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第三部:異界館編
3:異界色プレリュード③
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「は、初めまして、黒河といいます。紅葉さんの紹介で縁結び人として来ました。短い間ですがお世話になります」
視線を振り切るように挨拶して頭を下げる。
自分で言っておきながら怪しすぎるなとは思う。赤い糸が見えるなんて言っても信じてもらえないかもしれない。
そう思っていると、手前に座っていた青髪の男性が緩く手を上げた。優しそうな人だ。
「じゃあ、俺から。猫柳だ。ここに来てからは10年くらいになる。……紅葉君が気を回してくれたんだろうが、正直俺はこのままでもいいと思ってるんだ」
「え……」
「んー、猫ちゃんの言う通りっていうかぁ。あ、オレは牡丹ってーの。オレもさ、どーせ相手なんて見つかんないし今のままが楽なんだよねぇ」
その隣にいたオレンジの髪の男性は、ネイルをした爪を見ながらあっけらかんとそう言ってくる。派手な身なりに少しチャラい雰囲気だけど、言葉尻に諦めの色を感じてしまった。
「そっ、そそそそうなんです。あ、その、僕は藤袴といいまして、何回か紅葉さんのように試してみましたが、どこも、その、……体質的に、無理で……っ、それなら、ここの方が……っひ!せ、折角来てくれたのにごめんなさいぃ!」
「あ、その、怒ってないので謝る必要ないですよ……!」
ホラーを見た時の栗梅くんのような反応をしたのは、小柄な紫髪の男性。目の下の隈が濃くて、肌が青白い。ちゃんと食べているのか心配になってしまう。
不意に、バンッ、と机が叩かれて思わず肩が跳ねる。音の主は、こっちを不機嫌そうに睨みつけてきた。緑のメッシュが入ったオールバックに色付き眼鏡。見た目で人を判断するなんて駄目だって分かっているけど迫力があって怖めで……、さっきから感じる鋭い視線の主はこの人だ。
僕以上に藤袴さんが怯えてるけど、普段の生活は大丈夫なのかな。
「そういうわけだから、とっとと帰んなガキ。紅葉の坊主から何言われたか知らねぇが、お前みてぇなガキはお呼びじゃねぇんだよ」
「うっわー、すいちゃんこっわーい」
「っせえな、牡丹。口縫いつけっぞ」
「お断りしま~す。ごめんねぇ、黒ちゃん。すいちゃん……あっ、水仙っていうんだけどね、見かけそのもので口が悪いんだよ~」
けらけらと笑っているのは牡丹さんくらいで、猫柳さんも藤袴さんも目を合わせないようにしてる。鈴蘭さんはといえば呆れたように溜息を吐いていた。きっと彼はずっとこんな調子なんだろう。確かに怖いは怖いけど。なんというか、昔の灰島くんが成長したらこんな風になるのかなって思ってしまった。最近の灰島くんはだいぶ丸くなったからなぁ。
どう返そうか言いあぐねていると、ノックの音が聞こえてルトラが入ってきた。ああそうだ、言葉で伝えるより赤い糸を見た方が早いかもしれない。
「待たせたな、クロ。その人間達が相手か?」
「敵みたいに言わないでよ。そうなんだけど……、手っ取り早く赤い糸を確認してみようかなって思ってて」
「へぇ?随分大胆なこと言うんだな」
「え……んうっ!?」
気が付いた時には、ルトラに抱き上げられてキスされていた。な、何もこんな皆の前でしなくても!そう反論したくても、大好きな彼の味に捕らわれてくちゅくちゅ舌を絡めてしまう。
「はっ?い、いきなり何を……っ!?」
「わーぉ、見せつけてくるね~」
「っ、は、はは羽に、尻尾!?」
