没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活

アイアイ式パイルドライバー

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4章・大鷲は嵐に乗って大空へ

運命

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 王都ラクマージへ、ルーガ軍を先陣にサリオン軍が攻めたのは、秋終わり、冬へ入ろうかという時であった。

 ラクマージでは激しい戦いが行われたが、苛烈だからこそ、決着は存外早くついた。

 せいぜい一週間程の戦いだったのだ。

 サニヤもルーガ軍の一員として参加した。
 初陣である。

 騎兵突撃を行う部隊の指揮を任されたサニヤは、迎撃に出た敵軍へ突撃を行うも、馬を敵の長槍(パイク)に突かれてしまい落馬。
 危うく敵兵の剣に突き殺されそうになった所、落ちていた剣を拾って敵の兜に一撃を見舞ったのである。

 敵兵の兜は大きくひしゃげ、フェイスガードに付けられた呼吸や視界確保用の穴から血が噴き出ると、痙攣しながら敵は倒れた。

 しかし、前線で落馬したため、周囲は敵だらけ。
 フェイスガードから見える狭い世界には槍や剣を向ける敵がひしめいている。
 殺意を向ける壁とも言うべきその光景に、サニヤは竦み、恐怖した。
 直後、第二陣の騎馬突撃を指揮していたガラナイに助けられて サニヤは一命を取り留めたのである。

 これがサニヤの初殺人であり、初戦功であり、この戦いにおける唯一の活躍だった。

 人を殺した感触と、まさに殺されるかも知れなかった景色。
 右も左も敵だらけな場所で、もしもガラナイが助けてくれなかったら……。
 その超現実的な感覚に、サニヤは再び前線に出ることが出来ず、その後はもっぱら後方支援につとめたのであった。

 お父様も、ガラナイも、ルーガも……皆、こんな怖い事をしてたの?

 人の悪意が蔓延する、この戦場というものから逃げ出したかった。
 人生で初めて、母リーリルの元へと帰りたいと思った。
 今までに無いほど、父カイエンに会いたいと思った。
 サニヤは人生で初めて、誰かに庇護されたいと思うのであった。

 一方、そのカイエンは、サリオンがマルダークに反乱を起こした事、そして王都ラクマージが陥落している事など知らずに居たのである。

 オルブテナ王国との戦いは、当初は電撃戦を仕掛けたものの失敗。
 一時には黒い森の手前まで撤退したものの、ハーズルージュから増援を受けながら敵軍にゲリラ攻撃を仕掛けたのだ。
 カイエン軍が部隊を小隊という小さな単位から編成していた為に出来た戦略だと言えるだろう。

 そうして、ゲリラ攻撃を仕掛けつつ、敵軍の隙をついては拠点を一つ一つ落としたのだ。

 ついにオルブテナ王国の王都の近くまで攻め込んだのが今から半年前。
 しかし、今の彼は王都ラクマージへ向かって行軍していた。
 サリオンが反乱を起こす直前の時期、カイエンの元へ王都から一人の使いがやって来たのだ。

 カイエンはその使いを見て驚いた。
 
 口髭を香油で固め、人を見下すような目つきの小太りな男。
 バンドラである。

 頭はだいぶ禿げ上がっているが、その顔を忘れよう筈もなく、八年ぶりの再会にカイエンは嬉しく思う。

 しかし、彼は再会を喜ぶカイエンと違い、見下したような眼でハンと鼻で笑い「他領地から領民を奪った嫌疑が掛けられている。ただちに登城せよ」と言うのだ。

 彼は貴族専門の馬車御者から、その功績が認められて王都貴族専門の使者になったのである。
 もっとも、その功績とは四年前に反カイエン派の貴族へリーリル達の居場所を教えた事なのである。それは誰も知るよしの無い事であるが。

 しかしとにかく、バンドラは、カイエンの罪状は誘拐と簒奪だと言う。
 何でも、開拓村の領主がカイエンに領民を盗られていると訴えたのだという事であった。

 確かに、開拓村の自警団は定期的にハーズルージュへやって来て、カイエン軍に傭兵として雇われていた。
 カイエン軍の雑兵の中枢はもはや、開拓村の自警団だったと言っても良い。

