(完結)婚約破棄ですか…いいでしょう!! おい国王! 聞いていましたね! 契約通り自由にさせてもらいます!!

にがりの少なかった豆腐

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これから貴方と過ごす場所

いや、おかしいでしょ

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 近くの町に着いてすぐにその町にある傭兵ギルドに向かう。そこでスタンピードに関する情報と、今まで倒した魔物を引き取ってもらった。
 想定していた通り、魔物の買い取りに関してはスタンピードの影響で通常よりも安価での買い取りになった。そうなっている理由もわかるし、買い取ってもらえないよりは断然ましなので、買い取ってもらうのを拒否する理由もない。

 ただそれよりも、ギルドの受付の人から気になるというか確実に重要な情報を手に入れることが出来た。
 
 それは、1年くらい前から領主の行方が分からなくなっていること。そして辺境伯領に所属している騎士団がスタンピードが起き始めているにも拘らず、一切動いている様子が見られないという物だ。

 これは明らかにおかしい。
 領主が居なくなっているのに騒ぎ立てている領民が居ないのは何となくわかるけれど、本来なら率先して魔物の侵略を食い止めなければならない領主直属であるはずの騎士団が、この状況で動いていないということは、その上、領主が動くように指示を出していない、もしくは動かないように指示を出しているということなのだ。
 ただ、指示を出す立場の領主が居ないからといって、有事の際に各町の判断で動けるはずの騎士団が動けないというのはあり得ないことなので、何かしらの指示が出ていることは確か。

 そう言えば、確か辺境伯って国王の補佐していなかったような? これについて国王から何も聞いていないのだけれど。あ、いや、もしかして契約の条件が問題ないって言っていたのはこれかしら?

 あの契約って主に私を兵器として利用するって内容なのだけど、魔法契約である以上、私にも利があるようになっているのよね。

 その利益についての内容は、契約内容が完了された場合、私に辺境伯の籍を明け渡すというもの。
 何事もなければ伯爵、もしくは侯爵にするところを辺境伯にする、というのは少なからずおかしいと思うかもしれない。基本的に辺境伯よりも侯爵の方が格は上だし、権力もあるから。
 ただ、その分貴族間の付き合いは増えるし、領地もないから基本的に王都住まいになる。なので、確実に私の自由は減る。
 それに比べて、辺境伯は基本的に王都には居る必要がないから貴族の付き合いは少なくなるし、領地を動きまわったり自由に時間を使ったりするくらいの時間は確保できる。

 まあ、現辺境伯は王都に居たけどね。それは貴族であるにも関わらず、貴族としての生活が出来ないと文句を垂れた現辺境伯が無理やり王都に移り住んだ。というのを、何時だったかどこかで聞いた記憶がある。

 それに、ここ数十年平和だったせいで、本来辺境伯にあるはずの国境外から来る他国の軍や魔物の侵入を防ぐといった役割を果たす必要がなく、暇だったというのもあるかもしれないけど。

 あ、もしかして、これが今回のやつに繋がる? 何か権力欲が強い人だったらしいから、現国王の方針には真っ向から反対しそうだし、その所為で私が居なくなった後に放逐されたのかも? それで八つ当たりみたいな感じでスタンピードガン無視とか。
 ……いえ、さすがにそんな子供みたいなことはしないわよね。

 うーん、まあ、今辺境伯の事を考えても意味はないから別に気にしなくてもいいわね。

「ロイドは何か新しい情報はあったかしら?」

 ギルドの方で一旦情報を貰った後、ロイドとは別行動をして情報を集めていた。ただ、ギルドで聞いた以上の情報は無かったのだけれど。

「目ぼしい物は何も。その感じからしてそっちもなかったのか」
「ええ、これと言ったものはないわね。スタンピードの所為で物の値段が上がっているとかそんな感じの話しが大半ね。それと出てきている魔物に関してはギルドで聞いた通り、各町や個別で対応しているようだから、もう少し森に近付いて対処した方が早そう」

 なんというかこの町にあるギルドは領地に待機している騎士団が動いていないからなのか、それともこの町には直接被害が出ていないからなのか、今のところどうも危機意識が薄い。話を聞いている中で、被害に遭って避難してきている人がちらほら居るのだけど、ギルド職員たちはその人たちが偶然襲われただけと判断しているようだ。

「まあ、そうだな。地図も買ったし、急ぐなら早めに行く?」
「そうねぇ。状況を聞く限り早めに行った方が良いのだけど、うーん、いえ。今日は一旦ここで休みましょう。今から移動しても、ここからもう少し行ったところにある町に着くころには暗くなっていると思う。それにそこで宿が取れるかわからないから」
「ああ、確かにそうだね」

 急いで一気に移動しても宿が取れずに休めませんでした、というのはさすがに辛いのでそれは避けたい。なので、今日はこの町で宿を取ることにする。元からここで休むつもりだったのだけれど、まあ予定に変更はないってことよね。
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