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第1話 派手と地味な回復魔法
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「マリアンヌ! 君は、魔法使いとしての実力に自信があると、俺に言ったな?」
「はい、言いました。回復魔法の扱いには自信があります!」
婚約者であるマクシミリアン王子に呼び出されて、いきなりそんな事を確認された。どうして今更、そんな事を聞いてきたの? 私は不思議に思ったけれど、素直に答える。もちろん、自信があると。
毎日、回復魔法の腕を磨くために練習している。
いつか偉大な魔法使いになるために。周りの人を癒やしてあげるために。そして、何か起きたときに備えて一生懸命努力している。
他の誰にも負けないぐらい、頑張っている自信があった。だから私は胸を張って、堂々と答えることが出来た。
「だが君は、妹のルイーゼに劣っている」
「え?」
それなのに、返ってきたのは思いがけない言葉だった。
もっと実力ある魔法使いと比較されるのかと思っていた。それなのに、まさか妹と比べられるとは思わなかった。
最近、彼女は練習をサボっている。見た目だけ派手にする方法を学んで、楽をしている。あれじゃあ、回復の効果が非常に低い。それを指摘しても、ルイーゼは面倒そうに聞き流すだけだった。
そんな妹と比べて、私が劣っていると思われているの? 納得がいかなかった。
「ちょっと待って下さい。どうして、そう思われたのですか? 私は―――」
「ルイーゼが、回復魔法で怪我人を治療している場面を見た。とても素早く、完璧に治療していたぞ。見た目も幻想的で、美しいものだったよ。まるで君の回復魔法とは違うものだと錯覚してしまうほどにね」
妹よりも、私の実力が下だと指摘する。マクシミリアン王子は、そう感じたようだ。見た目が派手だから、彼女の扱う回復魔法のほうが効果が高い。実力が上だと。しかし、それは勘違いだ。
「待って下さい。回復魔法は、見た目が派手だからといって効果が高いとか、実力があるとは限りません。むしろ逆です。派手な演出なんて必要ありません。ただ患者のために真摯に取り組むことが大切なのです。その方が確実に治ります」
「いいや、君は理解していない。私は、この国の王子だ。いずれ、王になる男だぞ。その時、王に見合う演出も必要になるだろう。君の地味な回復魔法より、ルイーゼが扱う幻想的で美しい回復魔法のほうが」
「だから、それは―――」
「ちゃんと怪我人を治療することが出来た。つまり、君よりもルイーゼの方が、私の婚約者に相応しい女性だということだ」
私とマクシミリアン王子は、回復魔法についての考え方が違うようだ。彼が認めるのは、ルイーゼの派手な演出効果のある回復魔法であって、私の地味な回復魔法ではないらしい。そして彼は、妹を選んだ。私が何を言っても、彼は聞こうとしない。
既に、妹の方が実力が上だと信じ切っている。
「君との婚約は破棄させてもらう。俺は、優秀で本当の実力者である妹と改めて婚約する」
「そんな……ッ!」
「君が悪いんだぞ。妹よりも魔法使いとしての腕が劣っている、君が!」
「ですから、それは」
「もう決まったことだ。王妃として相応しいのは、ルイーゼの方だっ!」
回復魔法について説明しようとしても、彼は聞く耳を持たなかった。私のことを劣っていると思い込んで、切り捨てるつもり。そう決めていた。私を大声で威圧して、自分の意見を押し通す。
「これで話は終わりだ。さっさと出て行け」
こうして私は、一方的に婚約破棄を告げられた後、マクシミリアン王子に部屋から追い出された。
「はい、言いました。回復魔法の扱いには自信があります!」
婚約者であるマクシミリアン王子に呼び出されて、いきなりそんな事を確認された。どうして今更、そんな事を聞いてきたの? 私は不思議に思ったけれど、素直に答える。もちろん、自信があると。
毎日、回復魔法の腕を磨くために練習している。
いつか偉大な魔法使いになるために。周りの人を癒やしてあげるために。そして、何か起きたときに備えて一生懸命努力している。
他の誰にも負けないぐらい、頑張っている自信があった。だから私は胸を張って、堂々と答えることが出来た。
「だが君は、妹のルイーゼに劣っている」
「え?」
それなのに、返ってきたのは思いがけない言葉だった。
もっと実力ある魔法使いと比較されるのかと思っていた。それなのに、まさか妹と比べられるとは思わなかった。
最近、彼女は練習をサボっている。見た目だけ派手にする方法を学んで、楽をしている。あれじゃあ、回復の効果が非常に低い。それを指摘しても、ルイーゼは面倒そうに聞き流すだけだった。
そんな妹と比べて、私が劣っていると思われているの? 納得がいかなかった。
「ちょっと待って下さい。どうして、そう思われたのですか? 私は―――」
「ルイーゼが、回復魔法で怪我人を治療している場面を見た。とても素早く、完璧に治療していたぞ。見た目も幻想的で、美しいものだったよ。まるで君の回復魔法とは違うものだと錯覚してしまうほどにね」
妹よりも、私の実力が下だと指摘する。マクシミリアン王子は、そう感じたようだ。見た目が派手だから、彼女の扱う回復魔法のほうが効果が高い。実力が上だと。しかし、それは勘違いだ。
「待って下さい。回復魔法は、見た目が派手だからといって効果が高いとか、実力があるとは限りません。むしろ逆です。派手な演出なんて必要ありません。ただ患者のために真摯に取り組むことが大切なのです。その方が確実に治ります」
「いいや、君は理解していない。私は、この国の王子だ。いずれ、王になる男だぞ。その時、王に見合う演出も必要になるだろう。君の地味な回復魔法より、ルイーゼが扱う幻想的で美しい回復魔法のほうが」
「だから、それは―――」
「ちゃんと怪我人を治療することが出来た。つまり、君よりもルイーゼの方が、私の婚約者に相応しい女性だということだ」
私とマクシミリアン王子は、回復魔法についての考え方が違うようだ。彼が認めるのは、ルイーゼの派手な演出効果のある回復魔法であって、私の地味な回復魔法ではないらしい。そして彼は、妹を選んだ。私が何を言っても、彼は聞こうとしない。
既に、妹の方が実力が上だと信じ切っている。
「君との婚約は破棄させてもらう。俺は、優秀で本当の実力者である妹と改めて婚約する」
「そんな……ッ!」
「君が悪いんだぞ。妹よりも魔法使いとしての腕が劣っている、君が!」
「ですから、それは」
「もう決まったことだ。王妃として相応しいのは、ルイーゼの方だっ!」
回復魔法について説明しようとしても、彼は聞く耳を持たなかった。私のことを劣っていると思い込んで、切り捨てるつもり。そう決めていた。私を大声で威圧して、自分の意見を押し通す。
「これで話は終わりだ。さっさと出て行け」
こうして私は、一方的に婚約破棄を告げられた後、マクシミリアン王子に部屋から追い出された。
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