 しかし、カイエンが八年前にハーズルージュの領主に任命された時、開拓村の領主もまた別の人物が任命されていた。
 つまり、開拓村の人々は、既にカイエンの領民では無いのである。
 そして、民とは領主にとって財産だ。
 労働力、生産力、税収。
 全ては人口が多い程、増益である。
 なので、開拓村の人々がハーズルージュへ定期的に大移動されると、開拓村の領主は困った事になるのだ。

 そして、それが反カイエン派の貴族の付け入る隙を与えてしまったのだ。
 なにせ防府太尉にカイエンを就けても良いという可能性が王都で議論されてしまい、おまけにカイエンが本当にオルブテナ王国を攻め落とせそうだったのであるから、カイエンを許せない貴族としては一刻も早くカイエンをどうにかしたい状況だったのである。

 だから、まず、カイエンを他領主の領民の簒奪で呼び戻し、その上でオルブテナ王国から敵前逃亡したと責め立てるつもりだ。

 もちろん、その程度の事でマルダーク王がカイエンを責める事は無いであろうが、貴族にとって重要なのは王がカイエンに対して悪印象を持つことで有り、印象操作しようというつもりだったのである。

 しかし、なんにせよ、カイエンは王都ラクマージへ来いと命令されれば、行かねばなるまい。
 カイエンはすぐさま、オルブテナ王国と停戦協定を結び、王都へ向けて引き返したのである。
 この停戦協定もカイエンの外交能力が光るものであり、王都近辺から撤退する代わりに黒い森周辺の領土を貰いたいと、強気な態度に出ることで、オルブテナ王国に弱味を悟られないようにしたのだ。

 こうして後顧の憂いを絶ったカイエンは王都へ移動していたのである。

 ハーズルージュをロイバックと兵に任せて、カイエンは五十程の手勢に、シュエンとサマルダを連れていた。

 シュエンを連れてきたのは、彼の腕っぷしがカイエン軍において一番強く、護衛に最適だったからである。
 カイエンだって馬鹿では無いので、この呼び出しが何らかの悪意によって行われていて、そのために暗殺の危険性があることを承知していたのだ。

 そして、サマルダを連れてきたのは、何かと欲望に忠実で暴走しがちなシュエンの監視役である。
 サマルダは武力も知力も人並みの男であるが、カイエンの忠臣であり、カイエンが最も信頼する男だ。
 それに、皆で協力して築き上げた平和な村で育ったお陰か、倫理観も強い。
 なので、サマルダに流される事無く、彼を止める事が出来るのである。

 そうして王都を目指して数ヶ月。
 冬に入ろうかというその時点でようやく道半ばであった。
 王都からハーズルージュへ向かった時は一ヶ月も無い道程だったのに、なぜこんなに時間が掛かっているのかというと、カイエン達が軍馬を殆ど持ってない為、徒歩移動だった事。
 そしてもう一つ、いくら百人程度とはいえ、軍は軍であるため、誰かしらの領土を通る度にその領主へ、通行の許可を貰っていたためである。

 バンドラはその都度、「通行の許可くらい、私がやりますのに」と言った。
 しかし、バンドラはすでに反カイエン派に懐柔されているであろうゆえ、任せたらどんな失敗をされてしまうやら。
 なので彼に任せる訳にはいかなかった。

 そんなある時、サルダラという町でカイエンは足止めを食ってしまう。
 その町の領主が、今は大変な時期だからとカイエン達の通行を認可しなかったのだ。

「辺境伯はおしなべて世情に疎いとは本当なのですな」

 王都の情報が届きづらい辺境に居るから辺境伯であるからして、世情に疎いのは当然の事であろう。

 しかし、カイエンがあくまでも無知ゆえに、通行出来ない理由を知りたいという態度で出ると、領主はカイエンが下手に出た事に気をよくして王都で反乱があったのだと説明した。

 東方の我々は様子見をしていたが、王都ラクマージが陥落したというので反乱の側へ付く。これからマルダーク王の残党を捕まえるのに忙しくなるから、五十人程とは言えカイエン軍を領内に通すと面倒くさい事態になるのだという。

