を引き上げさせろ! 今すぐ!」
「は、はい!」
俺は頭を抱えた。なんてことだ。計画の一段階目から大失敗である。これだから、神殿の連中を信じるべきじゃなかった。協会の連中に捕まってしまうなんて。これは計画にない。もしかしたら、今回の自作自演の計画を自白しているかもしれない。
そうなる前に、連中を始末しなければならない。だがどうやって? 暴れていた者たちを捕まえたらしい協会の連中に身柄を要求する? どういう理由で? 下手に動けば疑われかねない。
とにかく、計画を大幅に変更しなければならない。神殿の連中を切り捨てるのは最初の計画通り、俺は一切関与していないという立場で押し通そう。
それから数日後。神殿の起こした事件の後、各地で同じような事件が発生した。それを一瞬で解決していく協会の連中。こんなの俺の考えた計画ではない。事件を起こす場所もタイミングも悪すぎる。これでは、どうやったって俺の思い通りにならない。
しかも協会の評判は上がる一方で、王室への協力要請どころか、ますます独立性を強めているようだ。一体どこで計画が狂ったのか。
「陛下」
重厚な扉が開いて、複数の貴族たちが堂々と王座の間に入ってきた。彼らの表情は険しく、明らかに普通の謁見ではない。いつもの恭しい態度がまったく見られない。
「陛下。とんでもないことを仕出かしましたね」
筆頭格の公爵が冷たい声で言ってきた。
「なんのことだ?」
俺は冷静さを保ちながら聞き返した。もしかして、とは思いながらも、まだ希望は捨てていない。
しかし、その希望は次の瞬間に完全に打ち砕かれた。
「とぼけても無駄です。これに、陛下と神殿との密会について詳細な記録が記されています」
公爵が手にした書類を俺の前に掲げる。
「すべての経緯は露見しています。陛下が神殿を使って市民を危険に晒したことも」
「......」
まさか、バレているなんて。どこまで知られているのだ。神殿の連中が漏らしたというのか。どこまでも使えない奴らだ。
これは、かなりまずい状況だ。けれども、俺は王であり、彼らは貴族である。まだ立場の違いを利用できるはずだ。
「そんな事実はない」
俺は毅然とした態度で否定した。
「だが、それが市民にまで広まってしまったらマズいことになる。どうにかして、そんな嘘の話など握り潰せ」
「これが事実でないと、否定するおつもりですか?」
公爵の目が冷たく光る。
「もちろん。それは神殿の戯言だからな」
「そうですか」
貴族たちは何やら意味深な視線を交わした後、深々と頭を下げた。
「承知いたしました。失礼いたします」
そんな会話を交わして、貴族たちは下がっていった。俺はほっと息をついた。どうにか誤魔化せたか。だが、このままじゃマズイ。どうにかしないと。
貴族たちの表情が気になる。まるで何かを決意したような、そんな顔をしていた。
そんな出来事があってから、また数日が過ぎた。
「陛下! 大変です!」
大臣が血相を変えて駆け込んできた。その顔は恐怖に歪んでいる。
「貴族たちが兵士を連れて、王宮に向かっています!」
「なんだと!?」
「『人命を軽視する悪逆な王を打ち倒す』と宣言しているそうです!」
俺は愕然とした。どうして、こんなことになってしまったのだろうか。つい先日まで、すべてが俺の思い通りに進むはずだったのに。協会を配下に置いて、王としての権威を確立するはずだったのに。
「急いで兵を集めろ! 王宮を守るんだ!」
俺は必死に指示を出し、兵士たちを指揮してなんとか抵抗を試みた。だが、それも虚しい努力だった。
貴族たちの兵は予想以上に多く、しかも統制が取れている。それに対して俺の兵士たちの士気は低く、中には武器を捨てて逃げ出す者もいた。どうやら俺への忠誠心など、とうの昔に失われていたらしい。
「陛下、もはやこれまでです」
側近の一人が青ざめた顔で言った。
「降伏なさいませ」
「ふざけるな! 俺は王だぞ!」
俺は剣を抜いて抵抗しようとしたが、あっという間に取り押さえられた。王としての威厳など、もうどこにもない。
「エリック王よ。神殿と共謀して市民を危険に晒した罪により、貴様を断罪する!」
「やめろっ! 俺は、王だぞ! 王なんだ!」
貴族たちの冷徹な声が響く。抵抗を続けるが、俺の手には重い鎖がかけられた。これはもう逃げられない。これが、王としての俺の最期だった。
なんで、こんなことになってしまったんだ……。
すべては癒しの協会を手に入れるためだったのに。俺の王国を強くするためだったのに。市民を犠牲にしたのも、すべては国のためだったのに。
なぜ誰も、それを理解してくれないのか。
おそらく大丈夫だろう。だが、少し心配がある。神殿の連中に任せて本当に大丈夫なのか。これまでの経緯を考えると、あまり信用できない。もし何かあれば、すぐに対応できるように備えておく必要がありそうだ。
俺は王座に座り、報告を待った。計画通りに事が運べば、ついに癒しの協会を俺の配下に置くことができる。あの組織を手に入れれば、王としての権威は絶対的なものになるはずだ。
「大変です、陛下!」
大臣が慌てて駆け込んできた。
「街中で暴れている者たちがいるとの報告です!」
来たな。ついに計画が動き出したのだ。俺は内心で笑みを浮かべながら、表面上は驚いた表情を作った。そして、大臣の報告に反応を返す。
「なんだと! すぐに兵士を動かせ! 市民の安全を最優先に鎮圧しろ!」
「はっ!」
兵を動かす。その指示を聞いた大臣が駆け出していった。これで完璧だ。鎮圧した後に神殿の悪事を暴く。神殿の残党がさらなる事件を起こす可能性があると訴える。早期解決のため協会に救援の要請を出す。奴らが、それを受け入れるのを待つだけ。すべて俺の計画通りに進んでいる。
