俺たちの誓い

八月 美咲

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 今日、暖に乳首を舐められて、あそこを触られた。

 もしかして暖は、男の身体に興味があるのだろうか? 暖が時折見せる、琥珀の知らない何かを隠し持っているような、瞳の奥の暗い影、その正体はこれなのだろうか。

 もしそうだったら、それはとても辛いことに違いない。世の中変わったといっても、自分だったら夜も眠れないほど悩むだろう。

 暖には一メートル以上近づくなと言われてしまったが、今日みたいに触るだけだったら別によかったのに。最後までは無理だけど、それで暖の欲求が少しでも満たされるなら、それくらいなんともないのに。

 だって自分は暖の親友なのだから。

 次の日、暖にそのことを伝えると、暖は複雑な顔をした。

 けれどはっきりとした不快感を抱いているのには間違いなかった。

「琥珀、おまえ一回死んでこい。そうじゃないとお前の馬鹿は治らない。俺はゲイじゃないし男の身体になんか興味ない」

「じゃあなんで、キスとかあんなことしたんだよ」

 暖に詰め寄ろうとすると、足元を指さされた。

「一メートル!」

 待てをする犬のように琥珀はピタリと動きを止めた。

「よし」

 暖は満足そうにうなづいた。




 残りの夏休み、それまでの夏休みがそうだったように琥珀はほぼ毎日暖と会って遊んだ。

 けれど遊びの内容は今までと大きく違った。

 夏といったら海やプールだろう。夏と水は切り離せない。

 なのに暖はことごとくそれらの遊びをするのを嫌がった。

「泳げない琥珀と一緒に行ったって面白くない」

 それが理由だったが、運動音痴の琥珀が泳げないのは今に始まったことではない。

 今までと違うのはそれだけではなかった。

 暖に一メートル以上近づけなくなったことで、琥珀は暖の自転車の後ろに乗れなくなった。それまではどこに行くのにも、暖の自転車だったのに。

 一メートル以上近づくなだなんて、まるで嫌われているみたいじゃないか。

 そう思ったが、水のあるところに一緒に行ってくれないことと、一メートルを除けば、暖は今まで通りの暖だった。

 いや、正確に言えば、以前より琥珀に優しくなったような気がする。スキンシップがなくなった分、暖の視線が琥珀に向けられていることが多くなったと思う。

 そしてその目が、とても温かいのだ。

 普段の暖の目はどちらかといったら鋭い。(それが女子に人気だ)その暖の目が琥珀を見つめる時、甘く潤む。

 暖にそんな目で見られると、琥珀はなんだか落ち着かない気分になってそわそわしてしまう。

 女の子が暖にあんな目で見られたら、ひとたまりもないんじゃないだろうか。男の琥珀だってドキドキするくらいだから。

 ドキドキ。

 そう、なんだか最近琥珀は暖にドキドキする。

 元々暖はイケメンだが、最近は目に見えないキラキラした粉が降りかかっているように琥珀には見える。

 男の友情も極まってくるとこんなふうに相手が見えるようになるのだろうか。
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