普段はしまっている羽と尻尾も、えっちな気分になるとすぐに出てきてしまう。ルトラより小さいし短いけど、ルトラとお揃いのお気に入り。尻尾の付け根を擦られるとそれだけで軽く甘イキしてしまった。
視線を振り切るように挨拶して頭を下げる。
自分で言っておきながら怪しすぎるなとは思う。赤い糸が見えるなんて言っても信じてもらえないかもしれない。
そう思っていると、手前に座っていた青髪の男性が緩く手を上げた。優しそうな人だ。
「じゃあ、俺から。猫柳だ。ここに来てからは10年くらいになる。……紅葉君が気を回してくれたんだろうが、正直俺はこのままでもいいと思ってるんだ」
「え……」
「んー、猫ちゃんの言う通りっていうかぁ。あ、オレは牡丹ってーの。オレもさ、どーせ相手なんて見つかんないし今のままが楽なんだよねぇ」
その隣にいたオレンジの髪の男性は、ネイルをした爪を見ながらあっけらかんとそう言ってくる。派手な身なりに少しチャラい雰囲気だけど、言葉尻に諦めの色を感じてしまった。
「そっ、そそそそうなんです。あ、その、僕は藤袴といいまして、何回か紅葉さんのように試してみましたが、どこも、その、……体質的に、無理で……っ、それなら、ここの方が……っひ!せ、折角来てくれたのにごめんなさいぃ!」
「あ、その、怒ってないので謝る必要ないですよ……!」
ホラーを見た時の栗梅くんのような反応をしたのは、小柄な紫髪の男性。目の下の隈が濃くて、肌が青白い。ちゃんと食べているのか心配になってしまう。
不意に、バンッ、と机が叩かれて思わず肩が跳ねる。音の主は、こっちを不機嫌そうに睨みつけてきた。緑のメッシュが入ったオールバックに色付き眼鏡。見た目で人を判断するなんて駄目だって分かっているけど迫力があって怖めで……、さっきから感じる鋭い視線の主はこの人だ。
僕以上に藤袴さんが怯えてるけど、普段の生活は大丈夫なのかな。
「そういうわけだから、とっとと帰んなガキ。紅葉の坊主から何言われたか知らねぇが、お前みてぇなガキはお呼びじゃねぇんだよ」
「うっわー、すいちゃんこっわーい」
「っせえな、牡丹。口縫いつけっぞ」
「お断りしま~す。ごめんねぇ、黒ちゃん。すいちゃん……あっ、水仙っていうんだけどね、見かけそのもので口が悪いんだよ~」
けらけらと笑っているのは牡丹さんくらいで、猫柳さんも藤袴さんも目を合わせないようにしてる。鈴蘭さんはといえば呆れたように溜息を吐いていた。きっと彼はずっとこんな調子なんだろう。確かに怖いは怖いけど。なんというか、昔の灰島くんが成長したらこんな風になるのかなって思ってしまった。最近の灰島くんはだいぶ丸くなったからなぁ。
どう返そうか言いあぐねていると、ノックの音が聞こえてルトラが入ってきた。ああそうだ、言葉で伝えるより赤い糸を見た方が早いかもしれない。
「待たせたな、クロ。その人間達が相手か?」
「敵みたいに言わないでよ。そうなんだけど……、手っ取り早く赤い糸を確認してみようかなって思ってて」
「へぇ?随分大胆なこと言うんだな」
「え……んうっ!?」
気が付いた時には、ルトラに抱き上げられてキスされていた。な、何もこんな皆の前でしなくても!そう反論したくても、大好きな彼の味に捕らわれてくちゅくちゅ舌を絡めてしまう。
「はっ?い、いきなり何を……っ!?」
「わーぉ、見せつけてくるね~」
「っ、は、はは羽に、尻尾!?」
普段はしまっている羽と尻尾も、えっちな気分になるとすぐに出てきてしまう。ルトラより小さいし短いけど、ルトラとお揃いのお気に入り。尻尾の付け根を擦られるとそれだけで軽く甘イキしてしまった。
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