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第18話 初対面
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「こちらです。どうぞ、お入りください」
「案内、ありがとう」
使用人の女性が扉を開けて中に通される。この部屋で、婚約相手が待っているらしい。私は覚悟を決めて、部屋の中に入った。
「カナリニッジ侯爵様が、いらっしゃいました」
「よく来てくれた。待っていたよ」
若い男性の声。それを聞いた私は、とても耳心地の良い声だと思った。それが最初の印象。
「ッ!?」
次に、彼の顔を見て驚く。とても美しい人だったから。声が出ないように抑えるのが大変だったくらい。顔を見て、驚きの声を出すなんて失礼だから。
絹のように滑らかな銀髪。瞳は青空を彷彿させる水色で、澄んだ瞳。とても整った顔立ちで、その存在から品を感じる。
服装は白を基調とした、質素なデザインの服だった。動きやすさを重視しているのか、装飾は少ない。シンプルな衣装にもかかわらず、彼は輝いていた。
黙ったまま、いつまでもジーッと見てしまう。その視線も失礼だとわかっていても止められないほど、魅力的な人だった。
「……シャロット・カナリニッジ、です」
気力を振り絞って挨拶する。初対面だからしっかり挨拶しようと口を開いたのに、上手く言葉が出てこなくてカタコトになってしまった。
変に思われないか、心配だった。顔が赤くなっていくのがわかる。ひと目見ただけでも、強く心が惹かれる。男の人に対して、こんな感情を胸に抱いたのは初めてだ。自分でも驚いていた。私にも、こんな感情があったのね。
こんなにも魅力的な人が待っているなんて、予想外よ。ノルイン公爵閣下が息子は変わっていると言っていたけど、こういう意味だったの。
「初めまして、シャロット。僕の名は、ウェヌスレッド。よろしくね」
「は、はい。よろしくお願いします」
彼の微笑に魅了されてしまいそうになるのを、なんとか堪える。いけないわ。感情を抑えなければ。冷静にならないと。これは大事な交渉なのよ。カナリニッジ侯爵家の大事な未来が懸かっている。恋や愛なんかに気をとられている場合じゃない。
気持ちを切り替えて、大事なことだけに集中する。うん、大丈夫。落ち着いた。
「どうぞ、座って」
「失礼します」
彼の言葉を耳にして、私はテーブルを挟んで向かい合わせになるように座った。
これから彼との話し合いが始まる。うん、きっと大丈夫。この婚約はうまくいく。そのために、私も全力で取り組まなくては。
気合の入った私とは対照的に、彼は終始穏やかな様子だった。大人の余裕、という感じ。でも、それに嫌な感じはしない。むしろ良いと思った。包み込むような優しい雰囲気があった。
「案内、ありがとう」
使用人の女性が扉を開けて中に通される。この部屋で、婚約相手が待っているらしい。私は覚悟を決めて、部屋の中に入った。
「カナリニッジ侯爵様が、いらっしゃいました」
「よく来てくれた。待っていたよ」
若い男性の声。それを聞いた私は、とても耳心地の良い声だと思った。それが最初の印象。
「ッ!?」
次に、彼の顔を見て驚く。とても美しい人だったから。声が出ないように抑えるのが大変だったくらい。顔を見て、驚きの声を出すなんて失礼だから。
絹のように滑らかな銀髪。瞳は青空を彷彿させる水色で、澄んだ瞳。とても整った顔立ちで、その存在から品を感じる。
服装は白を基調とした、質素なデザインの服だった。動きやすさを重視しているのか、装飾は少ない。シンプルな衣装にもかかわらず、彼は輝いていた。
黙ったまま、いつまでもジーッと見てしまう。その視線も失礼だとわかっていても止められないほど、魅力的な人だった。
「……シャロット・カナリニッジ、です」
気力を振り絞って挨拶する。初対面だからしっかり挨拶しようと口を開いたのに、上手く言葉が出てこなくてカタコトになってしまった。
変に思われないか、心配だった。顔が赤くなっていくのがわかる。ひと目見ただけでも、強く心が惹かれる。男の人に対して、こんな感情を胸に抱いたのは初めてだ。自分でも驚いていた。私にも、こんな感情があったのね。
こんなにも魅力的な人が待っているなんて、予想外よ。ノルイン公爵閣下が息子は変わっていると言っていたけど、こういう意味だったの。
「初めまして、シャロット。僕の名は、ウェヌスレッド。よろしくね」
「は、はい。よろしくお願いします」
彼の微笑に魅了されてしまいそうになるのを、なんとか堪える。いけないわ。感情を抑えなければ。冷静にならないと。これは大事な交渉なのよ。カナリニッジ侯爵家の大事な未来が懸かっている。恋や愛なんかに気をとられている場合じゃない。
気持ちを切り替えて、大事なことだけに集中する。うん、大丈夫。落ち着いた。
「どうぞ、座って」
「失礼します」
彼の言葉を耳にして、私はテーブルを挟んで向かい合わせになるように座った。
これから彼との話し合いが始まる。うん、きっと大丈夫。この婚約はうまくいく。そのために、私も全力で取り組まなくては。
気合の入った私とは対照的に、彼は終始穏やかな様子だった。大人の余裕、という感じ。でも、それに嫌な感じはしない。むしろ良いと思った。包み込むような優しい雰囲気があった。
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