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第三部:異界館編
7:藤袴テイスティ②
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どうやらもうすぐお昼時らしく、キッチンの中は慌しかった。キッチンというより、厨房?人間だけじゃなくてここで働いてる魔族の分も作ってるんだろう。流石にこれは普通に邪魔になりそうと思っていると、入口付近にいた白い虎獣人と目が合った。ほぼ人間の見た目だけど手足は虎に近い。毛が入らないようビニール手袋をしていて、すごく器用に盛り付けしてる。
「何だい、客人か?……ああ、そういや縁結び人が来るとか何とか言ってたな。見ての通り今は忙しいから話なら後にしてくれよ」
「あっ、は、はい、すみません」
出直した方がよさそうだ。ルトラには外で待っててもらってよかった。変に権力をふりかざしていいわけじゃないもんね。緑くんと頷き合って一旦退室しようとした矢先。
「よし、上出来。……今日こそ美味いって言わせてやるからな、フジ」
そんな小さな独り言が聞こえてきた。フジ……って、もしかして藤袴さんのことだったりする、のかな?違うかもしれないけど。
キッチンの外に出ると、ルトラが渋い顔をしていた。あ、これ。急に面倒な用事が入ってきた時にするやつだ。
「何か用事入っちゃった?」
「はーーー……。クソ兄貴の呼び出しなんざ無視したいところだが、この前借り作っちまったからな……」
「僕のことなら気にしないで。緑くんもいるし、鈴蘭さんも優しいし」
「悪いな、クロ。出来るだけ早く終わらせてくるから」
「ん。無理はしないでね」
軽いキスを一つだけ残して、ルトラは渋面のまま窓から飛び立っていった。この前は触手の大群が一斉発情しちゃって大変だったんだっけ。今度はあまり長引くものじゃないといいんだけど。
「ん~~~~!やっぱり生で見るいちゃらぶ最高……♡」
「み、緑くん、そんな拝まなくても……。それより、一旦部屋に行こうか。落ち着くまで時間かかりそうだから」
「了解!まあ、待つ必要はなさそうだけどね。早速秘密道具を使う時が来たみたいだし」
「?」
なんだか悪い顔をしてる緑くんと一緒に、用意してもらった部屋へと向かっていく。
どうにか迷子にならずに辿り着くことが出来たけど、なんというか僕には勿体ないくらい良い部屋だ。
本当はルトラも一緒に泊まる予定だったから、広めの部屋を用意してくれたんだろう。結果として緑くんが来てくれたからちょうどよくはあるかも。
その当人は、鞄の中から水晶玉のような物を取り出してテーブルに置いていた。球、というよりキューブかな?
「ふっふっふ。これがさっき言ってた秘密道具さ!魔道具ってほんと便利だよね」
「魔道具……。もしかしてローズさんの所の?」
「そうそう!よく知ってるね。ちなみにこれは千里眼クリスタルといって、対象に専用シールを貼ることでその後の行動を覗き見出来ちゃう優れものなんだよ!実はさっき、あの虎さんの服にこっそりつけておいたんだ」
「い、いつの間に……。でも、これってつまり盗撮……」
「本当に駄目なところはモザイクで見えなくなる仕様だから大丈夫!藍ちゃんが試してみて効果は確認済みさ」
……なんとなく、それのせいでお仕置きルートにいってしまったんじゃと思ったけど、ぐっと飲み込んでおいた。
盗撮盗聴なんて悪いことだと分かってるけど、散々この世界でえっちなことを晒し続けてきた身としてはだいぶ常識というか倫理観がおかしくなってしまったから、あんまり強く止められないな……。
「ちょっと確認して、把握できたらもう見ないようにするなら、いいかな……?」
「もちろん!それじゃあいくよ~。ぽちっとな!」
キューブの横についていたボタンを押すと、水晶が揺らめいてとある部屋の中が映し出された。
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どうやらもうすぐお昼時らしく、キッチンの中は慌しかった。キッチンというより、厨房?人間だけじゃなくてここで働いてる魔族の分も作ってるんだろう。流石にこれは普通に邪魔になりそうと思っていると、入口付近にいた白い虎獣人と目が合った。ほぼ人間の見た目だけど手足は虎に近い。毛が入らないようビニール手袋をしていて、すごく器用に盛り付けしてる。
「何だい、客人か?……ああ、そういや縁結び人が来るとか何とか言ってたな。見ての通り今は忙しいから話なら後にしてくれよ」
「あっ、は、はい、すみません」
出直した方がよさそうだ。ルトラには外で待っててもらってよかった。変に権力をふりかざしていいわけじゃないもんね。緑くんと頷き合って一旦退室しようとした矢先。
「よし、上出来。……今日こそ美味いって言わせてやるからな、フジ」
そんな小さな独り言が聞こえてきた。フジ……って、もしかして藤袴さんのことだったりする、のかな?違うかもしれないけど。
キッチンの外に出ると、ルトラが渋い顔をしていた。あ、これ。急に面倒な用事が入ってきた時にするやつだ。
「何か用事入っちゃった?」
「はーーー……。クソ兄貴の呼び出しなんざ無視したいところだが、この前借り作っちまったからな……」
「僕のことなら気にしないで。緑くんもいるし、鈴蘭さんも優しいし」
「悪いな、クロ。出来るだけ早く終わらせてくるから」
「ん。無理はしないでね」
軽いキスを一つだけ残して、ルトラは渋面のまま窓から飛び立っていった。この前は触手の大群が一斉発情しちゃって大変だったんだっけ。今度はあまり長引くものじゃないといいんだけど。
「ん~~~~!やっぱり生で見るいちゃらぶ最高……♡」
「み、緑くん、そんな拝まなくても……。それより、一旦部屋に行こうか。落ち着くまで時間かかりそうだから」
「了解!まあ、待つ必要はなさそうだけどね。早速秘密道具を使う時が来たみたいだし」
「?」
なんだか悪い顔をしてる緑くんと一緒に、用意してもらった部屋へと向かっていく。
どうにか迷子にならずに辿り着くことが出来たけど、なんというか僕には勿体ないくらい良い部屋だ。
本当はルトラも一緒に泊まる予定だったから、広めの部屋を用意してくれたんだろう。結果として緑くんが来てくれたからちょうどよくはあるかも。
その当人は、鞄の中から水晶玉のような物を取り出してテーブルに置いていた。球、というよりキューブかな?
「ふっふっふ。これがさっき言ってた秘密道具さ!魔道具ってほんと便利だよね」
「魔道具……。もしかしてローズさんの所の?」
「そうそう!よく知ってるね。ちなみにこれは千里眼クリスタルといって、対象に専用シールを貼ることでその後の行動を覗き見出来ちゃう優れものなんだよ!実はさっき、あの虎さんの服にこっそりつけておいたんだ」
「い、いつの間に……。でも、これってつまり盗撮……」
「本当に駄目なところはモザイクで見えなくなる仕様だから大丈夫!藍ちゃんが試してみて効果は確認済みさ」
……なんとなく、それのせいでお仕置きルートにいってしまったんじゃと思ったけど、ぐっと飲み込んでおいた。
盗撮盗聴なんて悪いことだと分かってるけど、散々この世界でえっちなことを晒し続けてきた身としてはだいぶ常識というか倫理観がおかしくなってしまったから、あんまり強く止められないな……。
「ちょっと確認して、把握できたらもう見ないようにするなら、いいかな……?」
「もちろん!それじゃあいくよ~。ぽちっとな!」
キューブの横についていたボタンを押すと、水晶が揺らめいてとある部屋の中が映し出された。
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