ラブハメパークは年中無休で営業中♡

桜羽根ねね

文字の大きさ
13 / 17
ラブハメパークに初来店♡

そのご

しおりを挟む
「うう、申し訳ないことしちゃったなぁ……」

 次の日、僕は洗濯したチャイナ服と菓子折りを手にしてラブハメパークを訪れていた。

 やっぱりこんな良い生地と縫製の服をもらえないし、結局昨日擬似デートのお金を払えずじまいだったから、お詫びの気持ちをこめて。

 朝のパークはそこまで多くなくて、人影もまばらだ。……あ。あの人、昨日案内をしていた人だ。ん、あれ?こっちに向かって来てる……?

「私、主に案内業務をしておりますツキヤと申します。お客様。失礼ですが、昨日スタッフのキツネと一緒にいらっしゃった方ですよね?」
「え、あ、は、はい。そうですけど」

 確かに一瞬目が合った気はしたけど、あんな短時間で無個性な僕のことを覚えていてくれただなんてすごい。すらりとした美人さんで首元にたくさんのキスマークや歯形がついているから、彼氏さんから愛されてるんだろうな。あ、いや、そんなプライベートを漁るようなことしてないで、きーくんのことを考えなきゃ。

「あの、昨日はきーくん……、キツネさんに疑似デートをしていただいたんです。それで、その……、服を汚してしまったしお金も払っていなかったのでお詫びをと思いまして。あっ、ホームページには擬似デートについての詳細が載っていなくて……、おいくらなのか分かりますか?」

 そう尋ねると、ツキヤさんは何故か渋い顔になってしまった。や、やっぱり後で払うとはいっても無銭はまずかったかな。

「お客様。当パークに疑似デートという制度はございません」
「えっ?」
「それと似たようなもので、二人きりのパーク巡りというものがありますが、こちらのキャストにもキツネは入っていません」
「へ……。えっ、あの、それってどういう……」
「申し訳ありません、お客様。昨日の時点でお声をかけるべきでしたが……、キツネにはきつく教育を施しておきます。お詫びの品はキツネには勿体ない物ですので、お渡しする必要はありません」
「あ、あのっ、待ってください!僕、別に悪いことは何もされていませんし。寧ろ、その、とてもよくしてもらって……、すごく楽しかったんです。それに、疑似デートのことを呟かれたのはキツネさんですが、それを望んだのは僕なんです。なので、スタッフさんをサボらせることになってしまった僕にも非があるんです……っ」
「お客様」

 ツキヤさんはどこか虚を突かれたような表情になった後、柔らかく双眸を緩めた。

「では、そちらはお客様の手からキツネに渡してあげてください」
「は、はいっ」
「ですが、監視のために一緒に参ります」

 にこりと微笑んだツキヤさんと一緒に、昨日のお店に向かう。姿は見えないけど、きーくんの聞き心地のいい声が聞こえてきた。どうやら朝早くから接客をしているみたいだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。 お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。 サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

待てって言われたから…

ゆあ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。 //今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて… がっつり小スカです。 投稿不定期です🙇表紙は自筆です。 華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)

処理中です...