「陛下! 協会の方々も動いてくれたようです!」
「なにっ!?」
事件が発生してしばらくした後、別の大臣が嬉しそうな表情で報告してきた。俺は思わず王座から立ち上がった。早すぎる。あまりにも早すぎる対応だ。
「兵士の状況は、どうなっている!」
「それが、兵士が駆けつけた時には、すべて終わっていたようです」
「すべて終わった?」
俺の声が上ずる。これは計画にない展開だった。
「市民の救助も、首謀者の捕縛も完了していたとのことです。ルシウス子爵の兵士が事件現場で待機しており、警戒態勢を敷いていました」
先を越されたというのか。暴れていた連中の身柄を協会が確保して、貴族が兵士を待機させているだと? これはまずい。非常にまずい状況かもしれない。
「すぐに兵を引き上げさせろ! 今すぐ!」
「は、はい!」
俺は頭を抱えた。なんてことだ。計画の一段階目から大失敗である。これだから、神殿の連中を信じるべきじゃなかった。協会の連中に捕まってしまうなんて。これは計画にない。もしかしたら、今回の自作自演の計画を自白しているかもしれない。
そうなる前に、連中を始末しなければならない。だがどうやって? 暴れていた者たちを捕まえたらしい協会の連中に身柄を要求する? どういう理由で? 下手に動けば疑われかねない。
とにかく、計画を大幅に変更しなければならない。神殿の連中を切り捨てるのは最初の計画通り、俺は一切関与していないという立場で押し通そう。
それから数日後。神殿の起こした事件の後、各地で同じような事件が発生した。それを一瞬で解決していく協会の連中。こんなの俺の考えた計画ではない。事件を起こす場所もタイミングも悪すぎる。これでは、どうやったって俺の思い通りにならない。
しかも協会の評判は上がる一方で、王室への協力要請どころか、ますます独立性を強めているようだ。一体どこで計画が狂ったのか。
「陛下」
重厚な扉が開いて、複数の貴族たちが堂々と王座の間に入ってきた。彼らの表情は険しく、明らかに普通の謁見ではない。いつもの恭しい態度がまったく見られない。
「陛下。とんでもないことを仕出かしましたね」
筆頭格の公爵が冷たい声で言ってきた。
「なんのことだ?」
俺は冷静さを保ちながら聞き返した。もしかして、とは思いながらも、まだ希望は捨てていない。
しかし、その希望は次の瞬間に完全に打ち砕かれた。
「とぼけても無駄です。これに、陛下と神殿との密会について詳細な記録が記されています」
公爵が手にした書類を俺の前に掲げる。
「すべての経緯は露見しています。陛下が神殿を使って市民を危険に晒したことも」
「......」
まさか、バレているなんて。どこまで知られているのだ。神殿の連中が漏らしたというのか。どこまでも使えない奴らだ。
これは、かなりまずい状況だ。けれども、俺は王であり、彼らは貴族である。まだ立場の違いを利用できるはずだ。
「そんな事実はない」
俺は毅然とした態度で否定した。
「だが、それが市民にまで広まってしまったらマズいことになる。どうにかして、そんな嘘の話など握り潰せ」
「これが事実でないと、否定するおつもりですか?」
公爵の目が冷たく光る。
「もちろん。それは神殿の戯言だからな」
「そうですか」
貴族たちは何やら意味深な視線を交わした後、深々と頭を下げた。
「承知いたしました。失礼いたします」
そんな会話を交わして、貴族たちは下がっていった。俺はほっと息をついた。どうにか誤魔化せたか。だが、このままじゃマズイ。どうにかしないと。
貴族たちの表情が気になる。まるで何かを決意したような、そんな顔をしていた。
そんな出来事があってから、また数日が過ぎた。
「陛下! 大変です!」
大臣が血相を変えて駆け込んできた。その顔は恐怖に歪んでいる。
「貴族たちが兵士を連れて、王宮に向かっています!」
「なんだと!?」
「『人命を軽視する悪逆な王を打ち倒す』と宣言しているそうです!」
俺は愕然とした。どうして、こんなことになってしまったのだろうか。つい先日まで、すべてが俺の思い通りに進むはずだったのに。協会を配下に置いて、王としての権威を確立するはずだったのに。
「急いで兵を集めろ! 王宮を守るんだ!」
俺は必死に指示を出し、兵士たちを指揮してなんとか抵抗を試みた。だが、それも虚しい努力だった。
貴族たちの兵は予想以上に多く、しかも統制が取れている。それに対して俺の兵士たちの士気は低く、中には武器を捨てて逃げ出す者もいた。どうやら俺への忠誠心など、とうの昔に失われていたらしい。
「陛下、もはやこれまでです」
側近の一人が青ざめた顔で言った。
「降伏なさいませ」
「ふざけるな! 俺は王だぞ!」
俺は剣を抜いて抵抗しようとしたが、あっという間に取り押さえられた。王としての威厳など、もうどこにもない。
「エリック王よ。神殿と共謀して市民を危険に晒した罪により、貴様を断罪する!」
「やめろっ! 俺は、王だぞ! 王なんだ!」
貴族たちの冷徹な声が響く。抵抗を続けるが、俺の手には重い鎖がかけられた。これはもう逃げられない。これが、王としての俺の最期だった。
なんで、こんなことになってしまったんだ……。
すべては癒しの協会を手に入れるためだったのに。俺の王国を強くするためだったのに。市民を犠牲にしたのも、すべては国のためだったのに。
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