婚約破棄された私は、号泣しながらケーキを食べた~限界に達したので、これからは自分の幸せのために生きることにしました~

キョウキョウ

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第36話 王妃の変遷 ※とある使用人視点

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 王妃候補がオリヴィア様からアイリーン様に変わったと聞いた時、私は良かったと思った。

 真面目で努力家だけど、融通がきかなくて無理し過ぎたオリヴィア様。彼女が王妃になっていたら、早死していたと思う。命を削ってでも役目を果たそうとする姿が、痛々しいと思っていた。

 それに比べてアイリーン様は、自由奔放で図太くて、ある意味たくましい女性だ。そんな彼女だからこそ、王妃として上手くやっていけると思った。

 まあ、その考えは大きく間違っていたみたいだけど。

 アイリーン様は自分勝手過ぎた。妃教育はサボるのが当たり前で、自分が楽しめるお茶会やパーティーなどに参加してばかり。その時に着るドレスや宝石を買い漁る。周りの人に無理難題を押し付けて、迷惑をかけることも多かった。

 陛下も、そんなアイリーン様を好き勝手にさせた。それから徐々に関係が変わっていく。関わりたくない、という様子に変化していった。

 最初は良好だった関係も、今では冷え切ったものに。あんなギスギスした関係で、お世継ぎを産めるのかどうか心配になる。



 アイリーン様は妾を認めないでしょう。プライドが高くて、自分が一番じゃないと気が済まない性格だと思う。妾のほうが先に子どもを産んでしまうようなことがあれば、間違いなく揉め事になりそう。

 でも、仕方のないこと。私たちに出来ることは何も無い。この問題をどうにかするのは、上の人たち。一介の使用人でしかない私は、ただ見ているだけ。

 陛下や王妃に忠告する人も、ほとんど居ない。どちらも、聞く耳を持たないから。言っても無駄なだけ。下手したら、罰を受ける可能性まである。そこまでして、進言したいとは誰も思わない。

 そのせいで、アイリーン様は暴飲暴食を続けている。誰も止めない。太ってしまった彼女は、かつての美しさを全く感じさせない姿になってしまわれた。

 そんな姿になってしまったせいで、ますます陛下はアイリーン様を避けるようになった。

 このままだと、お世継ぎが生まれない。このまま王国は、滅んでしまうのだろうと思った。私以外にも、滅亡の危機を予感している人は多いだろう。でも、どうしようもない。

 陛下は、どうするつもりなのかしら。



 アイリーン様もかわいそうな面があると思う。でも、自業自得な部分も多かった。色々とやらかして、周りを振り回して自分のことだけしか考えていない。その結果、ああなってしまった。

 それを注意しなかった陛下にも責任がある。

 結局、そんな王と王妃がいる国だから、先は長くないと思うしかなかった。



 最初の王妃候補だったオリヴィア様は結婚して、今では幸せに暮らしているらしいので良かったと思う。このまま、無事に暮らして欲しいものね。

 これが、近くで見ていただけの、ただの使用人の意見。
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