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第19話 未来に向けての話し合い

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 席についた私は、自分の目的を彼に明かした。

 カナリニッジ侯爵家の跡継ぎ問題を解決するのに協力してほしいこと。領主の仕事には口出しをしないでほしいこと。それ以外のことについては、自由にしていい。それが、私と婚約する条件。

 こちらから条件を出すのは気が引けたが、将来のため事前に話しておいた方がいいだろうと判断した。

 私の話を集中して聞きながら、嫌な表情もせずに笑顔で「わかった」と言ってくれるウェヌスレッド。焦った感じや、高圧的な雰囲気はなく、とても穏やかな男性だった。

 彼とは違う。

 思わず、前の婚約相手と比較してしまった。だけど、それはウェヌスレッドに失礼よね。ごめんなさい。心の中で謝りながら、話を続ける。

「本当に、それでよろしいのですか?」

 私が問いかけると、彼は大きく頷いた。その表情に、嘘はなさそう。

「ああ、構わないよ」

 実は野望を隠していたり、名誉などに執着するタイプではないようだ。表面的にはそう見える。会ったばかりなので、実際はどうなのか。まだわからないけれど。

 彼が本当に、そういう人であればいいと思った。これが嘘だったとしたら、本当にショック。立ち直れないかもしれない。きっと、嘘じゃないはず。信じるしかない。

 話している間に少しずつ慣れてきた。まだ、彼の顔に惹きつけられる感覚はある。だけど、それを自覚して落ち着けば対処できる。意識しすぎなければ、何とでもなる。

 この部屋には、私たち以外にも執事や使用人たちが控えている。見られているから、気を抜けない。

「私だけ条件を出すのは不公平ですよね。なのでウェヌスレッド様は、何か要望はありますか? できる限り、応えますよ」
「うーん、そうだねぇ」

 問いかけると、腕を組んで考え始めた。

 面倒なことでなければ、ちゃんと応えるつもり。例えば、愛人との関係を続けたいとか。彼ほどの美しい顔の持ち主なら、愛人の1人や2人は居てもおかしくはない。それを私は認めるつもりでいる。

 ただ、面倒なことにならないように把握はしておきたい。この前のように揉めて、再び婚約破棄になるのは嫌だから。

 そう思っていたのだが、彼の要望は私にとって意外なものだった。

「それなら僕は、君との関係だけを深めていきたいかな。他はいらない。余計な付き合いとか、わずらわしいのは嫌だからさ」
「……えっ、と」

 何と言うべきか。言葉に詰まってしまう。私とだけ仲良くしたい。それって、本当なのかしら。

「少し、僕の話をしてもいいかい?」
「……はい、もちろんです」

 何を話すのだろうと思いながら、続きを促す。すると彼は、静かな口調で話し始めた。
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