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②勇者の等身大像
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お城のすぐ近くに建てられた、勇者のための建造物。そこに、勇者に関する記録が展示されると知った時、すごくびっくりしたのを覚えてる。だって勇者は戦いの末に完全敗北したって聞いていたから、こうやって称えるかのような場所を造るなんて思わなかったんだ。
でも、抽選でひとりだけ内覧が出来るという話を漏れ聞いて、すぐに応募してしまった。
話でしか聞いたことがない勇者を展示とはいえ見てみたかったし、それにきっと……、僕みたいな奴は普通に入場するのは無理だろうから。弱い上に魔法も碌に使えなくて、所持金だって少ない。こんなキラキラした場所、不釣り合いにも程がある。
だから、今は優しくて丁寧なオリウス様も、この時間が終わればきっと見下してくるだろう。それが当たり前のことだ。
……うん、大丈夫、慣れてる。だから今は折角の強運を楽しまないと。
「わ……!すごい、これが勇者……!とっても逞しいですね」
「当時石化した勇者から型を取り、魔法で制作した像なので、誤差もございません」
「す、すごい、そんなこと出来るんだ……!」
広々としたエントランスの中央に飾られていたのは、ガニ股になっている、勇者の等身大像だった。まるで本物のように着色されていて、時間を止められているだけのように見えるくらいリアルだ。
黒髪で精悍な顔、しっかりついた筋肉、割れた腹筋、大柄な身体に見合った堂々としたおちんぽ。どこを見ても圧巻だ。本当にこの強そうな勇者が負けたのかな……。
「こちらは写真スポットにもなっております。よろしければ一枚お撮りしましょうか」
「えっ、そそそんなオリウス様に撮っていただくなんて恐れ多いです!」
「遠慮なさらないでください。スロウ様は記念すべきひとりめのお客様でもございますし、当館を心ゆくまで味わっていただきたいのです。……それとも、写真は苦手でしょうか」
「そ、れは、に、苦手とかではありませんけどっ」
きゅ、と握られた手に力がこもる。切れ長で睫毛がばちばちな綺麗な瞳に見つめられると、それだけで熱が出てしまいそうだ。
「そ、それじゃあ……、よろしくお願いします」
断る方が失礼に思えてきてお願いすると、オリウス様はどこか嬉しそうに微笑んでくれた。破壊力がすごい。即死魔法じゃないよね、これ。
一旦手を離されて、ドキドキしたまま像の横に立つ。ガニ股になっていても僕より頭一つ分高い勇者の隣で、まごまごと直立になる。
「ポーズをとっていただいて構いませんよ」
「え、あ……、ポーズ、ですか」
羽付き魔導カメラを構えたオリウス様からそう言われたものの、咄嗟に何も思いつかない。
……そうだ、こういう時は像の真似をすればいいんだ。勇者とお揃いのポーズなんて、僕みたいな奴がするべきじゃないかもだけど……、誰かに見せるわけでもないし。
こう、ガニ股になって……、両手はピースを作って、きりっとした顔は難しいから取り敢えず笑っておこう。
パシャシャシャシャシャシャシャシャシャ
「え」
あ、あれ、なんか連写された……?
「綺麗に撮れましたよ。こちらの写真はお帰りの際にお渡ししますね」
「っは、はい、ありがとうございます」
オリウス様に特に変わった様子はないから、連写するのが当たり前なのかな。誰かから写真を取られる経験が乏しいから、そういう感覚は分からないや。
でも、抽選でひとりだけ内覧が出来るという話を漏れ聞いて、すぐに応募してしまった。
話でしか聞いたことがない勇者を展示とはいえ見てみたかったし、それにきっと……、僕みたいな奴は普通に入場するのは無理だろうから。弱い上に魔法も碌に使えなくて、所持金だって少ない。こんなキラキラした場所、不釣り合いにも程がある。
だから、今は優しくて丁寧なオリウス様も、この時間が終わればきっと見下してくるだろう。それが当たり前のことだ。
……うん、大丈夫、慣れてる。だから今は折角の強運を楽しまないと。
「わ……!すごい、これが勇者……!とっても逞しいですね」
「当時石化した勇者から型を取り、魔法で制作した像なので、誤差もございません」
「す、すごい、そんなこと出来るんだ……!」
広々としたエントランスの中央に飾られていたのは、ガニ股になっている、勇者の等身大像だった。まるで本物のように着色されていて、時間を止められているだけのように見えるくらいリアルだ。
黒髪で精悍な顔、しっかりついた筋肉、割れた腹筋、大柄な身体に見合った堂々としたおちんぽ。どこを見ても圧巻だ。本当にこの強そうな勇者が負けたのかな……。
「こちらは写真スポットにもなっております。よろしければ一枚お撮りしましょうか」
「えっ、そそそんなオリウス様に撮っていただくなんて恐れ多いです!」
「遠慮なさらないでください。スロウ様は記念すべきひとりめのお客様でもございますし、当館を心ゆくまで味わっていただきたいのです。……それとも、写真は苦手でしょうか」
「そ、れは、に、苦手とかではありませんけどっ」
きゅ、と握られた手に力がこもる。切れ長で睫毛がばちばちな綺麗な瞳に見つめられると、それだけで熱が出てしまいそうだ。
「そ、それじゃあ……、よろしくお願いします」
断る方が失礼に思えてきてお願いすると、オリウス様はどこか嬉しそうに微笑んでくれた。破壊力がすごい。即死魔法じゃないよね、これ。
一旦手を離されて、ドキドキしたまま像の横に立つ。ガニ股になっていても僕より頭一つ分高い勇者の隣で、まごまごと直立になる。
「ポーズをとっていただいて構いませんよ」
「え、あ……、ポーズ、ですか」
羽付き魔導カメラを構えたオリウス様からそう言われたものの、咄嗟に何も思いつかない。
……そうだ、こういう時は像の真似をすればいいんだ。勇者とお揃いのポーズなんて、僕みたいな奴がするべきじゃないかもだけど……、誰かに見せるわけでもないし。
こう、ガニ股になって……、両手はピースを作って、きりっとした顔は難しいから取り敢えず笑っておこう。
パシャシャシャシャシャシャシャシャシャ
「え」
あ、あれ、なんか連写された……?
「綺麗に撮れましたよ。こちらの写真はお帰りの際にお渡ししますね」
「っは、はい、ありがとうございます」
オリウス様に特に変わった様子はないから、連写するのが当たり前なのかな。誰かから写真を取られる経験が乏しいから、そういう感覚は分からないや。
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