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時間を遅らせる物質
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「すごいぞ、これは」
「この物質に時計を近づけると、時計が遅れるぞ」
と、市山博士は、驚いた顔をして助手の大津君に言った。
サンエイ科学研究所の市山博士と、助手の大津君は、再び国際宇宙科学研究所に来ていた。
2050年、国際宇宙科学研究所で開発された小惑星探査機が小惑星から採取してきた岩石から抽出された物質の分析を依頼された市山博士は、助手の大津君と、国際宇宙科学研究所の鈴木博士から、再び呼ばれて、その物質を見せてもらっていたのである。
「それでは、今度は、このストップウォッチを近づけてみますね」
と、鈴木博士は、右手にストップウォッチを持ちながら実験台の上に置かれたその物質に左手でマジックハンドに固定したもう一つのストップウォッチを近づけながら言った。
「おー、秒針が遅れていきますね」
と市山博士は、鈴木博士が左手で持っているマジックハンドに固定されたストップウォッチを見ながら言った。
「そうなんです。この物質にストップウォッチを近づけると秒針の動きが遅くなるようなのです」
「時間を遅らせるような感じなのです」
と鈴木博士は、真剣な顔で市山博士に言った。
その日の夕方、サンエイ科学研究所に戻ってきた市山博士と助手の大津君は、コーヒーを飲みながら、あの物質についての話をした。
「所長、しかし、あの物質、不思議ですね」
と大津君は、市山博士にコーヒーカップを手にして言った。
市山博士は、
「そうですね、不思議ですね、時計を近づけると時計が遅れてしまうんですから」
と、やはり、コーヒーカップを手にして、大津君に言った。
「大津君」
と市山博士は、突然真面目な顔になり、言った。
「実は、ぼくは、帰りの車の中で考えたのだが」
「大津君、アインシュタインの相対性理論は知っているよね」
と市山博士は、大津君に得意げに言った。
「はい、少し勉強しました、所長」
と大津君は、市山博士に、興味深そうに言った。
市山博士は、
「ここからは、ぼくの考えだが」
と言った。
市山博士は、続けて大津君に話した。
「相対性理論では、動いている時計は、時間が遅れ、その移動速度が光速に近くなるほど、時間の進み方がゼロに近くなるということだが」
「あの物質は、物質のまわりの空間を光速に近い速度で動いたときと同じ作用をして、空間を収縮させると同時に時間を遅らせる作用があるのだと考えるんだ」
「あの物質に近づけば近づくほど、光速に近い速さになったときと同等な時間の遅れを生じると考えるんだ」
「そういう物質なんだと思う」
「それで、そういう空間を収縮し、時間を遅らせる作用をする物質が含まれる岩石を有する小惑星は、収縮して小さな惑星のままであり、時間が遅れているために惑星の成長が遅れているのではないかと思う」
と市山博士は、説明した。
「あの物質があるから小惑星なのですね」
と大津君は、市山博士に驚いた顔で言った。
市山博士は、続けて、大津君に言った。
「それで、ぼくは、考えたんだ」
「あの物質を合成し時間を遅らせ人の寿命を延ばすことができる装置を考えたんだ」
と市山博士は、大津君に言った。
「それは、すごいですね」
「時間を遅らせ、人の寿命を延ばすことができるのですね」
大津君は、市山博士に感心した顔で言った。
市山博士は、大津君に、言った。
「大津君、仕事だ」
「この時間を遅らせ、人の寿命を延ばす装置の特許明細書を書いてください」
「そして、特許出願するんだ」
「さっ、はじめよう」
と市山博士は、言い、
「はい、分かりました」
と大津君は、言い、自分の席に戻り、パソコンに向かって、書類の作成を始めた。
こうして、サンエイ科学研究所の夕方のコーヒータイムは、終わりました。
「この物質に時計を近づけると、時計が遅れるぞ」
と、市山博士は、驚いた顔をして助手の大津君に言った。
サンエイ科学研究所の市山博士と、助手の大津君は、再び国際宇宙科学研究所に来ていた。
2050年、国際宇宙科学研究所で開発された小惑星探査機が小惑星から採取してきた岩石から抽出された物質の分析を依頼された市山博士は、助手の大津君と、国際宇宙科学研究所の鈴木博士から、再び呼ばれて、その物質を見せてもらっていたのである。
「それでは、今度は、このストップウォッチを近づけてみますね」
と、鈴木博士は、右手にストップウォッチを持ちながら実験台の上に置かれたその物質に左手でマジックハンドに固定したもう一つのストップウォッチを近づけながら言った。
「おー、秒針が遅れていきますね」
と市山博士は、鈴木博士が左手で持っているマジックハンドに固定されたストップウォッチを見ながら言った。
「そうなんです。この物質にストップウォッチを近づけると秒針の動きが遅くなるようなのです」
「時間を遅らせるような感じなのです」
と鈴木博士は、真剣な顔で市山博士に言った。
その日の夕方、サンエイ科学研究所に戻ってきた市山博士と助手の大津君は、コーヒーを飲みながら、あの物質についての話をした。
「所長、しかし、あの物質、不思議ですね」
と大津君は、市山博士にコーヒーカップを手にして言った。
市山博士は、
「そうですね、不思議ですね、時計を近づけると時計が遅れてしまうんですから」
と、やはり、コーヒーカップを手にして、大津君に言った。
「大津君」
と市山博士は、突然真面目な顔になり、言った。
「実は、ぼくは、帰りの車の中で考えたのだが」
「大津君、アインシュタインの相対性理論は知っているよね」
と市山博士は、大津君に得意げに言った。
「はい、少し勉強しました、所長」
と大津君は、市山博士に、興味深そうに言った。
市山博士は、
「ここからは、ぼくの考えだが」
と言った。
市山博士は、続けて大津君に話した。
「相対性理論では、動いている時計は、時間が遅れ、その移動速度が光速に近くなるほど、時間の進み方がゼロに近くなるということだが」
「あの物質は、物質のまわりの空間を光速に近い速度で動いたときと同じ作用をして、空間を収縮させると同時に時間を遅らせる作用があるのだと考えるんだ」
「あの物質に近づけば近づくほど、光速に近い速さになったときと同等な時間の遅れを生じると考えるんだ」
「そういう物質なんだと思う」
「それで、そういう空間を収縮し、時間を遅らせる作用をする物質が含まれる岩石を有する小惑星は、収縮して小さな惑星のままであり、時間が遅れているために惑星の成長が遅れているのではないかと思う」
と市山博士は、説明した。
「あの物質があるから小惑星なのですね」
と大津君は、市山博士に驚いた顔で言った。
市山博士は、続けて、大津君に言った。
「それで、ぼくは、考えたんだ」
「あの物質を合成し時間を遅らせ人の寿命を延ばすことができる装置を考えたんだ」
と市山博士は、大津君に言った。
「それは、すごいですね」
「時間を遅らせ、人の寿命を延ばすことができるのですね」
大津君は、市山博士に感心した顔で言った。
市山博士は、大津君に、言った。
「大津君、仕事だ」
「この時間を遅らせ、人の寿命を延ばす装置の特許明細書を書いてください」
「そして、特許出願するんだ」
「さっ、はじめよう」
と市山博士は、言い、
「はい、分かりました」
と大津君は、言い、自分の席に戻り、パソコンに向かって、書類の作成を始めた。
こうして、サンエイ科学研究所の夕方のコーヒータイムは、終わりました。
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