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神界派閥抗争編
70 消えた使徒を探せ!
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神の力であるリセット、正しくは神界リセットだが、真相究明のためにはこの神界リセットを無効化した真犯人を探す必要がある。
真犯人が判明すれば惑星リセットを回避できるかもしれないからだ。
今日は珍しく執務室にアリスが来ていた。
なんだか普通の雰囲気と違う気がする。まぁ、いいか。今から神界リセットをキャンセルした犯人捜索の打ち合わせだから。
とはいえ深刻ぶっても何も解決しない。頭は常に柔軟な状態を保持しなければならない。
「では、事件の足取りを追ってみよう。アリス君」名探偵気取りの俺。
「なによ」
「って、せっかく雰囲気出してるのに台無しなんだけど?」
「あら、そうだったの? 早く言ってよ~っ」
「もしかして、見た目は子供の動画見てないの?」
「あ~、じっちゃんの?」
「あ、それ違うやつ」
「いろいろあるのね」
「もっとあるよ」
「ふ~じ〇ちゃんっ♪とかいう奴?」
「それ犯人だから」
「もう、いいわ」
* * *
そもそも、女神アリスが担当する前の神の話なのでアリスも聞いただけなのだが、それによると前神もアリスと同じように使徒を別世界から召喚して世界の衰退の原因を調査していたらしい。
どっちの女神様も意外とマメだな。不干渉主義じゃなかったんか?
「で、前の神様の時点で、原因不明の衰退をしていたわけだ」
「そうなのよ。おバカな民族が自滅するだけなら放っておくけど、そうじゃなかったってわけね。少なくとも調査する必要があったってこと」
「そういう話を、ちゃんとしてくれる女神様とすっ飛ばす女神様がいますね」
「なによ。大体合ってるでしょ」アリスって、アバウトな女神様だよな?
「大体は」
「なら、いいじゃない」妙に自信満々。
「わかった。次いこう」
「その使徒は何年も調査していたみたい。で、やっと魔法共生菌に到達した時には手遅れになっていたってわけ」
「ああ、もうディストピアになっていたと」
「そうね」
「今なら、女神様のフルパワーで戻せるって分かるけど、そのときには分からなかっただろうな」
「そうね。あのパラメータは本来の使い道と違うからね」
「そうなんだ。じゃ、焦っただろうな」
「そうね。それで神界評議会は『神界リセットの必要あり』と判断したわけ」
「ああ、そういうわけか」
「でも、当時の担当神はなかなか実行に踏み切れなかったみたい」
「俺たちみたいにあがいたのか。前の使徒も頑張ったんだろうな」
「それが、調査中に亡くなったらしいの」
「亡くなった? 使徒が? そんなことあるのか?」
「不思議よね」
「ええっ? だって俺達って女神様の加護があるんだろ?」俺はさすがに驚いて聞いた。
「神力がある限りはね」
「あっ、そうか。神力が切れた場合はだめか」
確かに、全ては神力あっての話だからな。
「そうなのよ」
「でも、使徒の場合、神力はなくならないだろう? おかしいだろ」
「そこなのよ。彼女が言うには、魔法共生菌に襲われたんじゃないかって。消息を絶つとき、魔法を使ったようなノイズに包まれたそうよ。それ以降連絡出来なくなったって」
「それって、女神様の問いかけに応えなくなったってこと?」
「そうね」
「なるほど」
「それで、そんな恐ろしい魔法共生菌は直ぐ消すべきだと神界評議会の決定通り神界リセットを決行したらしいわ」
「確かに、地上に顕現した使徒を襲って殺すならヤバイよな」
「でしょ?」
「ふむ。リセットに至る道は大体わかった。次は、その時何が起こったかだ」
「そうね」
「そうなると」
「そうなると?」
「その現場にいたのは」
「うん」
「その使徒なんじゃない?」
「それはそうでしょ」
