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第8話 ※クリストフ視点
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※※ クリストフ視点 ※※
「なら私が、お姉さまを説得してみせます」
「説得?」
「はい! 貴族の令嬢として、剣なんかにうつつを抜かしちゃダメだって」
「君が言ったところで、彼女が剣をやめるだろうか?」
説得するとジョスリーヌは言うけれど、成功するとは思えない。何か秘策があるのだろうか。
「両親にも協力してもらって、それでもダメなら……」
「ダメなら?」
「クリストフ様は、お姉さまに婚約破棄を言い渡してください」
「婚約破棄だと!?」
思いも寄らない方法に、俺は声を上げてしまった。
「はい。婚約破棄です」
「いや、しかしなぁ……。彼女との婚約を破棄して、どうするんだ?」
「私が替わりに、クリストフ様の婚約相手となります」
「君が?」
姉のセレスティーヌに比べると、明るくて人当たりがいい。結婚する相手として、とても魅力的だと思う。妻として、ちゃんと俺のことを立ててくれそうだし。
妹に婚約相手を替えるというのも、ちゃんと話し合えば両家の関係も悪化しないと思う。
「お姉さまは、クリストフ様に婚約破棄を告げられてショックを受けると思います。女としての魅力が欠けていると自覚するでしょう。そしたら、剣に夢中だった自分のことも恥ずかしくなるはず」
「なるほど」
「それに、クリストフ様との婚約が破棄になったら新しい婚約相手を探すのに忙しくなると思います。剣の練習なんかしている時間も無くなるぐらい」
「なるほどな!」
セレスティーヌに余裕を無くさせるのか。とても良さそうな方法だと思う。
別に、セレスティーヌを俺の妻にする必要なんて無かったのか。それよりも、妹のジョスリーヌが妻となって俺を支えてくれるほうが明るい未来のように思えた。今のように、問題を解決しようと協力してくれるから。
必要なことは、俺よりも強いセレスティーヌが居なくなること。
だから、ジョスリーヌの提案を受け入れる。それで俺の望む展開となってくれると思ったから。
「よし。それじゃあまず、セレスティーヌを説得してくれるか?」
「はい。私が、なんとかしてみせます。その代わり、説得がダメだった場合に備えた準備も進めておいて下さい」
「わかった。婚約については、両親と話し合ってみるよ」
「お願いします!」
多分、説得は失敗してセレスティーヌに婚約破棄を告げることになりそうだ。
ジョスリーヌは嬉しそうに笑った。俺との結婚に、かなり積極的だった。おそらく彼女は俺に惚れている。婚約破棄に誘導したのも、姉を押しのけて自分が結婚したいと思ったからだろう。彼女の目的は、何となく気付いていた。
だけど、俺にとっても得がある。セレスティーヌが剣をやめれば脅威が無くなり、結婚する相手も魅力的な女性に替わる。
ここまで素直に好きという気持を向けられるのは、なかなか良いものだと思った。姉のセレスティーヌは、こんなに素直じゃないから新鮮だ。
ここ数日ほど俺の頭を悩ませていた問題も解決しそうで、心が晴れやかになる。
「なら私が、お姉さまを説得してみせます」
「説得?」
「はい! 貴族の令嬢として、剣なんかにうつつを抜かしちゃダメだって」
「君が言ったところで、彼女が剣をやめるだろうか?」
説得するとジョスリーヌは言うけれど、成功するとは思えない。何か秘策があるのだろうか。
「両親にも協力してもらって、それでもダメなら……」
「ダメなら?」
「クリストフ様は、お姉さまに婚約破棄を言い渡してください」
「婚約破棄だと!?」
思いも寄らない方法に、俺は声を上げてしまった。
「はい。婚約破棄です」
「いや、しかしなぁ……。彼女との婚約を破棄して、どうするんだ?」
「私が替わりに、クリストフ様の婚約相手となります」
「君が?」
姉のセレスティーヌに比べると、明るくて人当たりがいい。結婚する相手として、とても魅力的だと思う。妻として、ちゃんと俺のことを立ててくれそうだし。
妹に婚約相手を替えるというのも、ちゃんと話し合えば両家の関係も悪化しないと思う。
「お姉さまは、クリストフ様に婚約破棄を告げられてショックを受けると思います。女としての魅力が欠けていると自覚するでしょう。そしたら、剣に夢中だった自分のことも恥ずかしくなるはず」
「なるほど」
「それに、クリストフ様との婚約が破棄になったら新しい婚約相手を探すのに忙しくなると思います。剣の練習なんかしている時間も無くなるぐらい」
「なるほどな!」
セレスティーヌに余裕を無くさせるのか。とても良さそうな方法だと思う。
別に、セレスティーヌを俺の妻にする必要なんて無かったのか。それよりも、妹のジョスリーヌが妻となって俺を支えてくれるほうが明るい未来のように思えた。今のように、問題を解決しようと協力してくれるから。
必要なことは、俺よりも強いセレスティーヌが居なくなること。
だから、ジョスリーヌの提案を受け入れる。それで俺の望む展開となってくれると思ったから。
「よし。それじゃあまず、セレスティーヌを説得してくれるか?」
「はい。私が、なんとかしてみせます。その代わり、説得がダメだった場合に備えた準備も進めておいて下さい」
「わかった。婚約については、両親と話し合ってみるよ」
「お願いします!」
多分、説得は失敗してセレスティーヌに婚約破棄を告げることになりそうだ。
ジョスリーヌは嬉しそうに笑った。俺との結婚に、かなり積極的だった。おそらく彼女は俺に惚れている。婚約破棄に誘導したのも、姉を押しのけて自分が結婚したいと思ったからだろう。彼女の目的は、何となく気付いていた。
だけど、俺にとっても得がある。セレスティーヌが剣をやめれば脅威が無くなり、結婚する相手も魅力的な女性に替わる。
ここまで素直に好きという気持を向けられるのは、なかなか良いものだと思った。姉のセレスティーヌは、こんなに素直じゃないから新鮮だ。
ここ数日ほど俺の頭を悩ませていた問題も解決しそうで、心が晴れやかになる。
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