「反乱? 陥落……その話を詳しく教えて下さい」とカイエンが聞くも「私達だって詳しい話は知らぬ。さっさと帰ってくれ」と追い返されてしまったのである。

 そう言われて無理に通る訳にもいかず、カイエンはひとまずその町から出て行った。 
 町の外に待機させていた皆の元へと戻ると、カイエンはその旨を説明したのである。

 それに驚いたのはバンドラだ。 
「王都陥落ですと!?」と声を上げて衝撃を受けたのである。

 彼は名誉欲が高く、そのため、必死に王都の貴族へ取り入ってきたのに王都陥落と聞いては全ては水泡に帰した。
 なので「私は何のために今まで頑張って来たというのですか!」と嘆いたのである。

 バンドラの嘆きは置いておくとして、果たしてこれからどうするのかとサマルダが聞いた。

 マルダークが負けたなら、カイエンが王都へ行く意味も無いだろう。
 ハーズルージュへ戻っても良いのであるが、カイエンとしてはサニヤ達の行方が気になった。

 カイエンの考えでは、ルーガは恐らく、マルダーク軍の先鋒として反乱軍と戦い見事な討ち死にを遂げたと思う。
 しかし、あのルーガの事だから、きっとサニヤやリーリルを安全な場所に逃がしてくれたに違いない。

 それを信じて、事が収まるまでハーズルージュへ引きこもっているのが良いだろうとカイエンは考えるのであった。

「ハーズルージュへ戻りましょう」

 カイエンはそう決断する。
 いや、決断というにはあまりに当然な考えではあったが。

 しかし、そんなカイエン達に「待って下さい」とバンドラが異を唱えたのだ。
 
 一体何事かと思えば「王都には私の妻と子が居るのです!」の訴えたのである。

 シュエンが彼の言葉にイラついて「だからなんだよ。俺たちは義理も義務もねえんだぞ」と怒鳴りつけた。
 全くもってその通りだ。
 バンドラは王都の使者でしかなく、カイエン達の仲間では無いのである。

 しかし、カイエンは溜息一つ、サマルダを呼ぶと、十人程の手勢を率い、傭兵団に扮して王都へ向かうように伝えた。

 これにはさすがのサマルダも嫌な顔をして「あの小物を助けるんですかぃ?」と聞く。

「サマルダだって、妻や子が居るでしょう?」

 実を言うと、サマルダは開拓村にて既に結婚していたのである。

 カイエン軍に雇われた自警団には二つのタイプがおり、家族を連れてきたり、あるいはハーズルージュの女と結婚したりして、完全に移り住んだ者。
 もう一つが、あくまでも傭兵として一時的に雇われ、開拓村から新しい自警団が来ると入れ替わりで帰る者だ。
 このサマルダは前者であり、そう言った自警団の面々は、傭兵では無く、ハーズルージュ民の正規兵として雇われたのである。
 
 なので、彼の妻子は、ある時の自警団がハーズルージュへ来るときに同行して、ハーズルージュへ移り住んでいたのだ。 

 そんなサマルダなので、妻子を引き合いに出されては嫌と言えない。
 カイエンだってそうだ。
 妻子を愛する一人の父であるため、バンドラを見捨てられないのである。

 サマルダは溜息をついて「バンドラと言ったか。行くぞ」と十人の兵と共に王都を目指そうとした。
 しかし、バンドラは意外そうに目を開いて「え? 私も行くのですか?」などと言うのだ。

 もはや呆れてものも言えない男である。
 サマルダはただ無言でバンドラの首根っこを持って引っ張るし、シュエンは怒り任せにバンドラを蹴り出すのであった。

 悲鳴を上げるバンドラではあるが、自業自得とはこういうものなのであろう。

 彼らはそのままサルダラへ行き、ハーズルージュ領主とは袂を分かって、今はただの傭兵団だから通して欲しいと言い、サルダラへ入っていった。

 カイエン達は彼らの背を見送ると、ひとまずは野営の準備をすることにする。
 元々はサルダラの町で夜を越すつもりで行進していたため、もうすぐ夕暮れ時なのだ。
 
 事前にサルダラの衛兵に一報入れておき、街道から離れた草原の、彼らの目に付く場所にて天幕を張った。

 集落の目と鼻の先で野営されるのも良い気がしないものであるが、街道から外れているし、衛兵の監視の付く場所だったので、一応は波風立たない形で一晩を過ごせる形となったのである。

