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28 仙台の城にて
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俺たちはノブタダの用意したカゴに乗り仙台城に入った。
もちろん、城といっても俺たちが通されたのは天守閣のある城ではない。平屋の屋敷のほうだ。
通された部屋からは綺麗に手入れされた庭が眺められた。
もちろん畳の部屋だ。
「こちらで、しばらくお待ちください。すぐに参ります」
何か手配があるのかノブタダは出直すようだ。
「そういえば、藤原と言うと平泉の?」
「はい。その通りで御座います。我らは、平泉の藤原を継ぐもので御座います」
なるほど。結構、話が通じるようだ。
* * *
しばらくするとノブタダが戻って来た。
「失礼します」
見るとすっかり着替えていた。
ただ、正装なのか和服と洋服の中間のような服装だった。もしかすると近代化は始まっているのかも知れない。
「ただいま飲み物を用意させていますので、しばらくお待ちください」なるほど。
やはり俺たちの世界のように簡単にはいかないようだ。
「そうだ、名乗って無かったが俺はリュウ、こちらは連れのレジン、メリス、ユリ、シナノ、それとセリー」
「は、この度のご光臨……」
「ちょっと、待て。だから神じゃない」
「はっ? ですが、空より降りて来られました」それを言われると弱い。
「確かに、分かりにくいと思うわよ」メリスが注意した。
しかし、全部を正直に話しても、まず理解できないよな?
「リュウ殿、ここは私にお任せください」とレジン。リュウ殿って。
「そ、そうか? 分かった」
レジンに何か名案があるらしい。それならと、お願いした。
「では、ノブタダさん」
「はっ」
「私たちは、神のしもべです」まぁ、人間はみんなそうかも。
「やはりそうでしたか」
ノブタダ、大きく頷く。自分の考えに近いので納得してくれたようだ。
「ですが、神よりこの地へ『試練』として遣されました」
「な、なんと。『試練』と?」
「そうです、我々は『神の試練』としてこの地にやって来たのです」
「はい」ちょっと神妙な顔になるノブタダ。
神を『多重世界』とすれば、確かに嘘は言っていない。
「ですが、やるべきことは明確には示されておりません。それを探るのも試練の内なのです」
「なるほど」
「しかし我々はこの地の事を知りません。そこで、城主のノブタダさんに協力してもらいたいのですが、お願いできるでしょうか?」
「もちろんです。このノブタダ、身命を賭してお役に立ちます」
まぁ、ノブタダから見たら神様みたいなもんだからな。
「ありがとう。頼りにしています」
神様のほうから来ましたとかって、ほとんど詐欺じゃん。
「滅相もないことでございます。これ以上ない誉れに御座います」
うん、話は纏まったけど、これでいいんだろうか? まぁ、無駄に混乱させるよりいいか。ごめんノブタダ。後で詫び入れる。きっと。
とりあえず、城主のノブタダから協力の約束を貰えた。これで自由に動けるだろう。
* * *
まずは、この世界の情報を集めるしかない。その意味では最高の状況ではある。
「レジンのお陰だな。どうなるかと思ったよ」
俺は素直に感謝して言った。
「これで、この世界まで来た甲斐があったと言うものです」
レジンは、ちょっと意味深な笑みを浮かべて言った。
あれ? レジンが転移した理由でいじり過ぎたか?
