婚約破棄された私は、号泣しながらケーキを食べた~限界に達したので、これからは自分の幸せのために生きることにしました~

キョウキョウ

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第35話 私は悪くない ※アイリーン視点

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 あの女にダメージを与えてやる。結婚式で邪魔された屈辱を、お返しする。そんな目的を持って、機会を伺っていた。

 そして今日、ついにその時が来た。



 あの女が結婚する相手の男を狙う。成功すれば、私の目的を果たせる。結婚式からパーティーまで、ずっと彼は忙しそうにしていた。そんな彼が、休憩するタイミングを狙うのよ。あの女から離れる瞬間を。

 来た!

 私が予想した通り、彼が離れる。休憩するのね。その瞬間を私は見逃さなかった。先回りして、待ち構えましょう。

 廊下で1人、近づいてくる瞬間を待つ。そして、彼がやってきた。狙い通り!

 噂に聞いていたよりも、いい男。マルク様よりも頼りになりそう。乗り換えるのもありかもしれないわね。そんな考えを抱きながら、私は彼に話しかけた。

 そして、拒否された。なんでよ! 王妃である私が話しかけているのに、無視するなんてありえないわ! 王であるマルク様だって、私に夢中になったのに。

 でも、仕方ない。今回は諦めて、次の機会を狙いましょう。きっと次は上手くいくはずだから。これまで私は成功してきたんだから。最終的に、望み通りになったの。だから、次はきっと。


 しかし、この失敗でケチが付いた。物事が、私の思い通りにならない。なんで?


「お前は、なんてことをしてくれたんだ」

 マルク様に叱られる。でもアンタだって、会場で私のことを悪く言っていた。あの女を自分の妻にしようとしていた。そんな情報を掴んでいる。私だけが悪いわけじゃないわよ。

 言い返したら、外出禁止を命じられた。それから、ちゃんと妃教育を受けるように強制される。

「なんなのよ、もう!」

 なんで私ばっかり、辛い目に合わないといけないの。私の周りには、もっと酷くて自分勝手な人たちばかりなのに。そっちを先に罰しないといけないでしょ。

 こんなの、間違っている!

 あー、イライラする。命令なんて無視してやるわ。勝手に外出してやりましょう。私は王妃なんだから、それぐらいの自由を許されて当然なはず。

「ちょっと、離しなさいよっ!」
「お戻りください、アイリーン様」
「ちょっと、外に出るぐらいでしょ! 許してよ」
「申し訳ありませんが王の命令により、それは認められません」

 警備の兵士に見つかったら、無理やり連れ戻される。私は自由を奪われる。

 だったら、妃教育は絶対に無視してやる。意地でも受けない。あんな勉強ばかりの辛い時間と食事制限なんて、やってられないわよ。

 そうやって、無視し続けた。



 最近、太ってきている。認めたくないけど、体が重たくて動くのも億劫だった。

 無理やり食事制限しようとするのが悪い。反発して、こんなことになってしまったのよ。私は悪くない。

 外出を禁止して、自由を奪って、辛いことばかり強制する。全部、王が悪い。私がこうなるように仕向けたのね。

 私は悪くないのに、どうしてこんなことになってしまったのよ……。

 私は、悪くないのに。
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