ハッピーな目覚め

お人好しなオカマ店主？

　地下駐車場に着くと、勝手に黒塗りハイヤーがやって来て ドアが開く・・
　「このビルには おエラい方々いらっしゃるから、時間になると営業車が待機するの。この車なんか、今からわたしが行く先まで分かってるの。」
　「今日も いつもの順序でよろしいでしょうか？」
　「はい、よろしくお願いします。」
　それだけで、しばらく行った繁華街にある小さなレストランの前でドアが開く。
　「ここで食べながら、少し説明するからね。次は、オーナーのふるさと というか、発祥地みたいなお店なの。ここで、ヒラヒラの女装パブをやっていて、それがけっこう繁盛していたの。」「お客さんはいい人達で、同業仲間からも慕われていたし、面倒見もすごく良くてハッテンバで困っていたわたしの事を助けてくれた程なの。」「それが、わたしのスポンサーになると、さっぱり会いにも来ないから、メールしてみたら、忙しくて『ゴメンナサイ・・』だって。」「それで、仕事の手伝いならできるかも と思って会いに来てみたの。」

　「そこで わかったのは、オーナーが知り合いに頼まれて引き受けたゲイバーにお客が来ないのと、夜逃げされて困っている隣のビルの大家さんが抱えているニューハーフバーのような？お店の面倒を見ることにしたということ。」「自分のお店だけでも大変なのに、手伝ってくれる従業員もいなくて一人で頑張っていたけど、家賃や維持費を負担するのも大変で、お店がどれか行き詰まったら みんな潰れてしまう ということが分かって大慌てしていたの。」「そんなときに わたしが現れたんだけど・・」

　「お店に入ると、女装のお姉さん達が集まって来て、あたしがこのお店で働く娘だと思って、親切に衣裳を合わせてくれたり、丁寧にメイクしてくれたものだから、あたしも嬉しくなって皆で大喜びしていたら、オーナーが戻ってきて・・なにを思い付いたのか、あたしを空き家になったニューハーフバーのよう？だったお店に連れていったの。 」
　「そこで、あたしに 『ここでお店を再開して家賃だけでも稼いでよ。』っていきなり頼み込むと、あっちのゲイバーにさっさと行ってしまったの。」

　「そのお店の建物・・すごく古くて、空室も沢山あって、だだっ広い。ここで なにしていたの？ どんな人が、ここに来ていたの？って・・わからないからボンヤリとなって・・」「女装したまま、店の中を調べてみると、床も家具もなんだか綺麗で、壁のボトルも棚にも埃がついてなくて・・」「オーナーが掃除したのかなと思って、ボトルを数えていたら・・ドアが開いて、静かに誰かが入ってきたの。」「それが、以前からここに集まっていたお客さん達だったの。」