「その、行方不明の使徒が一部始終を見ているような気がする」
「そうだけど」
「なんとか探せないかな?」
「生きてるかもって思ってるの?」
「だって、魔法共生菌だよ? 子供相手ならまだしも大人の俺達で死んだりしないだろ? 特に使徒なんだし」
「そ、そうね!」
「当時は危険性が分からなかったから、そう判断したのかも知れないけど、今だったら使徒が死んだりしないって分かるだろ?」
「確かにそうね。じゃ、どこかで生きていると?」
「たぶんね。名前はわかる?」
「ミスズ・シイナだって」
* * *
また、大きな発見があった。
なんだよ。初めから言っとけよ。
「椎名美鈴って、俺と同じ世界から召喚したのかよ」
「ああ、そうね。私がリュウジを召喚したのってミスズの意見を参考にしたからよ」
「美鈴が?」
「そう。『召喚するなら、もっと適任者がいたのに』って言ってたの」
「ほう。で、その条件で俺を召喚したってことか。それにしては適任じゃないんだけど? アリスは、椎名美鈴に会ったことあるんだ」
「そうね。一度だけ、ちょっと話したことあるのよ」
「ああ。それで、あいうえお順とか知ってたのか」
「えっ? 違うわよ。彼女とは一度神界に戻った時に会っただけだし。その後は地上界に行ったきりだと思う」
「顕現したままか」
「普通はそうよ。あんたと私が異常なの。色々知ってたのは、リュウジを召喚した時、まだ寝ている間にスマホやタブレットを見たからよ。説得前の下準備にね」
「あ~っ。あの時って、召喚された直後じゃなかったんだ。自分だけ下準備って、ずるいぞ」
「そうね。ごめんなんさい」
「もう、今更だけど。なんか色々勘違いとかしてそうで怖いなぁ」
「そうかなぁ?」
「アバウトな女神様だしなぁ」
「ひ、ひどい。ぷんぷんっ」
「いや、『ぷんぷんっ』て。それも、あの時のアリスからは想像も出来ないし」
「ぷっ。まぁ、あの時は私もちょっと固くなってたのよ。担当神になったばかりだし」
「そうなのか。まぁ、とにかくまずは、その使徒を探すことにしよう。彼女が消えた場所は?」
「それが、この街らしいの」
「ほう、偶然の一致? そんな訳ないよな」
「そうね。本名でいるかどうかは分からないけど、何故か神界から見えない状態でいるってことよね?」
「うん。そこが分からないところだな」
椎名美鈴の置かれていた状況も分かってきた。これなら会って詳しい話を聞けるだろうと思う。
真犯人が判明すれば惑星リセットを回避できるかもしれないからだ。
今日は珍しく執務室にアリスが来ていた。
なんだか普通の雰囲気と違う気がする。まぁ、いいか。今から神界リセットをキャンセルした犯人捜索の打ち合わせだから。
とはいえ深刻ぶっても何も解決しない。頭は常に柔軟な状態を保持しなければならない。
「では、事件の足取りを追ってみよう。アリス君」名探偵気取りの俺。
「なによ」
「って、せっかく雰囲気出してるのに台無しなんだけど?」
「あら、そうだったの? 早く言ってよ~っ」
「もしかして、見た目は子供の動画見てないの?」
「あ~、じっちゃんの?」
「あ、それ違うやつ」
「いろいろあるのね」
「もっとあるよ」
「ふ~じ〇ちゃんっ♪とかいう奴?」
「それ犯人だから」
「もう、いいわ」
* * *
そもそも、女神アリスが担当する前の神の話なのでアリスも聞いただけなのだが、それによると前神もアリスと同じように使徒を別世界から召喚して世界の衰退の原因を調査していたらしい。
どっちの女神様も意外とマメだな。不干渉主義じゃなかったんか?
「で、前の神様の時点で、原因不明の衰退をしていたわけだ」
「そうなのよ。おバカな民族が自滅するだけなら放っておくけど、そうじゃなかったってわけね。少なくとも調査する必要があったってこと」
「そういう話を、ちゃんとしてくれる女神様とすっ飛ばす女神様がいますね」
「なによ。大体合ってるでしょ」アリスって、アバウトな女神様だよな?