「まずは、ゆっくり休もう。畳の上の布団で寝るのは初めてだ」
「私も、初めてです」レジンも同じらしい。
「私たちも」メリスとユリもだ。
「あ、私は一度あります」これはシナノだ。
「へぇ~、そんなことあったんだ」
「セリーの家にあるんです。ね?」
「ええ。古い家なので」
「あんなに進んだ世界なのに、面白いね」
思わず世界Rと比較する俺。セリーって意外と旧家の出なのかな? 名前からは想像できないが。
世界Rと世界Lじゃ物凄い差だと思ってたが、こんな事もあるんだな。
そんな話で初めての夜は盛り上がるのだった。
もちろん、城といっても俺たちが通されたのは天守閣のある城ではない。平屋の屋敷のほうだ。
通された部屋からは綺麗に手入れされた庭が眺められた。
もちろん畳の部屋だ。
「こちらで、しばらくお待ちください。すぐに参ります」
何か手配があるのかノブタダは出直すようだ。
「そういえば、藤原と言うと平泉の?」
「はい。その通りで御座います。我らは、平泉の藤原を継ぐもので御座います」
なるほど。結構、話が通じるようだ。
* * *
しばらくするとノブタダが戻って来た。
「失礼します」
見るとすっかり着替えていた。
ただ、正装なのか和服と洋服の中間のような服装だった。もしかすると近代化は始まっているのかも知れない。
「ただいま飲み物を用意させていますので、しばらくお待ちください」なるほど。
やはり俺たちの世界のように簡単にはいかないようだ。
「そうだ、名乗って無かったが俺はリュウ、こちらは連れのレジン、メリス、ユリ、シナノ、それとセリー」
「は、この度のご光臨……」
「ちょっと、待て。だから神じゃない」
「はっ? ですが、空より降りて来られました」それを言われると弱い。
「確かに、分かりにくいと思うわよ」メリスが注意した。
しかし、全部を正直に話しても、まず理解できないよな?
「リュウ殿、ここは私にお任せください」とレジン。リュウ殿って。
「そ、そうか? 分かった」
レジンに何か名案があるらしい。それならと、お願いした。
「では、ノブタダさん」
「はっ」
「私たちは、神のしもべです」まぁ、人間はみんなそうかも。
「やはりそうでしたか」
ノブタダ、大きく頷く。自分の考えに近いので納得してくれたようだ。
「ですが、神よりこの地へ『試練』として遣されました」
「な、なんと。『試練』と?」
「そうです、我々は『神の試練』としてこの地にやって来たのです」
「はい」ちょっと神妙な顔になるノブタダ。
神を『多重世界』とすれば、確かに嘘は言っていない。
「ですが、やるべきことは明確には示されておりません。それを探るのも試練の内なのです」
「なるほど」
「しかし我々はこの地の事を知りません。そこで、城主のノブタダさんに協力してもらいたいのですが、お願いできるでしょうか?」
「もちろんです。このノブタダ、身命を賭してお役に立ちます」
まぁ、ノブタダから見たら神様みたいなもんだからな。
「ありがとう。頼りにしています」
神様のほうから来ましたとかって、ほとんど詐欺じゃん。
「滅相もないことでございます。これ以上ない誉れに御座います」
うん、話は纏まったけど、これでいいんだろうか? まぁ、無駄に混乱させるよりいいか。ごめんノブタダ。後で詫び入れる。きっと。
とりあえず、城主のノブタダから協力の約束を貰えた。これで自由に動けるだろう。
* * *
まずは、この世界の情報を集めるしかない。その意味では最高の状況ではある。
「レジンのお陰だな。どうなるかと思ったよ」
俺は素直に感謝して言った。
「これで、この世界まで来た甲斐があったと言うものです」
レジンは、ちょっと意味深な笑みを浮かべて言った。
あれ? レジンが転移した理由でいじり過ぎたか?
「まずは、ゆっくり休もう。畳の上の布団で寝るのは初めてだ」
「私も、初めてです」レジンも同じらしい。
「私たちも」メリスとユリもだ。
「あ、私は一度あります」これはシナノだ。
「へぇ~、そんなことあったんだ」
「セリーの家にあるんです。ね?」
「ええ。古い家なので」
「あんなに進んだ世界なのに、面白いね」
思わず世界Rと比較する俺。セリーって意外と旧家の出なのかな? 名前からは想像できないが。
世界Rと世界Lじゃ物凄い差だと思ってたが、こんな事もあるんだな。
そんな話で初めての夜は盛り上がるのだった。
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