 やがて日が暮れて夜。
 カイエンは、兵達とは別の個人用の天幕の中で考え事をしていた。
 当然ながら、反乱の事を考えている。

 辺境の地に居て、全く寝耳に水であった。
 なぜ反乱なんかが起こったのか。
 考えたが、カイエンの知っている八年前の情報では反乱が起こる予兆なんて無かったので分からない。
 
 次に、王都陥落を考える。
 カイエンにとって、良い思い出のある場所では無かった。
 虚飾、虚栄、虚構……くだらない自尊心と欲望の為に生きる人間が集まっている場所という印象しかない。
 しかし、それでもカイエンは王に忠誠を誓った事に違いは無く、王を守れなかった自分を責めもした。

 王によってこれほどの目に遭いながら、まだ王に忠誠を尽くすのかと人は言うだろう。
 だが、カイエンは不器用なのである。
 民のため、家族のため、そして王のため。
 すべからくカイエンが守るべき人だった。

 もっとも、家族とも離れ離れだし、王は守れなかったし、結局、自分とは何だったのだろうかと思うのである。

 自分は一体、何を成すために今まで生きてきたのだろう。
 貴族として、領主として、やるべき事をやって来たと思ったが、本当にこれで良かったのか……。

 カイエン、三十七歳。
 いよいよ人生折り返しである。
 最近では顔の皺も目立ってきていた。
 髪の毛にも白髪が混じっている。

 色々と人生を見つめ返す事もある時期なのだ。

 果たしてサニヤやリーリル、そして、リーリルの産んだ子に会えるだろうか。
 サマルダは八年前にサニヤを送った時に双子の兄弟だったと言っていたが、どんな子に育っているだろうか。

――皆、無事だよな……。

 カイエンの目に自然と涙が浮かんできた。
 今までに無いほど、寂寥とした気持ちが出て来たのである。
 もしかしたら、この反乱で、皆死んでしまったのでは無いだろうか。
 野盗に襲われたりしてないだろうかとか、最悪の事態が頭をよぎる。

 それでなくても、家族にもう会えないんじゃ無いかとか、今さら家族に受け入れて貰えるのだろうかとか。
 どうしようもない気持ちが湧いてくるのだ。

 年を取ると涙もろくなっていけないな……。

 そう思いながら寝返りを打つ。
 すると、天幕の外から音が聞こえた。

 足音だ。

 もちろん、カイエンの兵が一応見回りしているので、足音くらい不思議なものではないが、しかし、どうにも足音が軽い。
 靴の音ではなく、裸足を忍び足している音である。

 まさか、暗殺者?

 カイエンは枕元の剣を持ち、足音のする方を見た。

 しかし、暗殺者というのも奇妙である。
 確かに、少し前までなら暗殺者がカイエンを狙ってもおかしく無かったが、王都が反乱軍によって陥落したと知った以上、誰がカイエンの命を狙うと言うのか?

 カイエンが考えながら警戒していると、天幕の一部がめくれ上がり、泥だらけの手が伸びてカイエンのバッグを触る。
 そして、ゆっくりと音を殺しながら、手探りで中身を漁り出したのである。

 カイエンはその手が子供の手だと気付いた。
 そして、袖に泥だらけながら金糸のようなものが見える。

 カイエンはそれに、ハッと気付く。

 その袖に何か思うところがあったのだろう。
 子供の腕を掴んで天幕へと引き込むのである。

 うわっと小さな悲鳴を上げて天幕に引きずり込まれたそれは、十歳手前ほどの少年だ。

 カイエンはその少年が騒がぬよう口を抑えて、その顔をマジマジと見ると、やはり……と呟くのであった。
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