「大体は」
「なら、いいじゃない」妙に自信満々。
「わかった。次いこう」
「その使徒は何年も調査していたみたい。で、やっと魔法共生菌に到達した時には手遅れになっていたってわけ」
「ああ、もうディストピアになっていたと」
「そうね」
「今なら、女神様のフルパワーで戻せるって分かるけど、そのときには分からなかっただろうな」
「そうね。あのパラメータは本来の使い道と違うからね」
「そうなんだ。じゃ、焦っただろうな」
「そうね。それで神界評議会は『神界リセットの必要あり』と判断したわけ」
「ああ、そういうわけか」
「でも、当時の担当神はなかなか実行に踏み切れなかったみたい」
「俺たちみたいにあがいたのか。前の使徒も頑張ったんだろうな」
「それが、調査中に亡くなったらしいの」
「亡くなった? 使徒が? そんなことあるのか?」
「不思議よね」
「ええっ? だって俺達って女神様の加護があるんだろ?」俺はさすがに驚いて聞いた。
「神力がある限りはね」
「あっ、そうか。神力が切れた場合はだめか」
確かに、全ては神力あっての話だからな。
「そうなのよ」
「でも、使徒の場合、神力はなくならないだろう? おかしいだろ」
「そこなのよ。彼女が言うには、魔法共生菌に襲われたんじゃないかって。消息を絶つとき、魔法を使ったようなノイズに包まれたそうよ。それ以降連絡出来なくなったって」
「それって、女神様の問いかけに応えなくなったってこと?」
「そうね」
「なるほど」
「それで、そんな恐ろしい魔法共生菌は直ぐ消すべきだと神界評議会の決定通り神界リセットを決行したらしいわ」
「確かに、地上に顕現した使徒を襲って殺すならヤバイよな」
「でしょ?」
「ふむ。リセットに至る道は大体わかった。次は、その時何が起こったかだ」
「そうね」
「そうなると」
「そうなると?」
「その現場にいたのは」
「うん」
「その使徒なんじゃない?」
「それはそうでしょ」
「その、行方不明の使徒が一部始終を見ているような気がする」
「そうだけど」
「なんとか探せないかな?」
「生きてるかもって思ってるの?」
「だって、魔法共生菌だよ? 子供相手ならまだしも大人の俺達で死んだりしないだろ? 特に使徒なんだし」
「そ、そうね!」
「当時は危険性が分からなかったから、そう判断したのかも知れないけど、今だったら使徒が死んだりしないって分かるだろ?」
「確かにそうね。じゃ、どこかで生きていると?」
「たぶんね。名前はわかる?」
「ミスズ・シイナだって」
* * *
また、大きな発見があった。
なんだよ。初めから言っとけよ。
「椎名美鈴って、俺と同じ世界から召喚したのかよ」
「ああ、そうね。私がリュウジを召喚したのってミスズの意見を参考にしたからよ」
「美鈴が?」
「そう。『召喚するなら、もっと適任者がいたのに』って言ってたの」
「ほう。で、その条件で俺を召喚したってことか。それにしては適任じゃないんだけど? アリスは、椎名美鈴に会ったことあるんだ」
「そうね。一度だけ、ちょっと話したことあるのよ」
「ああ。それで、あいうえお順とか知ってたのか」
「えっ? 違うわよ。彼女とは一度神界に戻った時に会っただけだし。その後は地上界に行ったきりだと思う」
「顕現したままか」
「普通はそうよ。あんたと私が異常なの。色々知ってたのは、リュウジを召喚した時、まだ寝ている間にスマホやタブレットを見たからよ。説得前の下準備にね」
「あ~っ。あの時って、召喚された直後じゃなかったんだ。自分だけ下準備って、ずるいぞ」
「そうね。ごめんなんさい」
「もう、今更だけど。なんか色々勘違いとかしてそうで怖いなぁ」
「そうかなぁ?」
「アバウトな女神様だしなぁ」
「ひ、ひどい。ぷんぷんっ」
「いや、『ぷんぷんっ』て。それも、あの時のアリスからは想像も出来ないし」
「ぷっ。まぁ、あの時は私もちょっと固くなってたのよ。担当神になったばかりだし」
「そうなのか。まぁ、とにかくまずは、その使徒を探すことにしよう。彼女が消えた場所は?」
「それが、この街らしいの」
「ほう、偶然の一致? そんな訳ないよな」
「そうね。本名でいるかどうかは分からないけど、何故か神界から見えない状態でいるってことよね?」
「うん。そこが分からないところだな」
椎名美鈴の置かれていた状況も分かってきた。これなら会って詳しい話を聞けるだろうと思う。
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